「下さい」と「ください」の使い分けはどうするの?

表記の決まりごと

はじめに

「ください」の表記ですが、「下さい」と漢字にする場合と、「ください」とひながなにする場合があります。頻度でいえば、圧倒的に「ください」とひらがなにすることのほうが多いのですが、今回は、どういう場合に漢字にするのか、またはひらがなにするのか、その使い分けについて確認していきたいと思います。

具体的な「モノ」を要求する場合には「下さい」と書く

「下さい」と漢字で書くのは、動詞としての「下さい」です。何かを要求している場合の「下さい」ですね。具体的なものを示して、「~を下さい」という場合には漢字にします。

・水を下さい。
・コーヒーを下さい。
・真っ赤なバラを下さい。
・チケットを2枚下さい。
・きびだんごを1つ私に下さい。

「~て」や「~して」に付いた「ください」はひらがなにする

ひらがなにするのは補助動詞としての「ください」です。補助動詞の多くは「~て」「~して」にくっついて、「~てください」「~してください」のように用いられます。公用文では補助動詞はひらがなで表記するように示していますし、新聞その他の表記も同様に扱っています。

・前に進んでください。
・意見を言ってください。
・名前を告げてください。
・どうか手伝ってください。

・速やかに行動してください。
・積極的に読書をしてください。
・あなたが運転してください。
・3年間は保存してください。

「お」や「ご」に続く「ください」もひらがなにする

丁寧語の「ご」や「お」を伴う場合の「ください」も補助動詞になりますので、これもひらがなで表記します。なぜ補助動詞かというと、例えば「ご起立ください」であれば、「ご」が加わった代わりに「して」が省略されてはいますが、「起立してください」と同じ形と捉えられるためです。

・ご起立ください。
・ご案内ください。
・ご提案ください。

・お出かけください。
・お示しください。
・お教えください。

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「下さい」の活用はどうなってるの?

「下さい」の活用ですが、辞書を確認すると「下さい」は「下さる」の命令形とあります。でも、「下さる」の命令形であれば「下され」のはずですよね。

どうやら、これは「下さりませ」という形の命令形ということらしいです。「ませ」であれば、確かに丁寧の助動詞「ます」の命令形です。その「ます」が取れてしまって「下さい」という形になったんですね。つまり、「下さりませ」→「下さいませ」→「下さい」とだんだんと短くなってきたというわけです。このようなことから、「下さい」は「下さる」の命令形として扱われ、丁寧な要求表現として広く用いられています。

「くだす」は「下す」でいいの?

「くだす」の場合は「下す」とします。「下す」というのは、判決や命令のほか、おなかを下す場合も「下す」ですし、敵に勝利する場合も「下す」にします。

・天罰が下ったんだよ。
・下された命令に従います。
・おなかを下しているんだ。
・4対3で強敵を下したぞ。

「くだらない」は「下らない」?「くだらない」?

「くだらない」を漢字にするかひらがなにするかは内容によって書き分けます。「下回らない」という意味であれば「下らない」、「つまらない」という意味であれば「くだらない」とひらがなにしてください。

・この宝石は億を下らないだろうな。
・来場者は30万人を下らない見込みです。

・くだらない話ばかりしないでよ。
・この本はくだらない内容だった。

まとめ

今回は「下さい」と「ください」の使い分けを考えてみました。

・具体的なものを要求する場合は「下さい」にする。
・「て」や「して」に続く場合は「ください」にする。
・「ご」や「お」を伴って用いる「ください」もひらがなにする。

日常的にとてもたくさん用いる「ください」ですので、ポイントを押さえて使い分けてみてくださいね。