はじめに
「および」や「ならびに」という接続詞はよく用いますが、動詞の場合は「及ぶ」や「並ぶ」などと漢字で書きますので、接続詞も「及び」や「並びに」は漢字にしたほうがいいのかどうか迷いますよね。
接続詞の場合、通常はひらがなにするんですね。では、漢字を用いるのは間違いなのかというと、そうではなくて、漢字も限定的に用いられています。
そのあたりをはっきりさせておいたほうがよさそうですので、今回は「および/ならびに」と「及び/並びに」の使い方についてまとめてみたいと思います。
「及び/並びに」を用いるケースは?
「及ぶ」も「並ぶ」も動詞は漢字で書いて、「被害は全域に及んでいる。」とか「一列に並んでください。」などと用います。
迷うのは接続詞の場合ですが、新聞表記やNHK表記ではひらがなにしていますので、一般的な文章においては「および/ならびに」はひらがなにします。
一方、公用文では接続詞の「及び/並びに」は漢字にします。公用文ばかりではなく、企業や団体で作成する文書などで、公用文に準じたほうがよい場合もあるかもしれません。
公用文では「接続詞はひらがなにする」という原則がありますが、それでもあえて漢字を用いるには理由があって、告示や通知等においては正確性を期すために漢字にするのだそうです。
ただ、一般住民向けのもの、例えば広報とか解説のようなものは、読み手への配慮や社会の慣用に基づいてひらがなを用いるように示されています。つまり、行政から配られる「区のおしらせ」や「市政だより」のようなものはひらがなにするということですね。同じ公用文でもこんなふうに使い分けられているようです。
なお、議事録表記は公用文に準じて漢字を用いる立場ですので、議事録を作成する場合は「及び/並びに」は漢字にします。
「及び」より「並びに」のほうが偉い?
法令や通知などの場合に限りますが、「及び」と「並びに」の使い方には決まりがあります。「及び」と「並びに」はどちらも並列関係の語をつなぐ接続詞ですが、「及び」よりも「並びに」のほうが上位の結合に用いられます。つまり「並びに」のほうが偉いんですね。
どういうことかというと、まずは「及び」を用いて、そのあとに「並びに」を登場させますので、「並びに」を単独で用いることはありません。あるいは、名詞と名詞は「及び」でつないで、大きなくくりには「並びに」を用いることもあります。
①A及びB
・東地区及び南地区
②A、B、C及びD
・東地区、南地区、西地区及び北地区
③A及びB並びにC
・東地区及び南地区並びに西地区
④A及びB並びにC及びD
・東地区及び南地区並びに西地区及び北地区
このような力関係があるんですね。
ひらがなの「および/ならびに」は自由度が高い
このように、法令等における「及び」や「並びに」は一定の規則に従わなければなりませんが、一般にはそんなことは気にせず、名詞以外の接続に「および」を用いたり、「ならびに」を単独で用いたりします。こんなふうに自由に使っていいのがひらがなのいいところですね。
もちろん、一般の文章の接続詞に漢字を用いても、それは間違いではありませんし、何か問題になるようなこともありません。ただ、漢字にするとどうしても法令や規則の印象が強くなってしまいますので、ひらがなのほうが自由な表現が可能になります。
また、繰り返しになりますが、議事録では原則として漢字を用いる立場ですので、接続詞の「及び/並びに」は漢字にしてください。
まとめ
・一般的な文章においては接続詞の「および/ならびに」はひらがなにする。
・法令や公用文の告示や通知等では接続詞の「及び/並びに」は漢字にする。
・公用文の中でも広報や解説においてはなるべく「及び/並びに」は用いない。
・議事録においては接続詞の「及び/並びに」は漢字にする。
今回は「および/ならびに」と「及び/並びに」は使い分けについてまとめてみました。ここまで読んでいただきありがとうございました。