「戦う」と「闘う」の使い分け/病気や困難、格闘技は「闘う」を用います

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はじめに

「たたかう」には「戦う」と「闘う」があって、選挙は選挙戦だから「戦う」で、病気は「闘病」だから「闘う」というように使い分けているかと思います。こんなふうに熟語になっていれば使い分けに困りませんが、なかなか判断しづらいことがありますよね。そこで今回は、「戦う」と「闘う」はどのように使い分ければいいかまとめてみたいと思います。

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「戦う」の意味と用例

武力を用いて争うこと。(戦争・紛争)
相手と優劣や勝敗を競うこと。(選挙・競技・一般的な争い)

(「戦う」の用例)
・X国とY国が戦っている。
・意見を戦わせたいものだ。
・現職と新人候補の戦いだ。
・敗れたが、いい戦いだった。
・ライバル社との戦いになるだろう。

「闘う」の意味と用例

利益や権利を守るために争うこと。(労使間・裁判など)
負けないように頑張ること。(病気・困難・偏見など)

(「闘う」の用例)
・これは時間との闘いだ。
・賃上げを要求して闘う。
・裁判で闘って勝訴した。
・彼女は病気と闘っているところだ。
・雪と闘わなければならない季節になった。

「戦う」と「闘う」の使い分けポイント

「戦う」は一般用語なので、「たたかう」という場合には、まず「戦う」を当てはめてみて、そぐわない場合は「闘う」にします。

「戦う」は勝敗を決める目的、もしくは勝ち負けを前提としたものであるのに対し、「闘う」は、勝てるようにがんばること、負けないように奮闘するような場合に用います。そのため、精神的な苦痛を乗り越えようとする場合は「闘う」を用います。

使い分けに迷うような場合は、一般用語の「戦う」にするか、もしくは「たたかう」とひらがなを用います。

スポーツにおける「戦う」と「闘う」

スポーツは競技なので「戦う」を用いるのが一般的ですが、格闘技の場合は「闘」の字の整合性から「闘う」を用います。

そもそも「格闘技」とはどんな競技かというと、1対1で組み合って勝負を決する競技です。いわば「とっくみあい」のものですね。ただし、1対1であっても、武器を持って競う場合は格闘技ではありません。

調べてみたところ、『記者ハンドブック(新聞用字用例集)』に具体例が示されていたので、それをお借りしたいと思います。

戦う:剣道 フェンシング なぎなた (武器を持つ)
闘う:柔道 相撲 テコンドー ボクシング レスリング(格闘する)

もちろん、グループで争うバレーボールやサッカー、記録の点数で勝負を決める陸上や体操などは「戦う」になります。

なるほど。剣道は竹刀を持つから格闘技じゃないんだね。

「戦」と「闘」はどう違う?

漢和辞典で調べてみたところ、「戦」の字は、刃物でつばぜりあいをしている様子から生まれたもので、まさに武器を手に取って争っているのが「戦」の字の意味になります。

一方、「闘」というのは、門の字は向き合う2人を表わしていて、互いに手を突き出している様子が「闘」の字の意味だそうです。そして、それは互いに譲ろうとしない争いであることから、「負けないようにがんばる」という意味でも用いられるようになったんですね。

スポーツ以外でも「難問と格闘する」なんて使うことがあるわね。

まとめ

・戦う:武力を用いて争う(戦争・紛争)
・戦う:相手と優劣や勝敗を競う(選挙・競技など)
・闘う:利益や権利を守るために争う(労使間・裁判など)
・闘う:負けないように頑張る(病気・困難・偏見など)
・スポーツ全般は「戦う」を用いる。
・格闘技については「闘う」を用いる

今回は「戦う」と「闘う」の使い分けについてまとめてみました。裁判や労使交渉、病気や困難なもの、そして格闘技は「闘う」にすると覚えておけば、あとは「戦う」でよいということになりそうですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。