「整える」と「調える」の違いを理解しておきましょう
「ととのえる」の漢字表記には「整える」と「調える」があります。それぞれどういう使い分けをすればいいのか確認していくことにしましょう。
「整える」:乱れなくきちんとすること。本来のよい状態にすること。
・列を整える
・体裁を整える
・呼吸を整える
・足並みを整える
・準備を整える
・整った顔だち
・整った文章
「調える」:必要なものをそろえること。うまくまとめること。
・食事を調える
・縁談を調える
・調律して音を調える
・七五三の衣装を調える
・家財道具を調える
・会議の資料を調える
・示談が調う
使い分けのコツをつかみましょう
使い分けは簡単なようで、案外難しいところがあります。「準備を整える」は、「調える」のように思われるかもしれませんが、これは「整える」です。準備を「きちんとする」ということですからね。ただし、足りないものを買いそろえる意味なら「調える」を用います。会議の資料は「調える」ですが、会議で使う椅子を、乱れなくきちんと並べるなら「整える」ですし、足りない椅子を補充するなら「調える」です。
七五三の衣装をそろえることは「調える」ですが、着崩れなどの乱れを直すのだったら「整える」になります。料理の味を「調える」は、そもそも「調味」という熟語がありますから混乱はないと思いますし、料理の材料をそろえることも「調える」です。料理をたくさん食べすぎて悪くなった体調は「整える」になります。「体調」とあるので「調える」にしたくなりますが、「整える」には「よい状態にする」という意味があるので「整える」なんですね。生活のリズムも「整える」になります。
ミニミニクイズに挑戦
下の文章は「整える」でしょうか。「調える」でしょうか。考えてみてください。
3年かかった離婚調停がようやくととのったよ。 (調)
このホテル、アメニティがととのっていて最高! (調)
フルマラソンに備えて体調をととのえなきゃ。 (整)
新婚だから家具をととのえるのにお金がかかるわ。 (調)
すごい! こんなにととのった文字を書くなんて。 (整)
ひらがなの「ととのう」とはどういうこと?
話しているだけなら意識しませんが、いざ書こうとすると「整」と「調」のどっちか微妙なことがありますよね。その場合は「ととのえる」とひらがなにして大丈夫です。むしろひらがなだと、「ちゃんと考えて誤解のないように気にしているんだな」という印象があります。
また、日本語は主語を省略しがちですので、何がととのうのかはっきりしない場合もあります。それに、整理整頓するわけでも、必要なものがそろうわけでもなくて、心の状態として「いい感じになった」「すっきりした」、または「心の準備ができた」などの意味で「ととのいました」などと用いることがあります。
特定の意味を持たせたくない場合には、ひらがなの「ととのう」も工夫して用いてくださいね。