はじめに
「かしょ」というときに「○か所」という表記と「○カ所」と両方目にすることがありますよね。それに、「箇所」や「ヶ所」などいろいろあって、どれを用いたらよいか迷ってしまいます。でも、使い方にはちょっとした決まりがあるんですね。
まず、数字と一緒に用いる「○か所」と「○カ所」ですが、これはご自分のお立場や語感にフィットするほうを選んで問題ありません。
ただ、「箇所」と必ず漢字にしなければならないことがあって、これには一定のルールがあります。また、「個所」や「ヶ所」は現在では基本的に用いない表記になっています。
それは具体的にどういうことなのか、今回は、「かしょ」について探っていきたいと思います。
公用文では「○か所」、新聞では「○カ所」と書きます
まず、数字と一緒に用いられる「○か所」と「○カ所」ですが、実はこれは統一されていないんですね。公用文や議事録、NHKでは「○か所」というようにひらがなにしますが、新聞表記では「○カ所」というようにカタカナを採用しています。
ですから、「○か所」と「○カ所」はどちらも間違いではなく、根拠とする表記辞書の違いですので、ご自分のお立場に近いものを選んでみてください。ただし、必ず数字と一緒に用いてくださいね。
・公用文 NHK 議事録表記:「○か所」
・新聞表記:「○カ所」
念のため文例で確かめてみましょう。どちらが語感にフィットするでしょうか。どちらでも大丈夫ですが、文章内では統一して用いるようにしてください。
・異常が2か所で確認されました。
・異常が2カ所で確認されました。
・7か所の休憩所を設けました。
・7カ所の休憩所を設けました。

「○か年/○カ年」や「「○か月/○カ月」も同様だね。
「箇所」と漢字で書くのはどんなとき?
「箇所」と漢字にするのは前に数字がない場合です。「箇所」と単独で用いたり、「点検箇所」や「指定箇所」「訂正箇所」などのように、ほかの漢字と組み合わせる場合には「箇所」と感じを用います。
文例で確かめてみましょう。
・間違った箇所を修正して再提出しなさい。
・防災訓練時の点検箇所はどこですか。
・危険箇所には立入禁止の看板が必要だ。
・訂正箇所を赤で示してあります。

数字を伴わない場合は「箇所」にすればいいのね。
「個所」という表記は用いません
「個所」という表記を見かけたことがあるかもしれません。以前はこれを「カショ」と読んでいたことがありますので、古い文書などには出てくるかもしれません。当時のルールとしては正しかったのですが、現在はルールが変更になっています。
現在使用している常用漢字表では、「個」は「コ」とだけ読んで、「カ」とは読まなくなりました。ですので、「箇所」のほかに「箇条書き」なども「箇」を用いてくださいね。
「ヶ所」という表記も用いません
「3ヶ所」や「5ヶ年」などと、小さい「ヶ」を用いた表記は今でも目にすることがありますよね。ただ、これも古い書き方の名残ですので、現在では用いません。
「ヶ」は「け」ではなく「か」と読みます。なぜかというと、「ヶ」は「箇」の略字の「个」がさらに変化したものだからなんです。「箇」は「竹」に「固」と書きますが、もともとは竹のように固いものを数える単位だったそうです。

こんなふうに「箇」の代用として「ヶ」が用いられ、それが定着していったんですね。ただ、これも古い文書などには出てくるかもしれませんが、現在では用いませんので、「か/カ」にしてくださいね。

「ヶ」ってそういうことだったんだ。
まとめ
・公用文などでは「○か所」、新聞では「○カ所」と書く
・数字を伴わない場合は「箇所」と漢字で書く
・「個所」や「ヶ所」は用いない
公用文と新聞とで扱いが異なるのが少し残念な気がしますが、それでも、それぞれ方針があってそうしているのだと思いますので、どちらを採用するかは立場によって決定してくださいね。