はじめに:「真面目」は熟字訓です
「真面目な人」というように、「まじめ」は「真面目」と書きますが、どうも当て字のような気がしてしまい、ひらがなにしたくなったりしませんか? でも、「真面目」は常用漢字表の付表に掲載されている熟字訓ですので、漢字で書いて問題ありません。安心して使ってくださいね。
「熟字訓」とは、特定の組み合わせの場合に熟語全体に当てはめられた読み方をする語のことで、「七夕(たなばた)」や「五月雨(さみだれ)」が代表例ですね。「真面目」も熟字訓ですから、この組み合わせになったときだけ「まじめ」と読みますので、「面」に「じ」という読みはありません。
「面目」は「めんぼく/めんもく」と読みますが、これに「真」がくっつくと「真面目(まじめ)」になるんですね。では、「面目」とはどういう意味なのでしょうか。
今回は「真面目」の漢字が表す意味と、どうして真剣なことを「真面目」というのかについて探っていきたいと思います。どうぞ最後までおつきあいください。
「面目とはどういう意味?
まず、「真面目」のうちの「面目」の部分ですが、「面目」には「めんぼく」と「めんもく」という2種類の読み方があります。「めんもく」は「めんぼく」の撥音ですが、現在ではどちらも明確な区別なく用いられているようです。
「面目(主として”めんぼく”)」は「人に合わせる顔」のこと、つまり「体面」や「体裁」のことで、「面目ない」の形で用いたり、「面目を保つ」や「面目が立つ」という言い方をすることもあります。
面目=人に合わせる顔/体面
(「面目の用例)
・面目ないことです。
・面目ありません。
・面目丸つぶれです。
・面目が立ちました。
・面目を保ちたい。
また、「面目(めんもく)」には「顔かたち」や「顔つき」、または「容姿」や「姿」の意味があって、こっちの意味が「真面目」に関係しているようです。
面目=顔つき/姿
どうして真剣なことを「まじめ」というの?
では、どうして真剣なことを「まじめ」というのでしょうか。まじめの「目」は「目つき」のことなんですね。どういう目つきなのかというと、「まじまじとした目つき」が「まじめ」の語源です。
「真面目」の語源=まじまじとした目つき
「まじまじ」というのはどういうことかというと「まじろぐ」ことです。「まじろぐ」は漢字で書けば「瞬ぐ」になって、まばたきをすることなんですね。つまり、目をぱちくりさせながら熱心に取り組む姿、これが「まじめ」のもともとの意味だったんです。
「面目(めんもく)」とは「顔つき」や「容姿」のことでしたよね。それが真剣であることの意味で「真面目」の漢字があてられたと考えられます。
「真面目」は「しんめんもく」とも読む
「真面目」は「しんめんもく」とも読みますが、現在は「真面目」は「まじめ」という熟字訓になっていますので、「しんめんもく」と読ませたい場合はルビをや読みがなを添えることになっています。「しんめんぼく」と濁って読むこともあります。
「面目(めんもく)」とは「顔つき」や「容姿」のことですので、それに「真」が加わって「真面目(しんめんもく)」になると「本来の姿」になり、転じて「真価」の意味になります。
真面目(しんめんもく)=真価
このように、同じ語であっても、読み方によって、「まじめ」だと「真剣」、「しんめんもく」だと「真価」というように、意味が異なるんですね。
まとめ
・「真面目(まじめ)」は常用漢字表の付表に示されている熟字訓です。
・「面目(めんぼく)」は「人に合わせる顔」や「体面」のことです。
・「面目(めんもく)」は「顔つき」や「姿」のことです。
・「真面目」の語源は、目をぱちくりさせながら熱心に取り組んでいる姿です。
・「真面目」は「しんめんもく/しんめんぼく」と読むと「真価」の意味になります。
今回は「真面目」は漢字で書いていいのか、どうして真剣なことを「真面目」というのかについて、そして「真面目」の語源についてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました。


