「できる」と「出来る」は使い分けたほうがいいの?

知りたかったモヤモヤ語

はじめに

「できる」というときに、「できる子」などはひらがなで書きますが、「出来事」などは漢字にしますよね。「私にもできます」はひらがななのに、「作品が出来上がった」は漢字になっていることがほとんどです。

これは、単に好みの問題でひらがなや漢字にしているのか、それとも何か意味があって書き分けているのか気になりますよね。そこで今回は「できる」について確認していきたいと思います。

名詞としての「出来」は漢字にします

動詞の「できる」の前に、まず、名詞の「出来」について確認していきたいと思います。これを押さえるだけで使い分けにあまり迷わなくなります。

名詞の場合は「出来」と漢字で書きます。「出来」とは、ものができることや、できたものの状態のよしあしのことですね。用例で確認してみましょう。

・出来が悪いのでやり直します。
・さすが、仕事の出来が早いね。
・期末テストの出来が良かった。
・台風にやられて野菜の出来が悪い。

「出来」の複合語も漢字にします

「出来」には複合語がたくさんあって、「出来○○」や「○○出来」のような形で用いられますが、これらも漢字で表記します。

上出来(じょうでき)
不出来(ふでき)
出来事(できごと)
出来心(できごころ)
出来具合(できぐあい)
出来合い(できあい)
出来上がり(できあがり)
出来栄え(できばえ)
出来高(できだか)
出来損ない(できそこない)
など

このように、「出来」は、複合語も含めて漢字にするんですね。かなりたくさんの複合語があります。

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動詞は基本的に「できる」とひらがなにします

一方、動詞の「できる」についてですが、動詞の場合は基本的にひらがなにします。また、副詞的用法の場合もひらがなにします。

ただ、動詞の「できる」にはたくさんの意味があって、意味によって「できる」と「出来る」を使い分けるという解釈もありますので、それについては後段で触れたいと思います。

「できる」には、大きく分けると次のような意味があります。把握しやすいように、あえて大枠で分類しています。

①生じる 発生する
・用事ができました。
・子どもができたんだ。

②つくりだされる 完成する
・高いビルができたね。
・食事の準備ができました。

③能力がある すぐれている
・よくできた人だよ。
・算数がよくできる子だ。

④可能である
・誰でも入場できます。
・あなた、英語はできる?

副詞的な用法
・できるかぎり努力します。
・できるだけ早く来ます。
・できるなら辞退したいのですが。

このように、動詞や副詞的な用法の場合にはひらがなで「できる」と書いてください。これが新聞表記(『記者ハンドブック』)の解釈になります

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公用文は「出来る」と「できる」で使い分けます

ただし、公用文においては動詞であっても漢字にするものがあるんです。どのようなものを漢字にするのか、あるいはひらがなにするか、確認していきたいと思います。

漢字にするのは、「生じる」とか「現れる」とか「完成する」という意味の「できる」で、それまでなかったものができた場合には「出来る」と漢字にするんですね。上の用例ですと①と②がそれに当たります。

一方で、すぐれていることや可能であることを示す場合はひらがなにします。③と④がそのケースになります。

念のため同じ用例で示しておきたいと思います。

(漢字にする)
・用事が出来ました。
・子どもが出来たんだ。
・高いビルが出来た。
・食事の準備が出来ました。

(ひらがなにする)
・よくできた人だよ。
・算数がよくできる子だ。
・誰でも入場できます。
・あなた、英語はできる?

このように、新聞・マスコミ表記と公用文とで解釈が分れていると混乱する面もありますが、逆にいえば選択の余地があるということですので、読み手に伝わりやすい表記を選んでみてください。

まとめ

・名詞の「出来」や複合語は漢字で書きます。
・動詞や副詞的な用法の「できる」はひらがなにします。
・公用文では「出来る」と「できる」を使い分けます。

ここまで「出来る」と「できる」について述べてきましたが、文脈によって漢字がよいとか、かながきがふさわしいという場面が出てくると思います。あくまで判断基準をお伝えしていますので、それぞれの違いを理解したら、あとはご自分で納得できる表記を選んでみてくださいね!!