歓声は「キャー」、喚声は「ウォー」、喊声は「エイエイオー」
「かんせい」には「歓声」「喚声」「喊声」があって、どれも叫び声のことですが、どんなときに叫ぶかによって使い分けます。
簡単にいうと、「歓声」は「キャー!」、「喚声」は「ウォー!」「喊声」は「エイエイオー!」でしょうか。バリエーションはいろいろありますけれどもね。確認の意味で、それぞれどんな意味なのか調べていくことにしましょう。
「歓声」と「喚声」と「喊声」の違いは?
「歓声」も「喚声」も「喊声」も、どれも「声」は共通していますが、どんな声なのかというと、「歓声」は「喜びのあまり発する叫び声」、「喚声」は「驚いたり興奮したりして出す叫び声」、「喊声」は「戦場で士気を高めるためにあげる叫び声」のことです。「歓」は「よろこぶ」、「喚」は「よぶ、わめく」、「喊」は「さけぶ、大声を張り上げる」という意味があるんですね。
歓声:喜びのあまり発する叫び声
・アイドルが登場し、会場から歓声があがった。
・シュートが決まった瞬間、どっと歓声がわいた。
喚声:驚いたり興奮したりして出す叫び声
・爆発と同時に悲痛な喚声が響いた。
・喚声をあげながら川に飛び込む者もいた。
喊声(かん声):戦場で士気を高めるためにあげる叫び声
・敵陣の勇ましい喊声に圧倒された。
・円陣を組んで喊声をあげ、すぐに敵陣に攻め入った。
ただし、このうち「喊声」については、「喊」が常用漢字表にない表外字ですので、「かん声」と書くか、ルビなどを用いるなどしてくださいね。

試合が始まる前の「ファイト!オー!」とうのは「かん声」になるのね。
「鬨(とき)の声」とはどんな声?
戦国ものの時代劇やアニメなどを見ていると「鬨(とき)の声」がよく出てきますよね。これも「喊(かん)声」と似た意味です。「鬨」というのは、もともとは、大将が「エイエイ」といい、全員で「オー!」と応じるかけ声を3回繰り返していたそうです。心の準備として気合いを入れたり一体感を得たりするために声を出すんですね。
勝利したときにあげるのは「勝鬨(かちどき)」です。同じ「鬨」でも、戦い終えて勝利を確認し、喜びを共有してみんなで声を出すのが「勝鬨」です。
鬨(とき):戦闘開始に先立って士気高揚のためにあげるかけ声。
勝鬨(かちどき):戦いに勝利したときにあげるよろこびの声。
「阿鼻叫喚」とはどんな意味?
「喚」には「わめく」という意味があると書きましたが、「阿鼻叫喚」という四字熟語はご存じでしょうか。「阿鼻叫喚(あびきょうかん)」とは「人々が泣き叫び、苦しみもがくような、非常にむごたらしいさま」のことで、「その惨状は、まさに阿鼻叫喚さながらであった」などと用います。
どのくらい悲惨なのかというと、「阿鼻地獄」と「叫喚地獄」が合わさったような極度の苦しみということなんです。地獄には八大地獄というものがあり、それが「等活地獄」「黒縄地獄」「衆合地獄」「叫喚地獄」「大叫喚地獄」「焦熱地獄」「大焦熱地獄」「阿鼻地獄(無限地獄)」で、罪の種類によって行き先が決まっているんですが、そのうちの2つということですね。
うれしいことや楽しいことが重なることを「盆と正月が一緒に来たよう」などといいますが、逆に、つらいことが重なってとても苦しいことを「阿鼻地獄と叫喚地獄に同時に落ちたよう」と表現した、それが「阿鼻叫喚」なんですね。

「阿鼻叫喚」って見るからに恐ろしげな漢字だね。
いろんな声を集めてみました
ここまで、「歓声」「喚声」「喊声」について述べてきましたが、最後にいろいろな声を集めてみました。人の声ではないものもありますし、「意見」という意味の「声」もあります。工夫していろいろな声を用いてみてくださいね。
〔~声:せい〕 | 〔~声:こえ〕 | 〔その他〕 |
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怒声 奇声 銃声 音声 和声(※音楽用語) 天声 民声 肉声 美声 名声(※よい評判) 発声 男声 女声 混声 | かけ声 しわがれ声 つぶやき声 ひそひそ声 黄色い声 金切り声 神の声 鳴き声 泣き声 涙声 話し声 鼻声 風邪声 笑い声 呼び声(※評判 うわさ) | 声色(こわいろ) 声高(こわだか) 声帯模写 声優 声紋 声質 声楽 声量 声域 変声期 鶴の一声(※権威者の意見) |

「女性合唱」じゃなく「女声合唱」なのね。
まとめ
「歓声」はよく用いますが、「喚声」や「喊声」は頻度としてはあまり出番がないかもしれません。ただ、声を出すのはうれしいときばかりではありません。驚いたり元気づけのために大きな声を出すことも多いですよね。そのあたりは意識して書き分けてみてくださいね。最後まで読んでいただきありがとうございました。