はじめに
「決まり事」という意味の「きてい」には「規定」と「規程」がありますよね。これってどっちを使ったらいいか迷ったことはありませんか? 読み方が同じで漢字も似ているので紛らわしいですよね。
「きてい」というときに、ほとんど当てはまるのが「規定」です。「規程」は特別な場合にのみ用いますので、「規程」はどのような場合に用いるのかを押さえておくのが使い分けのポイントになります。
「規定」と「規程」の関係は「木と葉っぱ」に似ています。それぞれの葉っぱが「規定」だとすれば、その木全体が「規程」なんですね。
どういうことなのか、もう少し詳しく見ていったほうがよさそうです。今回は、「規定」と「規程」について解説していきたいと思います。
※なお、ここで解説している内容は「公用文」や「新聞・マスコミ」などが踏襲しているものです。ビジネスの現場での運用と異なっていることもありますが、原則を押さえたい場合に参考にしてください。
「規定」の意味と使い方
「規定」は、「①決まりを定める」という動詞と、「②定められた規則や条文」という名詞の両方の形で使うのが特徴です。
「規定する」や「規定される」のように動詞として用いるのは「規定」だけで、「規程する」とは使いません。ここが大きなポイントです。
また、「定められた規則や条文」という意味で、「規定の人数」や「規定の服装」「規定に従う」というように用います。
「規定」=①判断のよりどころを定めること(動詞)
②よりどころとなるべき個々の規則や条文(名詞)
念のため、それぞれ用例で確かめてみましょう。
規定=①「定める」こと(動詞)
・規定した用具以外の持ち込みを禁じます。
・納税の義務は法律で規定されています。
・副業については第5条に規定されています。
・契約書に規定された手続きを淡々と進めます。
規定=②「定めの中身」(名詞)
・規定の人数に満たなければ開催は見送ります。
・大会の規定によりプロ選手は参加できません。
・契約書には損害賠償に関する規定が含まれている。
・規定の回数を超えて欠席すると単位が認められない。
「規程」の意味の違いと使い方
一方で「規程」は役所や会社などでよく用いられますが、前述した「規定」が集まったものが「規程」です。
「規程」は、一部の条文だけを指す場合も用いません。あくまで条文の総体が「規程」です。このように、「規程」は取り決めた文書などの「名称」として用いますので、「規程する」とか「規程される」などと動詞としては用いません。
冒頭でも触れましたが、木にたとえれば、それぞれの葉っぱが「規定」だとすれば、その木全体が「規程」です。一本一本の枝、つまり「章」や「項」も含めず、あくまで「木」の名称が「規程」です。そのため、「服務規程」や「文書管理規程」のように、主に決まりごとの名前として用います。
「規程」=特定の事項に対する規定の全体
用例で確かめてみましょう。
・会社には詳細な就業規程が整備されている。
・服務規程に定められていることに矛盾しています。
・出張に行く前に旅費規程に目を通しておこう。
・文書管理規程を見ると、資料の保存期間は3年です。
・安全管理規程の見直しが求められています。
「社内規定」か「社内規程」か
「社内規定」か「社内規程」かですが、これはどちらもあります。もしも、その会社で「社内規程」というタイトルの文書があって、それを指していれば「社内規程」ですし、「社内の取り決め」という意味であれば「社内規定」です。
・社内規定でパソコンの持ち帰りはできません。
(「社内での取り決め」という意味)
・「社内規程」の30ページを参照してください。
(「社内規程」という文書が存在する)
法令の名称に「規程」が使われない理由
「規定」と「規程」は紛らわしので、混乱を防ぐために、国で出している「法令における漢字使用等について」という文書においては、「「規程」は法令の名称としては原則として用いない。「規則」を用いる。」と定めています。
「法令における漢字使用等について」(内閣法制局 平成22年11月30日)より
「規程」は法令の名称としては原則として用いない。「規則」を用いる。
これは行政機関が定める「法令」に限ったことですので、一般に効力は及びません。しかし、このことは、「規程」は「規則」とほぼ同じ意味で、「規程」は「規則」に言い換えられることを示しています。
確かに「規則する」とは言いませんので、迷ったら「規則」に言い換えてみて、意味が通じたら「規程」にするというのもいいかもしれません。
おわりに
「きてい」には、ほかに「既定」もありますね。これはすでに決まっていることです。「規定」と「既定」もちょっと紛らわしいですが、「既定」は「未定」の反対語として覚えてみてくださいね。
ここまで「公用文」や「新聞」などの公的なルールに基づいた正解をご紹介しました。冒頭で触れたように、実際のビジネス現場では、会社独自の慣用として「規程する」という表現が定着しているケースも少なくありません。
言葉は道具ですので、職場の文化や前例がある場合は「慣習」を優先させるのがスムーズな選択です。この記事の内容は「迷ったときの確かな基準」として活用してみてくださいね。
また、とても関連が深いのが「改定」と「改訂」です。「規定」は「改定」で「規程」は「改訂」にするんです。もしもよかったら参考記事にもお目通しください。最後まで読んでいただきありがとうございました!




