はじめに
大好きな『ユーリ!!! on ICE』が、『メダリスト』の登場によって再注目されているのはとてもうれしいことです。『ユーリ!!! on ICE』はフィギュアスケートのアニメで、とっても芸術性の高い傑作です。映画化が決まっていながら、世界情勢の変化で中止になってしまったのが残念でなりません(涙)。
同じくフィギュアスケートのアニメ『メダリスト』も、米津玄師さんきっかけもあって世間の話題をさらっていますが、内容もとてもいいですよね。まだ『メダリスト』は始まったばかりですが、ざっくりと両者のみどころを比べてみたいと思います。
みどころに関する比較
『メダリスト』は主人公が小学生なので子ども向けと思われるかもしれません。実際、私もそう思っていたんです。でも、コーチを主人公として捉えることもできて、人を育てる立場の大人の気づきも多い作品となっています。一方で、『ユーリ』はとても大きなテーマを扱っていて、そのテーマを競技で演じる演目に重ねています。壮大でありながら茶目っ気もあって、どの年代にも幅広く受け入れられるのではないでしょうか。
『ユーリ!!! on ICE』
テーマは、ズバリ「愛」です。まさに主人公自身が「愛」をテーマにプログラムを演じるのですが、恋愛経験がないため悩んでしまいます。でも、「愛」とはもっと違った次元のものだと気づくんですね。「愛」は、発情期の「ホルモンどばー!」という「愛」だけではありません。揺るぎない子弟間の信頼や、互いを自分以上に大切に思う気持ち、家族への思い、支えてくれる人への感謝、競い合う競い合う仲間への友愛、フィギュアスケートが好きだという気持ちなど、まさに愛があふている作品が『ユーリ!!! on ICE』です。
『メダリスト』
『メダリスト』のテーマは2つあります。まず、遅く始めることは必ずしも不利ではないということです。早く始めたほうがアドバンテージがあるのも事実かもしれませんが、どうしても育った地域や家庭環境に大きく左右されてしまいます。そのため、「いまさら遅いかも」と絶望する人もいるかもしれません。そんな人に希望を与えてくれるのが『メダリスト』です。もうひとつは、子どもを育てる大人の視点です。可能性を最大限に引き出そうとするコーチの考え方には本当に学ぶことがいっぱいです。私はもっと早く知りたかったです。
主人公の背景についての比較
まず、主人公についてそれぞれ簡単に取り上げることにします。年齢も性別も異なりますが、性格はどちらもちょっと内気であることは共通しているようです。
『ユーリ!!! on ICE』
主人公:勝生勇利(かつきゆうり)/男性/23歳/出身は九州の長谷津(架空の町)で、実家は「ゆーとぴあ かつき」という温泉施設を経営しています。実家には両親と姉がいて、地域の結びつきが強い地域性の中で育ちました。日本のフィギュアスケート特別強化選手に選ばれていますが、いまひとつパッとせずにくすぶっていて、留学先から実家に戻り、引退しようかどうか迷っているところからお話が始まります。メンタルの弱さから実力を出しきれなかったようです。
『メダリスト』
主人公:結束いのり(ゆいつかいのり)/女性/小学5年生(~6年生)/名古屋市在住で、父母と留学中の姉がいます。小さいうちからスケートを習う子が多い中で、いのりは正式に習ったことがありません。姉がフィギュアスケートをしていましたが、ケガをしてやめたことが関係しているようです。いのりは学校では目立たず、友達からも相手にされないので、自分に自信が持てるものが欲しいと思っています。ようやく母の理解を得て本格的にスケートを始めることになりました。
コーチについての比較
『ユーリ!!! on ICE』も『メダリスト』も、コーチの存在がとても大きく、どちらもコーチなしには語ることができません。コーチの年齢は同じくらいですが、その背景や人となりは対照的で、それぞれ作品を際立たせるものとなっています。
『ユーリ!!! on ICE』
コーチ:ヴィクトル・ニキフォロフ/ロシア人/男性/27歳/現役の世界トップフィギュア選手です。勇利にとっては神さまのような存在で、ずっとあこがれ続けてきました。ところが、ひょんなきっかけで勇利のコーチをみずから希望して来日し、勇利の両親が経営する温泉施設で暮らし始めます。スケートの技術や表現力だけでなく、そのルックスからも圧倒的なカリスマ性を持ち、世界が注目する人物です。
『メダリスト』
コーチ:明浦路司(あけうらじ つかさ)/男性/26歳/アイスダンスの全日本選手権に出場経験がありますが、華々しい経歴はありません。それというのも、スケートを始めたのがとても遅かったうえに、経済的な理由もあって本格的に学ぶまでに時間がかかってしまったためです。就職先が決まらずにいたときに出会ったのが結束いのりで、その才能とひたむきさに惹かれてコーチを志願します。
活躍するステージの比較
年齢の違いから、当然、活躍する舞台が異なります。それぞれ次のようなステージで活躍します。
『ユーリ!!! on ICE』
世界選手権、いわゆるグランプリシリーズが中心に描かれます。地区大会もありますが、実際にグランプリシリーズはテレビ中継されていますので、どのようなものかはなんとなく理解しやすいのではないかと思います。作中では採点方法などについての解説も入っています。試合の実況中継も本格的で、まさに実際の試合を見ているような臨場感があります。
『メダリスト』
こちらは小学生ですのでジュニアです。そのため、バッジテストやノービスといった、私などはあまり耳にしたことがない単語に触れることになります。また、体の成長著しい時期ならではの問題などもあるようです。練習方法や技術名についてわかりやすく触れられていて、実際に子どもたちがどうやって上級に進んでいくのか理解しやすいものとなっています。
音楽においての比較
『メダリスト』はまだ途中ですので現段階までの感想ですが、どちらの作品も音楽から耳(?)が離せません。
『ユーリ!!! on ICE』
「ユーリ」は音楽がとにかくすばらしい! オープニングの「History Maker」も、軽快で希望に満ちあふれていて、それでいてどこかしっとりしていて、大好きな曲です。それに加えて作中の演技で用いられているオリジナル曲が神業の領域です。何曲かあってどれもすてきですが、特にタイトルと同名の「ユーリオンアイス」というピアノ曲は流れるたびに息をのむようにして聴き入ってしまいます。 「心が洗われるよう」というのはまさにこの曲のためにある表現なのではないでしょうか。まだの方はぜひぜひお聴きになってみてください。
『メダリスト』
なんといっても米津玄師さんのオープニング曲が世間の話題をさらっています。なんでも、みずから希望して作曲されたのだとか。それだけこの作品が名作だということですね。それに、ミュージックビデオに羽生結弦さんが登場しているんです。これはすごいことですよね。どなたかが「米津玄師ぐらいのレベルになると羽生結弦をMVに呼べて、羽生結弦ぐらいのレベルになると米津玄師のMVに出演できるんだな」というようなことをお書きになっていましたが、激しく同意いたしました。
まとめ
まだ途中の『メダリスト』ですが、これからの展開が楽しみですね。個人的には『ユーリ!!! on ICE』の続きがどうしても見たいので、どうにか実現しないでしょうかね。制作にあたってこられた皆さんに心より感謝と慰労の気持ちを伝えたいと思います。


