「首ったけ」とは「首丈」のこと
異性など、恋愛対象の相手にすっかりほれてしまうことを「首ったけ」といいますよね。どうして「首ったけ」なんでしょう。もしかして「相手の首に手をまわして抱きつくから?」な~んて想像してしまいますが、どうやら違うようです。
「首ったけ」とは「首丈(くびたけ)」が変化(促音化)したものなんです。では、どうして「首丈」が「ほれ込む」の意味になるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
どうして「首丈」が「ほれ込む」なの?
「首丈」の「丈」は「背丈」と同じように「長さ」のことですよね。「首までの高さ」のことをいいます。ただ、単に長さのことではなくて、「首丈までどっぷりつかる」ことなんです。
泥や水に首まで浸かってしまうと、自分の力では簡単に抜け出せませんよね。そこから転じて、恋愛感情から抜け出せないほど夢中になることを「首ったけ」というようになったというわけです。言ってみれば「好きな気持ちが大洪水」なのが「首ったけ」です。
「首丈」は江戸時代から使われていたようですが、粋な江戸っ子たちが「首ッ丈」と発音していたんですね。江戸時代の若者たちが「あの娘に首ッ丈だ」なんて言っていたことを想像すると、なんだか親近感が湧きますね。
「首ったけ」は好きな気持ちの数値化
このように、「首ったけ」は好きの程度を数値化したものだったんですね。もしかして、あまり気がないなら「足ったけ」、友達と恋人の中間ぐらいだったら「腰ったけ」になるかもしれません(笑)
○バリエーション【あくまで案】
・あまり気がない→足ったけ
・そこそこ気がある→膝ったけ
・友達以上恋人未満→腰ったけ
・かなり気になる→胸ったけ
「首ったけ」は今風に言えば「ガチで好き」?
「首ったけ」はまさに現代でいう「沼る」ことです。「おぼれる」ともいいますね。ほかに類義語としては「ベタぼれ」とか「ぞっこん」あたりが近いでしょうか。現代的にいえば「ガチで好き」、オノマトペなら「メロメロ」ですね。
ほかにも、以下のようなたくさんの類義語がありますのでざっと目を通してみてくださいね。
(SNS・ネット寄り)
・好きすぎて滅
・ガチで好き
・沼る/沼ってる
・ガチで好き/ガチ恋
・脳内がその人だらけ
・尊すぎてしんどい
・完全に狂ってる
(現代風・なじみのある表現)
・ほれ込む
・メロメロ
・ぞっこん
・ベタぼれ
・夢中になる
・のめり込む
・おぼれる
(少し古風で粋な表現)
・入れ込む
・血道を上げる
・溺愛(できあい)する
・熱に浮かされる
・骨抜きにされる
・うつつを抜かす
まとめ
「首ったけ」は今ではあまり使われなくなりましたが、「沼る」に負けない熱量を感じる表現です。使われなくなった今こそ、逆に新鮮味があるのではないでしょうか。ぜひ文章表現に生かしてみてくださいね。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
【参考文献】
『新明解語源辞典』(三省堂)
『美しい大和言葉の言いまわし』(知的生き方文庫)
『類義語辞典』(三省堂)




