【2024年】印象に残ったドラマの感想まとめ

日本語そもそも

2024年 みっくんが断トツに光った『ライオンの隠れ家』

私的な見解になりますが、2024年で最もよかったドラマは『ライオンの隠れ家』です。何がよかったかって、やっぱり「みっくん」役の坂東龍汰さんの演技力ですよね。すごいです。「目線を合わせない/繰り返しの行動に固執する/予定外の出来事に対応できない」など、自閉スペクトラムの特徴を本当によく勉強されていて、まるで彼自身が自閉症であるかのように演じられていました。少し間違えば、障害に対する無理解を指摘されてしまうような難しい役柄であったと思いますが、全力で演技されていて感動しました。

もちろん、主人公を演じられた柳楽優弥さんや、記者役の桜井ユキさんの演技もよかったんですが、この作品を見ごたえあるものにしたのは、なんといっても坂東龍汰さんの存在だったように思います。恥ずかしながら坂東龍汰さんのことをあまり存じ上げなかったので、出演されている過去作の『両刃の斧』というドラマを見てみたのですが、真面目な警察官を演じていらっしゃってイメージが全く異なっていました。役者さんというのはすごいものですね。ウィキによるとアメリカ生まれだそうで、英語が堪能で演技力が抜群となれば、今後ますます活躍されることでしょう。応援しています!

障害がある人を抱える家族の大変さについては、ドラマで描かれているよりもはるかに複雑で困難なものなのだと思いますが、大変であっても不幸ではないし、不幸であってはいけないのだと教えてくれるドラマでした。それに、少なくても他人の幸不幸を勝手にジャッジするような人間になってはいけないと気持ちを新たにしたところです。

扱っている題材は重いですが、めったにめぐりあえないすてきなドラマです。まだ配信されていると思いますので、見逃した方にはぜひぜひお薦めしたいと思います。

スポンサーリンク

2024年 他人事とは思えなかった『3000万』

次にいいなと思ったのは『3000万』です。全く期待せずに見始めたら、どんどんはまってしまったドラマでした。ごく普通の家族がお金をめぐって犯罪に手を染めてしまうストーリーですが、決して他人事ではなく、誰でも簡単に犯罪者になってしまうことが理解できたように思います。

まず、タイトルの『3000万』という金額設定が絶妙です。「3000万」は、お金持ちであれば「はした金」かもしれませんが、庶民にとっては「大金」です。「億」になると、どう使ったらいいかわからないような庶民が、なんとか使いこなせる大金が「3000万」なんだと思います。

ある日、普通の家族が、ひょんなことから「3000万」を手にするところからお話が始まります。私は、この「3000万」は「デスノート」だと思いました。「3000万」を得た佐々木家も、「デスノート」を手にした夜神月も、それを拾いさえしなければ当たり前の日常が続いていたはずで、少なくても犯罪に手を染めることはなかったことでしょう。特別な悪人でなくても、何かのきっかけで犯罪に向かってしまう人間の弱さと悲しさが見事に描かれていてる秀作です。安達祐実さんが、子どものためにお金が欲しい母親を熱演されていましたね。お見事でした。

スポンサーリンク

2024年 まんまとやられた『不適切にもほどがある!』

ドラマの『不適切にもほどがある!』も面白かったですね。2024年「新語・流行語大賞」の年間大賞にも「ふてほど」が選ばれたほどで、テンポがよくて、笑いの急所をついてくるしで、大いに楽しませてもらいました。宮藤官九郎さんの脚本で阿部サダヲさんが主演ですから、面白くないはずがないといったところでしょうか。

ただ、つかみがうますぎるんですね。反応のバリエーションを許さないというか、そこがちょっと残念に思ったところです。もやもやしながらも、ぐっとこらえて踏ん張っているのに、喉から手を突っ込んで無理やりくすぐってくるような、そして、計画された笑いのツボに不本意ながらはまってしまうような、そんな「不適切?」なドラマでした。

スポンサーリンク

2024年 ちょっと残念だった『光る君へ』

少し期待外れだったドラマは『光る君へ』です。不出来だったのではなく、期待が大きかっただけに、思っていたのと違ったという意味です。もしかして『源氏物語』の登場人物の輪郭がはっきりするのではないかと勘違いしてしまった自分が愚かでした。

大河ドラマ「あるある」ですが、なんといっても豪華な衣装やセットが目を引きましたね。ただ、貴族階級の「出自ガチャ」に終始してしまったのは残念でした。また、ラブストーリーに仕立てたので小さくまとまってしまった印象がぬぐえません。史料も限られていますから平安時代を描くのは難しかったことは理解していますが、私にとっては共感や学びがあまりないドラマでした。藤原道長の自己チューぶりにはあきれましたしね。

ただ、最後の最後で、自分のことがかわいそうでならなかった藤式部が、ようやく自分は残酷な加害者だったのだと自覚してくれたことだけは救いでした。それと、主役の吉高さんは左利きだそうで、書の練習をかなりがんばられたのだなと思って、そこは本当に胸が熱くなりました。