助詞や形式名詞はひらがな、名詞は漢字で書きます
「程(ほど)」は、「程」と漢字で書く場合と、「ほど」とひらがなで書く場合がありますよね。「2日ほど」など助詞や形式名詞の場合はひらがな、「程がある」など名詞の場合は漢字になるんです。具体的にどのように使い分けるのか見ていったほうがわかりやすいと思います。
「ほど」とひらがなで書く ①助詞の場合
・体重が90キロほどになってしまいました。
・これほどつらいなんて思ってもみなかった。
・だから、あれほど言ったじゃないか。
・あなたほど優秀な人なら何でもできるよ。
・フライドポテトほどおいしい食べ物はない。
・周囲が元気なほど、かえって気持ちがふさぐ。

こうしてみると「ほど」ってとっても便利ね。
「ほど」とひらがなで書く ②形式名詞の場合
・今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。
・今シーズンのご活躍のほど、大いにご期待申し上げます。

形式名詞の「ほど」は確かに形式的だね。直接的に言うのを避けているんだね。
「程」と漢字で書く 名詞の場合
・まだまだ程遠い道のりだ。
・程なくして父がやってきた。
・程よい歩調で進みましょう。
・やめてくれ。冗談にも程があるよ。
「身の程」は「程」がないと通じませんが、「ご検討のほど」の「ほど」はおまけのような表現で、「ご検討」としても通じます。これが主役か脇役かの違いですね。もちろん、名詞であってもひらがなで表記するのが間違いということではありませんが、原則としてはこうなりますということですね。

「身の程」や「程遠い」などの特定の言い回しを覚えれば、あとはほとんどひらがなでいいってことになりそうね。
先ほどは「先ほど」です。「先程」とは書きません。
・先ほどから申し上げているとおりです。
・今の意見は先ほどのものとどこが違いますか。
ほどほどは「ほどほど」です。「程々」とは書きません。
・勉強もほどほどにしないと体調を崩すよ。
・何をするにもほどほどがいいのさ。
よほどは「よほど」です。「余程」とは書きません。
・よほどのことがあったんだろう。
・変わるためにはよほどのきっかけが必要だ。
ただ、一般の文章においては、文脈によってさまざまに用いられているようですし、表記に自由度がある場合にはそれでよいのですが、公用文、新聞表記、議事録表記、いずれも上記のように示しています。

「よほど」を強めて「よっぽど」という言い方もあるね。
漢字の「程」はどういう意味?
漢字の「程」は物事の度合いや程度のことですが、もともとは長さや重さや程度を「はかること」の意味だったようです。はかる際には尺度を用いますよね。どの位置にあるのか、どの高さなのか、どういう内容かを示す基準のようなもの、あるいは目盛りのようなものが「程」なんですね。実際に「規程」という熟語がありますが、これは基準の集まりです。
例えば「工程」というのは、どうやって、どうやって、どうやるという手順のことです。「日程」というのは、その日は何をして、何をして、何をするという予定のことです。「課程」というのは、何を学んで、何を学んで、何を学ぶかの順序や内容のことです。「行程」というのは、どこに行って、どこに行って、どこに行くという道順を示すものです。
ちなみに「道程」というのは、そこに行き着くまでの道のりのことで、どこをどうたどっていくかということですね。すぐに『道程』という詩が思い浮かびましたので、唐突ですが掲載しておきたいと思います。お時間があればご一読ください。
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため