「じき」にもいろいろあったなんて!
「じき」と聞くと、多くの人が「時期」を思い浮かべるのではないかと思います。でも、「じき」には「時期」「時機」「時季」の3つがあるんですね。
加えて、似た発音と意味を持つ「時宜(じぎ)」もあって、ちょっと使い分けに迷ってしまいますよね。
どれも「時」に関係する言葉ですが、それぞれが注目しているものは少しずつ異なります。今回は、この4つの言葉の意味と違いを、豊富な用例を用いながら丁寧に確認していきたいと思います。
最後に「早覚え」を載せていますので、ぜひ最後までお目通しくださいね!!
・いつごろという「期間」なら→時期
・行動すべき「チャンス」なら→時機
・春夏秋冬の「シーズン」なら→時季
・状況に合った「タイムリーさ」なら→時宜
時期の意味と使い方(一般語:時/期間/時節)
「時期」は、ある物事が行われる「時節」や、一定の「期間」を表す最も一般的な言葉です。季節を問わず、「引っ越しの時期」や「受験の時期」のようにいつでも使える中立的な言葉です。
「時期」は守備範囲が広いので、後述するほかの漢字に当てはまらないときには、これを使えば間違いありません。
(「時期」用例)
・入学や卒業の時期
・引っ越しの時期
・田植えの時期
・受験の時期
・時期が早い
・時期尚早
・まだその時期ではない
・そろそろ決断してもいい時期だね
時機の意味と使い方(対応語:タイミング/チャンス)
「時機」は、あることを行うのにちょうどよい好機を意味します。カレンダーや時計で示される「時」ではなく、行動するタイミングに重点がある言い方です。
「時機を逃す」「時機を待つ」「時機到来」のように、チャンスが来たとか逃したというニュアンスで使われることが多い言葉です。英語なら「タイミング」や「チャンス」ですね。
(「時機」の用例)
・時機をうかがう(チャンスをうかがう)
・時機を逸する(タイミングを外す)
・絶好の時機(絶好のタイミング)
・時機到来(チャンス到来)
・時機を待つ(タイミングを待つ)
時季の意味と使い方(対応語:シーズン)
「時季」は、何かを行うのに最もよい季節や、あることが盛んに行われる季節を表します。「時期」は何にでも使いますが、「時季」は必ず「季節感」を伴います。
「時期」を使うこともありますが、「季節」を意識していることをはっきり示したいときには「時季」が適しています。英語の「シーズン」がぴったり対応します。
(「時季」の用例)
・花見の時季(花見のシーズン)
・行楽の時季(行楽のシーズン)
・紅葉の時季(紅葉のシーズン)
・時季外れ(季節外れ)
・時季の果物(季節の果物)
・時季の野菜(季節の野菜)
「時宜」の意味と使い方(対応語:タイムリー)
「時宜」は、その場の状況や時勢に合っていることや、適切なタイミングであることを意味します。「時宜」の「宜」は「よろしい」という意味ですね。「時機」が「チャンス」を表すのに対して、「時宜」は「適切さ」に重点があります。
日常会話よりも、あいさつ文や式辞、ビジネス文書などで使われることが多い、やや改まった言い方です。「時期を得る」や「時宜にかなう」といった形で用いるのがが一般的です。
(「時宜、」の用例)
・時宜を得た発言(タイムリーな発言)
・時宜にかなった提案(タイムリーな提案)
・時宜に適した対応(タイムリーな対応)
・時宜を考慮する(よいタイミングを考慮する)
4つの違いが一瞬でわかる使い分け!
同じ「海水浴」の話題でも、どの漢字を選ぶかでニュアンスが変わります。ちょっとイメージしてみてくださいね。
【時期】そろそろ海水浴の時期になってきたね。
→「(カレンダー的に)そんな時節になってきた」という一般的な言い方です。
【時機】友達と休みが合う時機を逃さずに海に行こう。
→ 行動するタイミングに重点がある言い方です。
【時季】海水浴の時季になると、この浜辺もお祭りのようににぎやかだ。
→「夏」という季節そのものの情緒を意識した言い方です。
【時宜】時宜にかなった日を選んで海開きを実施したい。
→「ふさわしい/よい」という適切な判断の視点です。
まとめ
「時期」「時機」「時季」「時宜」の4つは、迷ったら以下のキーワードで整理してみてください。
・いつごろという「期間」なら → 時期
・行動すべき「チャンス」なら → 時機
・春夏秋冬の「シーズン」なら → 時季
・状況に合った「タイムリーさ」なら → 時宜
どうしても迷って夜も眠れなくなってしまったら、守備範囲の広い「時期」を使っておけば安心です。
文章の目的やシーンに合わせてこれらの漢字をさらりと使い分けられると、書く姿がぐっとすてきに見えますね。毎日の文章作りの参考になりましたら幸いです。
最後まで読んでくださってありがとうございました☆
【参考文献】
『最新公用文用字用例集(増補版)』(ぎょうせい公用文研究会編)
『新聞用字用語集(記者ハンドブック)』(共同通信社)
『NHK漢字表記辞典』(NHK放送文化研究所編)





