「静まる」と「鎮まる」の違い/「静まる」は自然に、「鎮まる」は力ずくで

もう迷わない 漢字のチョイス

はじめに

「しずまる」には「静まる」と「鎮まる」がありますよね。漢字から抱くイメージとして「静かになること」と「鎮圧されること」の違いだろうと想像しますが、痛みをやわらげる薬は「鎮静剤」ですから、どっちを用いたらよいか判断がつかないこともあります。

ただ、使い分けにはちょっとしたポイントがあるようなので、今回は「静まる」と「鎮まるについてまとめてみたいと思います。

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「静める/静まる」を使うのはどんなとき?

「静まる」というのは、「①音が静かになる」という意味で、「静まりかえる」や「寝静まる」などと用います。

ほかに、「動」の反対の「静」の意味として「②動きがなくなる」ことにも用います。こちらは、「嵐が静まる」「波が静まる」「風が静まる」というように自然現象に対して用いるほかに、「気持ちを静める」「興奮が静まる」というように心が落ち着くことにも用います。

自然現象や心の動きというのは、動いたり静まったりを繰り返すものですから、力尽くで静かにできるものではなく、どちらかといえばなりゆきに任せるしかありません。そのような場合は「静まる」にするんですね。

①音が静かになる
・静まりかえる
・寝静まる
・鳴りが静まる
・騒ぎの声が静まる

②動きがなくなる/なくす
・嵐が静まる
・波が静まる
・風が静まる
・怒りが静まる
・興奮が静まる
・心を静める
・気持ちを静める

「鎮める/鎮まる」を使うのはどんなとき?

一方、「鎮める/鎮まる」というのは、「①押さえつけて勢いを弱める」こと、または「勢いが弱まった状態」をいいます。本来ならば穏やかであるはずが、突発的なことが起こったので、それを力尽くで押さえ込むイメージですね。「内乱を鎮める」とか「反乱を鎮める」などと用います。薬の効力に頼った場合も「痛みが鎮まる」にします。

また、「②神様が鎮座する」という意味もありますので、「御霊(みたま)が鎮まる」とか「神々が鎮まる杜」などと用います。「鎮」は「文鎮(ぶんちん)」の「鎮」ですので、どっしりとして動かないのが本来の意味です。

①押さえつけて勢いを弱める
・痛みが鎮まる
・頭痛が鎮まる
・内乱を鎮める
・反乱を鎮める
・暴動が鎮まる
・猛火が鎮まる

②神様が鎮座する
・御霊が鎮まる
・神々の鎮まる杜

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まとめ:使い分けのコツ

以上のように、「静まる/静める」は自然のなりゆきで動きが落ち着く意味なのに対して、「鎮まる/鎮める」は、よくないことが突発的に起こったので、何らかの働きかけをして勢いを弱めることだったんですね。このようなことを念頭に使い分けてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。