熟語の読み方にはどんな種類があるの?
熟語は二字以上の漢字が組み合わさってできていますが、音読みと訓読みの組み合わせによって大きく次のように分けられます。
音読み+音読み
例)通学 運動 学習 帰宅 食事
訓読み+訓読み
例)野原 花畑 青空 朝日 潮風
音読み+訓読み〔重箱(じゅうばこ)読み〕
例)客間 仕事 台所 団子 晩飯
訓読み+音読み〔湯桶(ゆとう)読み〕
例)朝晩 雨具 寒気 長年 油絵
どちらの読みもあるもの
例)風車(ふうしゃ/かざぐるま)
牧場(ぼくじょう/まきば)
熟字訓って何だっけ?
熟語のうち、漢字一つ一つの読みに関係なく、熟語全体に当てはめられた読み方をするものを「熟字訓(じゅくじくん)」といいます。
例えば、「五月雨」という語であれば、「五」が「さ」、「月」が「み」、「雨」が「だれ」と読むわけではありません。「五月雨」全体で「さみだれ」と読むんですね。同じように「七夕」は、「七」が「たな」で「夕」が「ばた」ではありません。「七夕」と書いたときだけ「たなばた」と読むというわけです。これが熟字訓です。
常用漢字表の付表に熟字訓が掲載されていますが、掲載されているものの大半は義務教育で学習します。付表に掲載されていない熟字訓は基本的にひらがなで書くことになります。
ただ、熟字訓は「漢字でも書けます」という意味であって、「必ず漢字にしてください」ということではありません。例えば、「今日」は「きょう」とも「こんにち」とも読めてしまいますし、「昨日」は「きのう」とも「さくじつ」とも読めてしまいますので、誤読を防ぐために「きょう」「きのう」とすることがあります。
ほかにも、例えば「紅葉」は「もみじ」と読んでいいことになっていますが、もともと「こうよう」と読みますので、「紅葉の季節にもみじ狩りを楽しむ」などと書き分けたほうがよい場合もあります。
通常の読み 熟字訓
今日 こんにち きょう
昨日 さくじつ きのう
紅葉 こうよう もみじ
「尻尾(しっぽ)」「風邪(かぜ)」「土産(みやげ)」など、文脈によってはひらがなにしたいと感じる場合も多いと思います。漢字にするかかな書きにするかは、読み手が迷わない表記を選ぶことと、必要に応じてルビや読みがなを用いるなど工夫してみてくださいね。
なお、「明後日」は「みょうごにち」と読んで「あさって」とは読ませないことになっていますので、「あさって」という場合にはひらがなにしてください。「十八番」も「じゅうはちばん」とだけ読みますので、「おはこ」という場合にはひらがなにしてくださいね。
漢字で書ける熟字訓をまとめました
常用漢字表の付表にある熟字訓をまとめました。この中にあるものは基本的に漢字で書くことになっているので覚えておきたいところです。「□」を付したものは義務教育で学習するものです。興味がありましたら目を通してみてくださいね。
あまり聞き慣れないものもありますよね。ちなみに「築山(つきやま)」は庭園などに土砂または石などを用いて山に見立てたもの、「十重二十重(とえはたえ)」は幾重にも多くかさなるさまのこと、「伝馬船(てんません)」とは、本船と岸を往復して荷役を担う木造の小型和船のこと、「桟敷(さじき)」とは、一段高い場所にある上等な客席のことです。
□ 明日 あす
□ 小豆 あずき
海女 あま
海士 あま
□ 硫黄 いおう
□ 意気地 いくじ
□ 田舎 いなか
息吹 いぶき
□ 海原 うなばら
□ 乳母 うば
浮気 うわき
□ 浮つく うわつく
□ 笑顔 えがお
□ 叔父 おじ
□ 伯父 おじ
□ 大人 おとな
□ 乙女 おとめ
□ 叔母 おば
□ 伯母 おば
□ お巡りさん おまわりさん
□ お神酒 おみき
□ 母屋 おもや
□ 母家 おもや
□ 母さん かあさん
神楽 かぐら
□ 河岸 かし
□ 鍛冶 かじ
□ 風邪 かぜ
□ 固唾 かたず
□ 仮名 かな
蚊帳 かや
□ 為替 かわせ
□ 河原 かわら
□ 川原 かわら
□ 昨日 きのう
□ 今日 きょう
□ 果物 くだもの
玄人 くろうと
□ 今朝 けさ
□ 景色 けしき
□ 心地 ここち
居士 こじ
□ 今年 ことし
□ 早乙女 さおとめ
雑魚 ざこ
桟敷 さじき
□ 差し支える さしつかえる
□ 五月 さつき
□ 早苗 さなえ
□ 五月雨 さみだれ
□ 時雨 しぐれ
□ 尻尾 しっぽ
□ 竹刀 しない
□ 老舗 しにせ
□ 芝生 しばふ
□ 清水 しみず
□ 三味線 しゃみせん
□ 砂利 じゃり
数珠 じゅず
□ 上手 じょうず
□ 白髪 しらが
素人 しろうと
師走 しわす
数寄屋 すきや
数奇屋 すきや
□ 相撲 すもう
□ 草履 ぞうり
山車 だし
□ 太刀 たち
□ 立ち退く たちのく
□ 七夕 たなばた
□ 足袋 たび
稚児 ちご
□ 一日 ついたち
築山 つきやま
□ 梅雨 つゆ
□ 凸凹 でこぼこ
□ 手伝う てつだう
伝馬船 てんません
投網 とあみ
□ 父さん とうさん
十重二十重 とえはたえ
読経 どきょう
□ 時計 とけい
□ 友達 ともだち
□ 仲人 なこうど
□ 名残 なごり
□ 雪崩 なだれ
□ 兄さん にいさん
□ 姉さん ねえさん
野良 のら
祝詞 のりと
□ 博士 はかせ
□ 二十 はたち
□ 二十歳 はたち
□ 二十日 はつか
□ 波止場 はとば
□ 一人 ひとり
□ 日和 ひより
□ 二人 ふたり
□ 二日 ふつか
□ 吹雪 ふぶき
□ 下手 へた
□ 部屋 へや
□ 迷子 まいご
□ 真面目 まじめ
□ 真っ赤 まっか
□ 真っ青 まっさお
□ 土産 みやげ
□ 息子 むすこ
□ 眼鏡 めがね
□ 猛者 もさ
□ 紅葉 もみじ
□ 木綿 もめん
□ 最寄り もより
八百長 やおちょう
□ 八百屋 やおや
□ 大和 やまと
□ 弥生 やよい
浴衣 ゆかた
□ 行方 ゆくえ
□ 寄席 よせ
□ 若人 わこうど
まとめ
熟字訓はどのくらい読めたでしょうか。「凹凸」は「でこぼこ」とも「おうとつ」とも読むんですね。記号のようで漢字なのが面白いです。付表の熟字訓はなじみのあるものがほとんどだと思いますが、今回は確認の意味でまとめてみました。最後までお目通しくださってありがとうございました。