「おこがましい」の語源と使い方|類義語(僭越/厚かましい/口幅ったい)までを丁寧に

気になることば

「おこがましい」はどんな意味?

「おこがましい」という言葉を使ったことはありますか? 謙虚な姿勢を表明するときにとても便利な言い回しですので、ぜひ使いこなしたいところですが、どんなシチュエーションで使えばいいか、ちょっと迷うという方もいらっしゃるかもしれません。

おこがましい」は「差し出がましい」とか「身のほど知らずだ」という意味です。

自分のことについて「おこがましいことですが」と使えば、とても奥ゆかしい謙遜の表現になりますが、相手に対して「あいつはおこがましいやつだ」と言えば、ふてぶてしい態度を非難する言葉になります。

今回は、「おこがましい」の本来の意味や語源をはじめ、ビジネスで役立つ「僭越ながら」や「差し出がましい」「厚かましい」「口幅ったい」といった類義語を取り上げて、細かいニュアンスの違いを丁寧に分かりやすくご紹介します。ぜひ最後までおつきあいくださいね。

スポンサーリンク

「おこがましい」の語源は?

おこがましい=おこ+がましい

「おこがましい」は、「おこ」という語に接尾語の「がましい」がくっついたものです。「がましい」は「晴れがましい」や「押しつけがましい」の「がましい」ですね。

では、「おこ」とはどういう意味なのかというと、「愚か」という意味なんですね。もともと「おこがましい」は「ばかげていてみっともない」という意味でした。「差し出がましい」という意味で使われるようになったのは江戸時代からのようです。

ちなみに、「おこがましいは」は、漢字にすれば「痴がましい」または「烏滸がましい」と書きます。「痴」は「痴呆」や「白痴」などの熟語がありますね。「烏滸」とは川に集まる騒がしいカラスのことだそうですよ。どちらも常用漢字ではありませんから、通常はひらがな表記がおすすめです。

「おこがましい」→「身のほど知らずなことですが」

「おこがましい」は、主に自分をへりくだって表現するときに使います。目上の人や改まった場面で、自分の意見や行動を控えめに伝えたいときに重宝する言葉です。

「自分の立場や能力を考えると、そのようなことをしたり言ったりするのは身の程知らずなことですが」という意味で、本来はそんな立場ではないという謙遜の気持ちが含まれます。

(用例①)
・おこがましいようですが、一言だけ申し添えさせてください。
・彼と自分を比べること自体がおこがましいことです。
・先生にこのようなことを申し上げるのはおこがましいのですが……
・おこがましいことを申し上げますが、その件については再考いただけないでしょうか。

一方、他者に使う場合は批判的なニュアンスになります。

(用例②)
・おこがましいにも程がある。
・あいつはおこがましいところが気に入らない。
・あの人はおこがましくも、自分が一番だと言ってはばからない。

「おこがましい」を言い換えると?

「おこがましい」は大和言葉なので、ビジネスシーンでは使いにくいこともありますよね。そんなときに活躍するのが「僭越ながら」です。

ほかにも似た意味として「差し出がましい」「厚かましい」「口幅ったい」などがありますが、「おこがましい」とどう違うのかをまとめましたので、ぜひ目を通してみてくださいね。

「僭越(せんえつ)ながら」→「分不相応ながら」

「僭越(せんえつ)」とは「自分の立場を超えて出しゃばること」で、多くは「僭越ながら」という形で、「分不相応ではありますが」という丁寧な前置きとしてよく使われます。

ちなみに、「僭」という字は「上の者の権限や地位を勝手に名乗る」という意味があって、「越」は「越える」ですから、「自分の身分や立場を越えること」という意味ですね。

・僭越ながら、私からひとこと申し上げます。
・僭越ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます。
・僭越なお願いとは存じますが、ご協力いただけますと幸いです。

「差し出がましい」→「余計なお世話かもしれませんが」

「差し出がましい」は、必要以上に人のことに口を出したり、おせっかいをしたりすることで、「余計なお世話かもしれませんが…」というニュアンスで用います。

・差し出がましいことを申しますが、その計画は見直したほうがよいと思います。
・差し出がましいようですが、お手伝いしましょうか。
・あまり差し出がましいことは言わないほうがいい。

「厚かましい」→「ずうずうしいことですが」

「厚かましい」は遠慮がなく、自分勝手で図々しいことや相手への配慮が足りないことを表します。

・厚かましいお願いで恐縮ですが、ご検討いただけますでしょうか。
・厚かましいこととは承知していますが、ご協力願えないでしょうか。
・彼は新人のくせに、厚かましくも最前列に座った。

「口幅ったい」→「偉そうなことを言うようですが」

「口幅ったい(くちはばったい)」は「偉そうなことを言うようで恐縮だ」という意味です。「おこがましい」と似ていますが、特に”発言”に対して用います。

・口幅ったいことを申し上げますが、その方法では成功は難しいと思います。
・口幅ったいことを言うようですが、努力は必ず報われるとは限りません。
・口幅ったい助言をお許しください。

スポンサーリンク

まとめ

「おこがましい」は、もともと「ばかげていてみっともない」という意味の言葉が、江戸時代を経て「さしでがましい」という意味に変化したものです。

「僭越ではございますが」などのフォーマルな言い換えとあわせて、ぜひ場面に応じて使いこなしてみてください。言葉の成り立ちを知ると、使い方にも自信が持てるようになりますよね。

最後まで読んでくださってありがとうございました!


【参考文献】
『新明解語源辞典』(三省堂)
『暮らしのことば新語源辞典』(講談社)
『美しい大和言葉の言いまわし』(知的生き方文庫)


タイトルとURLをコピーしました