はじめに
「どうし」という言葉を漢字で書こうとしたとき、「同士」にしようか、「同志」にするべきか、迷った経験はないでしょうか。「心」があるかないかの違いですが、この2つは意味が違うんですね。
これだけならまだしも、ひらがなで「どうし」にすることもあるんです。例えば「車どうし」や「船どうし」といった具合です。
もちろん、これは公用文や新聞、NHKなどが採用している表記の基準なので、必ずそのとおりにしなければならないということではありませんが、基本的なルールを知っておくと安心ですよね。
この記事では、「同士」「同志」それぞれの意味と使い方を具体例とともに整理し、ひらがな表記の「どうし」との使い分けのポイントまで丁寧に解説していきたいと思います。
「同志」の意味と使い方(=同じ志を持つ仲間)
「同志」は文字どおり「同じ志」を持つ仲間のことです。単なる仲間より踏み込んで、「同じ理想や目的を掲げて共に行動する仲間」のことですね。やや硬く、改まった響きを持っています。
・同志の会合 …同じ志を持つ人々の集まり
・同志を募る …目的を共にする仲間を集めること
・同志を裏切る …志を共にしていた仲間を裏切ること
・革命の同志 …革命という目的をともに目指す仲間
・同志諸君 …志を同じくする人々への呼びかけの言葉
「同士」の意味と使い方=(同じ立場の仲間)
一方、「同士」は、同じ立場・状態・性質を持つ相手を表す言葉です。「同じ仲間」ということですね。
下に示した語のように、「○○同士」というように成句として定着しているものがほとんどです。つまり、決まった言い方の場合に用いると覚えたほうがいいかもしれません。
・男同士
・女同士
・若者同士
・友人同士
・似たもの同士
・弱い者同士
「どうし」の使い方と具体例(=互いに/相互に)
実は、ひらがなの「どうし」もあるんです。これは接尾語としての「どうし」ですね。接尾語の場合は「互いに」とか「相互に」という意味合いになります。「車どうし」は「車と車が互いに」ですし、「国どうし」は「国と国が互いに」という意味になりますね。
これは、公用文も新聞表記(共同通信)でもそのように示されています。必ずそうしなければならないということではありませんが、そういうルールが存在することは覚えておいてもいいかもしれませんね。
・車どうしの衝突
・船どうしの接触
・電車どうしがすれ違う
・国どうしの交渉
・会社どうしの競争
・家どうしが近い
まとめ
・同志……同じ志や思想、目的をもつ仲間を表す。
・同士……同じ立場・属性・種類の仲間を表す。
・どうし……接尾語として「互いに」「相互に」という関係を表す場合。
「同士」と「どうし」は厳密に区別できない場合もありますが、「仲間」を表すか、「互いに」という関係を表すかという観点から考えると、自然な表記を選びやすくなるかと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
【参考文献】
『最新公用文用字用例集(増補版)』(ぎょうせい公用文研究会編)
『新聞用字用語集(記者ハンドブック)』(共同通信社)
『NHK漢字表記辞典』(NHK放送文化研究所編)
『新訂 標準用字用例辞典』(公益社団法人日本速記協会)







