「めど」と「目途」の使い分け/「目処」は当て字? 「めど」の語源は?

知りたかったモヤモヤ語

はじめに

「めど」というときには、ひらがなで「めど」にして、「めどがつく」とか「めどが立つ」などと書きますし、実際、そのような表記に触れていることと思います。

でも、ひらがなの「めど」だとパンチがなくて脱力しませんか? 漢字で「目処」とか「目途」にしたほうがかっこいいのに、どうしてひらがなにするんでしょうか。

今回は、「めど」の表記についてまとめていきたいと思います。

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「めど」はどうしてひらがなで書くの?

「めど」を漢字で書くなら「目処」になりますが、「処」は「ショ」とだけ読んで「ド」という読みはありません。そのため、ひらがなで「めど」にするしかないんですね。これは公用文をはじめ、新聞などのマスコミ表記すべてに共通する使い方です。

ただ、ひらがなだと周囲に埋もれて読みにくくなってしまうことから、「メド」とカタカナにすることもあります。これは、カタカナにしなければいけないということではなくて、読みやすくする工夫としてカタカナにしているのであって、基本的にはひらがなで問題ありませんが、読みやすさを考慮すればカタカナも選択肢に入ります。

「目途」は「もくと」と読む場合に用います

「めど」は「目途」とも書けそうな気がしてしまいますが、「目途」は「もくと」とだけ読んで「めど」という読みはありません。逆にいえば、「目途」とあれば「もくと」と読むんですね。

「めど」と「目途」はどう違うのかというと、ほぼ同じ意味で、どちらも「めあて」や「目標」という意味です。ただ、「めど」には「見通し」という意味があって、「めどがつく」「めどが立つ」などとも用います。

めど:めあて/目標/見通し
目途(もくと):めあて/目標

「めど」と「目途」を用例で確認しよう

前述したように、「めど」も「目途」も意味はほぼ同じですが、「目途」は文語的な表現ですので改まった言い方になります。「めど」だとくだけすぎる場合に「目途」を用いると落ち着きがいいですね。

実際に用例で確認してみましょう。

「めど」の用例
・仕事のめどが立って安心した。
・ようやく解決のめどがついた。
・来春をめどに完成させたい。

「目途(もくと)」の用例
・年度末の完成を目途に進めてまいります。
・1年後を目途として経営を健全化させます。
・5年間以内を目途に新体制に移行いたします。

「めど」は「占い」から生まれた言葉だった

どうして「めあて」や「見通し」のことを「めど」というのでしょうか。ヘンテコな表現ですし、不思議ですよね。

実は、「めど」というのは占いから生まれた言葉のようです。占い師が手にたくさんの棒を持ってジャラジャラと占っているのをご覧になったことはあるでしょうか。あの棒のことを「筮竹(ぜいちく)」というのですが、「筮竹」は「蓍木(めどき)」ともいって、もともとは「蓍(めど)」をいう植物の茎が用いられていたそうなんです。

かつては占いによって未来の予測をつけていたことから、転じて「めど」は「見通し」の意味になり、やがて「目標」の意味としても用いられるようになったんですね。

まとめ

・「めど」はひらがなで書いて、「目処」は用いません。
・「目途」は「もくと」と読んで、「めど」とは読みません。
・「目途」は文語的な表現なので改まった場面で用います。
・「めど」の語源は占いに用いる「蓍木(めどき)」でした。

今回は「めど」と「目途」の使い分けと、「めど」の語源についてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました!