「やんごとない」はどんな意味?
「やんごとない」というと、なんとなく高貴なイメージがありますよね。アニメの『おじゃる丸』を連想する方も多いかもしれませんが、いまひとつ意味がはっきりしないという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
それもそのはず、「やんごとない」には大きく2つの意味があるためで、それが混乱の原因ではないかと思います。
①高貴な
②やむを得ない
使ってみたくても、意味がはっきりしないとうまく使い回せませんので、今回は「やんごとない」の語源と意味、そして使い方について徹底解説してみたいと思います。
なお、現代語における「やんごとない」は、場合によってはネットスラング寄りになることもあるので、ちょっと注意したいところです。そのあたりにも触れていきますね。
やんごとないの語源は?
「やんごとない」は、漢字で書くと「止ん事無い」です。「終わらせる(止む)ことができない」ということですから、それだけ優先度が高いことを表します。
そこから「おろそかにはできない」という意味になり、高貴な身分を指す言葉になりました。また、「おろそかにできない特別な事情」、つまり「やむを得ない」という意味でも使われるようになったんですね。
「やんごとない」の2通りの使い方
「やんごとない」には前述したとおり2つの意味があります。それぞれの使い方を見ていきましょう。
①「身分が非常に貴い」の意味で使う場合
社会的地位や家柄が高い人物、あるいはそれに関わる事柄を形容するときに使います。皇族・貴族・名家などを指す場面で登場することが多いようです。
ただし、現代語では「高貴な」という意味で「やんごとない」をフォーマルな場で使うことはありませんので、慎重に使ってくださいね。
・やんごとなき身分のお方がご臨席くださるそうです。
・やんごとない家柄のご令嬢とお見受けいたします。
・このあたりは、やんごとなきご一族の領地だった場所です。
②「やむを得ない」の意味で使う場合
こちらは、避けることのできない事情や理由を述べるときに使います。「やむを得ない」よりも重大で、「どうしても外せない、おろそかにできない事情」というニュアンスを伝える古風な表現です。
こちらも、ビジネスシーンでの公式な謝罪やお断りで使うと、かえってふざけた印象を与えてしまうことがありますので、「諸般の事情により」などと言い換えたほうが無難です。親しい間柄でのみユーモラスに使ってみてください。
・やんごとない事情により、本日の出席がかなわなくなりました。
・やんごとなき理由がございまして、ご連絡が遅れてしまいました。
・予定を変更したのはやんごとない事情によるものだった。
「やんごとない」の言い換え
「やんごとない」は古風な表現ですが、だからといって格調高い表現になるわけではないため、ビジネスシーンでは「諸般の事情により」などと言い換えたほうが無難です。
・諸般の事情により
・避けられない事情があり
・のっぴきならない理由で
・どうしても外せない用事があり
ネットスラング・ユーモアとしての使い方
ネット上では、日常のどうでもいい出来事に、あえて大げさな「やんごとなき」を組み合わせることがあります。古風な言葉ゆえのギャップによって面白さを生む手法ですね。
・やんごとなき理由により今日はゲームします。
・やんごとなき事由により昼寝を30分延長いたします。
・やんごとなき用事(コンビニでアイスを買う)があるため外出する。
・やんごとなき理由(雨が降っている)で今日は出かけません。
・やんごとなき都合(眠い)により本日の営業は終了いたします
まとめ
「やんごとない」は、「放っておけない=軽々しく扱えない」から派生した言葉で、「身分が非常に貴い」と「やむを得ない」という2つの顔を持っています。
平安時代から使われてきた由緒ある言葉ですが、ネット上ではユーモアを交えた使い方も広まっていますので、文脈や相手に合わせて楽しんで使ってみてくださいね。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
【参考文献】
『新明解語源辞典』(三省堂)
『暮らしのことば新語源辞典』(講談社)
『美しい大和言葉の言いまわし』(知的生き方文庫)






