公用文は「ふだん」、新聞では「普段」を用います
「ふだん」というのは、いつもと変わらない状態であることで、「ふだんの食事」や「ふだんの暮らし」」などと用いますが、「普段」と表記してあることもありますよね。どちらが正しいのでしょうか。
これは、公用文と新聞表記で異なっていて、公用文では「ふだん」、新聞表記では「普段」を採用しています。ですから、どちら寄りの立場かによって使い分けてください。ちなみに、議事録表記も「ふだん」、NHKでも「ふだん」としています。
・ふだん着 / 普段着
・ふだん使い / 普段使い
・ふだんの生活 / 普段の生活
・ふだんとは違う日/ 普段と違う日
どうして公用文などでは「ふだん」とひらがなにするのかというと、「普段」は当て字だからなんです。では、当て字はみんなひらがなにするのかというと、必ずしもそうではありませんが、新聞表記と公用文で考え方が異なっていると迷ってしまいますよね。どちらもあるということはちらでもいいと解釈して語感に合うほうを選んでみてくださいね。

どっちなのかずっと迷ってたんだ。
「不断」は漢字で書きます
「ふだん」には、「物事が絶え間なく続くこと」という意味の「不断」がありますよね。この場合は「不断」と漢字で表記します。
・優柔不断
・不断の努力
公用文は「すばらしい」、新聞では「素晴らしい」です
「すばらしい」は感心させられるさまのことですが、程度が甚だしいという場合にも用いられます。これも公用文と新聞表記で異なっていて、公用文では「すばらしい」、新聞表記では「素晴らしい」を採用しているんですね。ですから、どちらを用いても間違いではありません。ちなみに、議事録表記は「すばらしい」、NHKでも「すばらしい」と、ひらなにすることにしています。
・すばらしい成績を残した。/ 素晴らしい成績を残した。
・すばらしい活躍ぶりでしたね。/ 素晴らしい活躍ぶりでしたね。
・すばらしく大きなお屋敷ですな。/ 素晴らしく大きなお屋敷ですな。

「あの素晴らしい愛をもう一度」の印象が強いのよね。
ひらがなにする当て字の代表例
公用文においては、以下のような当て字はひらがなにすることとして示していますので、参考までに掲載しておきたいと思います。なお、ここに示したもののうち、新聞表記においては、「普段」と「素晴らしい」のほかに「思惑」を漢字表記にしていますので(○)を付しています。
・何時 → いつ
・如何 → いかん
○思惑 → 思わく
・流石 → さすが
・煙草 → たばこ
・一寸 → ちょっと
○普段 → ふだん
・滅多 → めった
○素晴らしい → すばらしい
「面白い」は当て字ではありませんでした
「おもしろい」は、公用文をはじめ、新聞表記でも議事録表記でも「面白い」と書きます。NHKのみ「おもしろい」を優先し、「面白い」も可としていますが、広く一般には「面白い」と漢字で書くことが多いですよね。
「面」というのは顔のことで、これを「おも」と読む熟語には、ほかに「面長」や「面影」があります。でも、どうして「顔が白い」で「おもしろい」になるんだろう、きっとこれは当て字だろうと私はずっと思っていたんです。
でも、当て字ではありませんでした。面の前、つまり、目の前がぱっと明るくなる感じのことを「面白し」といったそうなんです。これは万葉集にもある表記で、最初は自然の風物に用いられていて、それがだんだん気持ちが開放されて楽しいという意味になっていきました。ただ、「面白い」はもともと「興味深い」という意味で、「こっけいだ」という意味が加わるのはそのあとのことなので、後者の意味なら当て字と言えなくはありません。
もしかしたら、私と同じように「面白い」は当て字ではないかと思っている方がいらっしゃるかもしれないと思い、念のため書き添えてみました。もちろん、「興味深い」だけではなく「こっけいだ」という意味でも用いることから、半分は当て字と解釈してひらがなにするのもよいのではないかと思います。

「興味深い」も「こっけいだ」も「面白い」でいいってことだね。
まとめ
当て字はなるべくひらがなにするといっても、このように判別がつきにくいこともありますよね。当て字以外に熟字訓といって特別な読み方をするものもあります。熟字訓は別記事でまとめていますので、よかったら参考にしてみてくださいね。
最後まで読んでくださりありがとうございました!