なんだかややこしい年数の数え方
「今年は3年目に突入します」とか、「5周年記念行事を開催します」、はたまた「7年ぶりに恩師と再会しました」などと、年数の表現はいろいろありますが、ちょっと勘違いしてしまったことはないでしょうか。それに、おばあちゃんが亡くなった翌年に一周忌をしたと思ったら、2年目に三回忌だなんて混乱してしまいますよね。
そこで今回は、そのあたりをはっきりさせるために年数の数え方についてまとめてみることにしました。
起点の違いによる2種類の数え方
どうして勘違いが生じてしまうのかというと、数える起点が異なるためです。まず、この違いを押さえておくことにしましょう。
年数の数え方には、最初を1としてカウントする方法と、0から始めて経過した長さを数える方法とがあって、どう数えるかで数字が異なります。特に頻出するのは「○年ぶり」と「○年目」だと思いますが、「○年ぶり」は0から始まり、「○年目」は1から始まるんですね。
0から始めてカウントするもの
○周年 ○年ぶり ○か年 まる○年
・結婚5周年の記念に旅行に行きます。
・友達と7年ぶりに再会しました。
・この事業は10か年計画で実施します。
・あれからまる8年が過ぎたところです。
1から始めてカウントするもの
○年目 ○年越し ○年がかり 足かけ○年
・この店をオープンして3年目になります。
・6年越しの夢がようやくかないそうです。
・8年がかりでようやく完成にこぎつけました。
・足かけ13年、この仕事をしています。
※下に満5年(6年目)の例を示します。

具体的に計算してみましょう。
仮に現在を2025年だとして、東日本大震災(2011年)から何年たったか計算してみます。
(2011年)-(2025年)= 14年
つまり、「震災からまる14年」が経過したことになります。そして、「○年目」という場合には「14+1=15」なので、「15年目を迎える年」になるというわけです。
厳密にいえば、現在の日付が発災した日付(3月11日)より前か後かで異なる点は注意が必要ですが、ほとんどの場合、「今年、その日を迎えると何年か」という場合に用いられるようです。
参考までに衝撃的な災害や事件の発生年を記しておきますので、今年の年数を引いて計算してみてください。「まる○年」は西暦で引き算した数、「○年目を迎える」という場合には引いた数に1を足してみてくださいね。
阪神・淡路大震災 | 1995年 1月17日 |
アメリカ同時多発テロ事件 | 2001年 9月11日 |
東日本大震災 | 2011年 3月11日 |
熊本地震 | 2016年 4月16日 |
新型コロナ日本で初確認 | 2020年 1月15日 |
ロシアのウクライナ侵攻開始 | 2022年 2月24日 |
能登半島地震 | 2024年 1月1日 |
「都合○年」とは?
「都合がいい」「都合をつける」などと用いる「都合」ですが、もともとは「合わせる」という意味なんですね。ですから、「都合5年」というと「合計すると5年」という意味になります。途中で中断したとしても、合計するとどのくらいかというときに用います。
・前職で3年、転職して5年ですから、都合8年になります。
・10年前に着手して、中断期間があったので、都合6年ほどです。
「以上」と「以下」 「未満」と「超える」
範囲を示す言い方には「以上」と「以下」、「未満」と「超える」があります。皆さん、既に日常的に用いられていることと思いますが、念のため確認しておきたいと思います。
「65歳以上」というときには65歳は含まれます。「12歳以下」という場合に12歳は含まれます。このように「以上」と「以下」は示した数を含む表現になります。
では、「20歳未満」はどうでしょうか。この場合は20歳は含みません。あるいは、「100歳を超える」というと100歳は含みません。
もちろん、正確に伝えたい場合には「18歳~64歳」というように数字で示したほうが誤解がありませんが、文章中の「以上」「以下」「未満」「超える」の用い方には注意したいところです。
「満年齢」と「数え年」
「数え年」というのは聞いたことがあると思いますが、ご自分が数え年で何歳かというのはぱっと出てこないものですよね。
数え年というのは、お正月になったらその年に生まれた人はみんな1つ年を取る数え方の年齢です。元日がお誕生日の人ばかりでなく、5月生まれでも12月生まれでも、その年の元日に一斉に年齢が追加されます。古い言い方ですが、大みそかのことを「年取り」と呼んだりするのも、大みそかを越せばみんな年を取るためです。
ややこしいのが数え始めです。数え年だと生まれた時点で1歳なんですね。そして、生まれて最初に迎えるお正月に2歳になります。そのかわり誕生日を迎えても年齢はそのままです。そうやって毎年元旦に年齢を重ねていきます。
一方で、私たちが親しんでいるのは「満年齢」です。こちらは誕生日が来るごとに年を重ねて、生まれてからまる何年たったかを年齢で示します。数え年と異なるので、七五三のお祝いを満年齢にするか数え年にするかなど迷うことがあるかもしれませんが、通常は年齢を聞かれたら満年齢を答えます。

ちなみに「○歳」ではなく「○才」という表記に遭遇することがありますが、これは簡単に書くために便宜的に用いられている当て字ですので、正式には「歳」のほうを用いてください。
年忌法要の数え方
大切な人が亡くなった場合、節目の年に年忌法要を行うことがあります。いわゆる「法事」ですね。昨今では少なくなってきているかもしれませんが、故人を浄土に導く仏教のしきたりです。
注意しなければならないのは、最初の一周忌は亡くなった翌年に行いますが、三回忌は3年目ではなく2年目になるということです。三回忌以降は亡くなった年を1と数えるんですね。その後、七回忌、十二回忌、十七回忌となりますが、これらも同じく亡くなった年を含めて数えます。
ちなみに、「初七日」は亡くなった日を含めて7日目に行います。あの世では7日ごとに関所を通って7度の裁きを受けると考えられていて、7回目の関所を通るのが49日目です。この日に死者が最後の審判を受けて極楽浄土へ旅立ちます。それで四十九日の法要を行ったりするんですね。
まとめ
・「○周年/○年ぶり/○か年/まる○年」は0を起点にする
・「○年目/○年越し/○年がかり/足かけ○年」は1を起点にする
・「都合○年」は合計した年数のことである
・「以上」「以下」はその数を含む
・「未満」「超える」はその数を含まない
・「数え年」は生まれた時点で1歳で、お正月ごとに年齢を加える
・一周忌は1年後、三回忌は2年後に行う
今回は年数や範囲の書き表し方についてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました。