「コツをつかむ」の「コツ」はひらがな? カタカナ? 漢字?

気になることば

はじめに

「コツ」とは、「物事をうまくやるための勘どころ」とか「要領よくやるポイント」の意味で用いられていますよね。「コツを教えてください」とか「コツさえつかめば大丈夫」などと用います。

これは、どう書くのが正しいのか気になります。「コツ」とカタカナになっていることが多いということは外来語なんでしょうか。そんなわけはないと思いますが、何か難しい漢字が語源になっているんでしょうか。そこで今回は「コツ」について調べてみることにしました。

「コツ」の語源は「骨」なんです

この場合の「コツ」は「骨」のことなんですね。三省堂さんの語源辞典によれば、骨は人体を組み立てる大事な仕組みであることから、芸道における大切なポイントや、それを会得する才能のことを「骨(コツ)」と呼んでいたそうです。

それがだんだんと芸道だけではなく一般的に用いられるようになり、今では物事を行う際の急所を意味するようになったということのようです。

コツを教えてもらってもできないとへこむよね。

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「コツ」はひらがな? カタカナ? 漢字?

「コツ」の語源が「骨」であるなら漢字にしてもよさそうですよね。「骨」は「ほね」とも「コツ」と読みますし、どちらも浸透している読み方です。

そこで、それぞれの表記辞書でどのように扱っているか調べてみたところ、新聞表記の『記者ハンドブック』では「こつ」とひらがなを用いるようになっていました。もともとが「骨」という日本語ですから、「骨(ほね)」と区別してひらがなにするという考え方ですね。

一方で、議事録表記の『新訂 標準用字用例辞典』では「コツ」とカタカナにしています。これは、「こつ」とひらがなにすると、周囲の文字に埋もれて読みにくくなってしまうことに配慮した表記だと思われます。意味の違いを明確にするということもありますね。

公用文とNHKはどうかというと、それぞれの解説書に「コツ」についての言及が見当たりませんでしたので、特に指定しない、つまり書き手に委ねられていると理解してよいのではないかと思います。(間違っていたらごめんなさい)

私自身は「コツ」はカタカナで表記していますが、外来語でもないのにカナカナを用いたくないという場合は「こつ」にしてくださいね。

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「骨」を「コツ」と読むものは?

念のため、「骨」を「コツ」と読む場合のほかの意味を確認してみたいと思います。

骨を「コツ」と読むと「亡くなった人の骨」の意味になって、「お骨」とか「骨つぼ」などといいます。また、人間以外でも「骨子をまとめる」とか「鉄骨を使う」などと使いますし、人柄や性格のことを指して「気骨がある」とか「反骨精神」などとも用います。

そして、今回取り上げたように、「要領」とか「勘どころ」の意味の「コツ」があって、「骨のある人」を「コツのある人」と読むと、「勘のいい人」や「急所をよく心得ている人」の意味になります。

漢字一字で音読みになるのは珍しい気がする。

まとめ

「勘どころ」や「要領」という意味の「コツ」は「骨」が語源でした。ですから、ひらがなで「こつ」にするのが順当な書き方になりますが、読みやすさに配慮して「コツ」と書いても間違いではありません。実際、議事録表記では「コツ」の表記を採用しています。「こつ」でも「コツ」でも、文章の中で用いやすいほうを選んでみてくださいね。