新生児、乳児、幼児の使い分け/児童、生徒、学生の使い分け

編み物をするウサギのイラスト 知りたかったモヤモヤ語

新生児、乳児、幼児の使い分けは?

私たちは、「乳幼児」や「赤ちゃん」という表現に日常的に触れていますが、なんとなく使い分けているものの、正式にはどういう区分になっているのでしょうか。

新生児:生まれた直後から28日未満
乳 児:生後28日から1歳未満
幼 児:1歳から小学校就学前まで
生まれてから28日未満を新生児と呼びます。つまり4週間目までですね。妊娠中はおなかの赤ちゃんの生育を週数でカウントしますが、この流れのまま、生まれてから4週間は特別扱いします。まだ外界に出たばかりで細心の注意を払わなければならない時期ですからね。区切りよく「生後1か月まで」とすることもあるようです。
○いつまでが赤ちゃん?

「赤ちゃん」というのは生まれて間もない子どものことですが、胎児を「赤ちゃん」と呼称することもあります。また、子どもっぽいことを「赤ちゃん」と表現することもありますよね。ただ、一般的には乳児期まで、つまり1歳になるまでを「赤ちゃん」とすることが多いようです。

90歳のご婦人にとっては、60歳の息子さんは「わたしの赤ちゃん」なのかしら。

「児童」と「生徒」の使い分け/大学生は「学生」

就学後はどうでしょうか。小学生は「児童」、中学生と高校生は「生徒」で、大学生は「学生」ですので、「大学の生徒」という表現はふさわしくありません。また、幼稚園や保育園は「園児」ですので、「幼稚園生」ではなく「幼児園児」になります。日常会話の中であれば神経質に指摘する必要はないと思いますが、文章として書く場合には注意したいですね。

園 児:幼稚園(保育園)児
児 童:小学生
生 徒:中学生/高校生
学 生:大学生

保育園じゃなくて保育所だったら、それでもやっぱり「園児」なのかな?

「少年」というのは何歳ぐらい?

「少年」とは「年少の男子」の意味で用いられることが多いですが、法律などの区分においては、主に小学校就学から高校生までの年齢の男女を指します。

幼 年:小学校に入学するまでの年齢
少 年:年少の子ども 年少の男子(少女に対して)を指す場合もある
青 年:20代を中心とする若者
壮 年:一般に30歳後半から50代
中 年:40代から50代後半(壮年と老年の間)
高 年:年齢が高いこと
老 年:老いが目立ってくる年齢
法律等における「少年」
児童福祉法では小学校就学の始期から満18歳に達するまでの男女
少年法では20未満(ただし18歳と19歳は特定少年)

国語辞典や法令等を参照すると、おおむねこのような区分になりますので、これを勘案すれば「少年」というのは「小学校就学年齢から高校生ぐらいまで」になるでしょうか。ただ、「少年法」や「児童福祉法」や「青少年保護育成条例」など、法律や行政的な施策等で用いられ方が異なりますので注意が必要です。

「青年」や「壮年」の定義は曖昧で、はっきりと何歳から何歳というように定められていません。商工会や農業協同組合などの組織に「青年部」がありますが、会員の資格としては「20歳以上45歳まで」とか「20歳以上50歳以下」などとなっているので、「青年」の扱いも幅広いようです。年齢区分というより「若い人たち」という意味合いで用いられているのではないかと思います。

このように、ことばによって年齢を表すのは、個人によって抱く感覚が異なりますから危うい面がありますが、概念として示すのであれば問題ないと思います。よく見聞きする「少年のような~」という表現は、「少年」というワードに社会の重たさを知らないむこうみずさを託したもので、必ずしも年齢と結びついているわけではありませんからね。

少年漫画を読んでいれば、老若男女みんな「少年」かも。

高齢者の区分のこと

「お年寄り」というのは「年をとった人」「老人」のことですが、明確な規定があるわけではなく、主観的な要素も含まれますので、高齢者よばわりされたくない方も多いのではないでしょうか。ですから、無理に何歳からが高齢者と定めなくてもいいように思いますが、年金や介護・医療などの制度面との関わりが深いために、やはり一定の区分は必要なんですね。

高 齢 者:65歳以上
前期高齢者:65~74歳
後期高齢者:75歳以上

現在はこのように区分されています。しかし、超高齢化社会になった今、この呼称が実態に合わなくなってきている側面もありますし、引退せずにエイジレスで働く高齢者も多くなってきていますから、ゆくゆくは「高齢者」の定義も変わっていくものと思われます。

ちなみに、「老人」や「高齢者」という直接的な表現を避けて、かわりに「シルバー」もよく使われます。シルバー世代といえば高齢者世代ですし、シルバーシートなら高齢者優先席、シルバー人材センターなるものもありますよね。

「シルバー」というのは、国鉄(今のJR)が高齢者優先席を設けた際に、その席のシートの色が銀色だったことから広まったそうですが、銀色は白髪を想起させますし、地味な中にある真の実力のことを「燻し銀(いぶしぎん)」と表現したりするので、国鉄さんがいい色を選んだということでしょうかね。

高齢者をどう表現すればいいのか

エイジレスといっても、「年を取ったね」といわれてうれしい人はいませんから、言い方には気をつけなければいけませんよね。前述した「シルバー」は日本ならではの表現ですが、英語の「シニア」は日本語になって浸透しています。これは「年長者」や「先輩」という意味ですから、用いるほうとしても使いやすい表現です。

最近は「大人の~」という言い回しが、暗に高齢者を指していることもあるようです。「大人のための~」「大人のたしなみ」「大人の夏休み」など、「子供」の対義語の「大人」でありながら、どちらかというとリタイアした世代をターゲットとしたものになっていて、どちらにも受け取れますからなかなか上手な表現だと思います。

でも、あまり「大人」を乱用すると、大人と呼ばれたくない人たちが出現する可能性がありますし、「大人=高齢者」になりかねませんので、そこはほどほどにしておかないといけません。高齢者を示す場合は、そのまま「お年寄り」や「高齢者」でいいのではないかとも思いますが、キャッチコピーのような場合には適切な表現を工夫してみてくださいね。

最近は、年齢を聞かなければ、何歳なのかまるで見当がつかないよね。