これでバッチリ「科」と「課」の使い分け/宿題を課す 罰金を科す

もう迷わない 漢字のチョイス

はじめに

「課」と「科」はとても似ていますが、なんとなく使い分けていますよね。例えば、「理科」の勉強をしていて、出されるのは「課題」ですし、役所には「健康福祉課」があるけれども、入学試験では「健康福祉科」を受験したりします。

でも、どうして内科は「科」なのに人事課は「課」なのか、どうして税金は「課される」もので、罰金は「科される」ものなのでしょうか。今回は「課」と「科」の違いについて確認してみたいと思います。

「課」と「科」の漢字の意味はどう違うのか

「課」とはどういう意味?

まず、「課」についてですが、「課」には「割り当てる」という意味があります。それで「人事課」や「総務課」というように、割り当てられた業務には「課」を用います。また、割り当てられた仕事や勉強のことを「課題」といいますし、税金などを割り当てて負担させることを「賦課」といいます。それで税金は「課税」になるんですね。

「科」とはどういう意味?

「課」が割り当てるという意味なら、病院も「内課」や「外課」でもよさそうですが、どうして診療科は「内科」や「外科」にするのでしょうか。

それは、「科」は単なる割り当てや分担ではなく、「質や内容の違い」によって分けられものだからなんですね。「課」は「部ー課ー係」のように組織内の階層の一部分であるのに対し、「内科」「外科」「小児科」といった場合には、階層ではなく、そもそもの内容や質が異なります。国語科も社会科も上下関係があるわけではなく内容の違いです。そのような場合には「科」を用います。

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「課す」と「科す」はどう違うのか

「課す」とはどういう意味?

「課す」というのは、「仕事や義務・責任、または税などの負担を負わせること」の意味で、求めたり言いつけたりして負担を負わせる場合に「課す」を用います。

用例で確かめてみましょう。

・課されたノルマがかなりきつい。
・我々には市民を守る責任が課されている。
・月曜日までにレポートの提出が課されています。
・所得税を課されると手取りが減ってしまう。

「科す」とはどういう意味?

一方、「科」には「とが」という意味があります。「とが」というのは「とがめる」の「咎」です。それで「科す」は「法やルールに基づいて違反者に制裁を加えること」に限定して用います。

用例で確かめて見ましょう。

・反則すればペナルティーが科されます。
・被告に懲役5年の刑を科する。
・一時停止違反で反則金が科されてしまった。
・減給処分を科されたが、免職は回避できそうだ。

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「過料」と「科料」と「罰金」の違いは?

制裁といっても内容はさまざまですが、場合によってはお金の支払いが求められることがあります。制裁は「科される」ものですので、科されたお金はみんな「科料」になるかというと、そうではなくて、ほかに「罰金」と「過料」があるんですね。程度の軽いものから「過料 < 科料 < 罰金」になります。

過料(かりょう)とは?

犯罪を犯したのではなく、秩序を乱した場合に科させるものは「過料」です。例えば、禁煙区域で喫煙したとか、ポイ捨て禁止条例に違反した場合などです。つまり行政上の秩序罰ですね。

「過」は「あやまち」という意味ですので、「科料」と区別するために「あやまち料」と呼ぶこともあります。誰でもうっかり間違えることはあるものですし、逮捕されたり前科がつくようなことはありません。

科料(かりょう)とは?

一方、科料は「1,000円以上1万円未満」の金銭の納付を命じられる刑罰で、例えば、わいせつな行為を行ったり、暴力をふるったりした場合などに科されることがあるようです。

「科」は「とが」と読むことから、「過料」と区別するために「とが料」と呼ぶことがあります。「科料」は刑事罰ですので残念ながら前科がつきますので、金額はそれほどでもなかったとしても、受けるダメージは大きくなります。

ただし、車の運転をしていて一時停止を怠ったり見逃した場合などは、金額としてはこの範囲になりますが、軽微な道交法違反は「科料」ではなく「反則金」として扱い、もちろん犯罪ではありません。

罰金(ばっきん)とは?

1万円以上は「罰金」になります。上限は法律や条例によって違いますが、場合によってはかなり高額になることもあるようです。傷害や窃盗だけでなく、悪質な交通事犯や経済犯罪などに科されます。

また、「罰金」は法律用語としてだけでなく、一般用語として「罰として支払いを求めるお金」の意味で、「約束を破ったら罰金1,000円ね!」などと日常会話でも用いますし、むしろ、こちらの用い方のほうが身近なのではないかと思います。

まとめ

・「課」には割り当てるという意味があります。
・「科」は質や内容によって区分したものです。
・「課す」は仕事・義務・責任・税などの負担を負わせることです。
・「科す」は法やルールに基づいて違反者に制裁を加えることです。
・制裁として科されるものには「過料」「科料」「罰金」があります。

今回は「課す」と「科す」の使い分けについてまとめてみました。「課される」ものはしかたないとして、余計なものが「科される」ことのないようにしたいものだと思います。最後まで読んでくださってありがとうございました。