はじめに:日本語は難しいの?
よく「日本語は難しい」という話を耳にしますが、日本でしか暮らしたことのない私にとって、日本語は自分が操ることのできる最も容易な言語ですので、他の言語に比べて難しいのかどうかはわかりません。
確かに主語が省略されがちなのはとらえどころのない感じがしますが、敬語や婉曲表現は他言語にもあるようですしね。ただ、他言語と比べてユニークなのは間違いありません。今回は日本語のユニークなポイントを3つに絞ってまとめてみました。日本語には魅力がいっぱいですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ユニークポイント① 文字種がいっぱい!

私たちは、小学校に入ると、まずひらがな、次にカタカナを習い、漢字も少しずつ覚えていきますよね。でも、日本に文字が入ってきた順序は逆で、最初に中国から漢字が伝わって、それを日本語に合わせて使う中からひらがなやカタカナが生まれたんです。
もともと日本には「話し言葉」はありましたが、「書く文字」を持っていませんでした。漢字が入ってきたものの、中国語と日本語では言葉の仕組みが違います。そこで、漢字を日本語の音に当てはめて使う「万葉仮名」が生まれ、それがくずして書いたものがひらがなになっていったんですね。
一方、カタカナは、漢文を読みやすくするために、漢字の間に小さく書き添えるために用いられていたものです。ひらがなとほぼ同じ時期にできました。小さくても読みやすいのが特長です。
そしてローマ字ですが、これは、日本に来た宣教師たちが日本語を学ぶために使い始めたものです。キリスト教が禁止されて途絶えてしまいますが、幕末から明治にかけて改めてローマ字表記を作り、これが近代化や国際化の中で教育などにも取り入れられていったというわけです。
私たちはふだんから当たり前のように「漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字」という、成り立ちも役割も異なる文字を使い分けていますよね。漢字は意味までわかる「表意文字」、ひらがなやカタカナは音を表す「表音文字」、ローマ字も「表音文字」で外国の方にもわかりやすい表記です。どれも大切なものですね。
これほど異なる文字を組み合わせて使う言語は珍しく、私たちは意外に高度なことをやっているといえそうです☆
ユニークポイント② 縦横自由自在

日本語の特徴として縦にも横にも書けるということがあります。世界の中で縦書きの書字体系はあまり多くはなく、以前は縦書きが一般的だった中国語や韓国語も、今では横書きが主流になりました。国の方針も関係しているようですが、ITと横書きは相性がいいので、どんどん横書きになっていくのもうなずけますね。
ただし、台湾では、日本と同じように縦書きと横書きのどちらも使われているようです。また、内モンゴル自治区で使われる伝統的なモンゴル文字は縦書きを守っているそうですよ。モンゴル文字はアルファベットに由来する文字なのに縦書きなのが面白いですね。
横書きの言語はほとんど左から書き始めますが、アラビア語などは右から左に文字を並べていきます。縦書き・横書きだけでなく、文字をどちらの方向に並べるかにも、それぞれの文化や歴史があるんでしょうね。
文字は「書く」ものから「打つ」ものへと変わってきて、これからも横書きが増えていくのだと思います。でも、日本では、国語の教科書では縦書きが多く、文芸作品も縦書きが基本ですし、新聞も縦書きが主体でしすよね。IT化がこれだけ進んでも縦書きが根強く残っています。
日本語が縦横自在なのは、漢字・ひらがな・カタカナが、基本的に一文字ずつ一つの字枠に収まりやすいためですが、横書きが浸透した現代において、それでも縦書きを手放さずにいるのは、それぞれに結びついた文化的なイメージ(縦書き=文学的・伝統的、横書き=実務的・現代的)といった感覚的なものが影響しているのかもしれません。
これからも日本語は縦書きを手放すことはないと思いますし、このフレキシブルさは誇っていいのではないかと思います。
ユニークポイント③ オノマトペが豊富!

「ワクワクが止まらない!」とか「な~んかモヤモヤする」とか「ごめん。ぼーっとしてた」とか、日本語にはオノマトペがたくさんありますよね。もはやオノマトペなしには暮らせないほどですが、実は、日本語は世界の言語の中でもオノマトペが豊かなことで知られているんです。
「オノマトペ」はギリシャ語で、「名前」を意味する オノマ と、「作る」を意味する ポイエン からできたものですが、「音や様子を言葉にする」といった意味で使われています。
擬音語: ドカーン、カチャカチャ、バーン、ザクザク
身のまわりで聞こえるさまざまな音を表します。
擬声語: チュンチュン、ワンワン、ホーホー、キャー
鳥や犬などの鳴き声、人の声などを表します。
擬態語: もちもち、すべすべ、きらきら、ふわふわ
音ではなく、ものの状態や手触り、見た目などを表します。
このうち、音や声を表す言葉は世界のさまざまな言語に見られます。例えば、犬の鳴き声は日本語では「ワンワン」ですが、英語では bow-wow(バウワウ)、ドイツ語では wau wau(ヴァウヴァウ)です。
日本語の特徴は、「もちもち」「ふわふわ」「ぷるぷる」というように、音のない様子を表すオノマトペが多いことなんですが、極めつけは、「わくわく」「ドキドキ」「モヤモヤ」のように、心理状態までオノマトペで表してしまうことなんです。
心理状態を表すオノマトペ:
わくわく、ドキドキ、モヤモヤ、どよーん、うきうき、しょぼーん など
実は、韓国語も日本語と同じように、気持ちを言い表す「擬態語」が多いことで知られていて、この2つは「擬態語」が特に豊かな言語なんです。近い言語圏にこうした共通点が見られるのも興味深いですね。
こうして見てみると、日本語は感覚をまるごと言葉で伝えようとしてきたのかもしれません。





