「通り」と「とおり」の使い分けはどうすればいいの?

花を持ったカバのイラスト 表記の決まりごと

形式名詞の「~のとおり」はひらがなで書きます

「~のとおり」というのはよく用いられる表現ですよね。「冒頭で申し上げたとおりです」「田中さんの意見のとおりにしましょう」「そのとおり!」などと用います。「そっくりそのまま同じこと」の意味で用いられて、本来の「通り」の意味から離れてしまっています。これを形式名詞といいます。この場合は「通り」ではなく「とおり」とひらがなで書くんですね。「とうり」ではなくて「とおり」と書くことに注意してくださいね。

・あなたの言うとおりになったよ。
・練習のとおりにやれば絶対大丈夫だ。
・詳しい状況については資料のとおりとなります。
・例年どおりの内容で問題なさそうです。
・望みどおりの地位を与えましょう。

「とうり」じゃなくて「とおり」なんだね。

「通り」と書くのはどんな場合?

もちろん「とおり」を「通り」と書く場合もあります。道路の往来や道路の名前のほか、何かが通過する場合、方法・手段などです。

・通りを渡る際は十分に安全を確認してください。
・通りがけに懐かしい人に出会った。
・トンネルを通り抜けるとそこは青空だった。
・光がカーテンの隙間から通り、まぶしく感じた。
・3通りの選択肢から選んでください。
○そのほかに「通り」には特定の言い回しもあります。
・通り名  (通称、通名)
・通り相場 (世間一般の評価や価値)
・通り言葉 (世間一般で通用する言葉)
・通り雨  (ひとしきり降ってすぐやむ雨)
・通りいっぺん (うわべだけで誠意がないこと)

「通して」や「通じて」は漢字で書きます

また、「通す」は漢字で書きますので、「通(とお)して」という表現は漢字になります。「通(つう)じて」も同様に漢字です。「とおり」と混同しやすいので注意したいポイントですね

・外国を通して自国を知ることもある。(とおして)
・外国を通じて自国を知ることもある。(つうじて)
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・会話を通して理解を深めましょう。(とおして)
・会話を通じて理解を深めましょう。(つうじて)

「どうりで~」は「どうり」と書きます

「どうりで~だと思った」という場合ですが、逆にこれは「どうりで」で、「どおりで」ではないことに注意してください。なぜかというと、無理やり漢字で書けば「道理で」になるためです。「道理」というのは「理由」や「論理」という意味で、「それでは道理が通らない」などと用いますが、副詞になるともともとの意味が薄れますので、「どうりで~」とひらがなで表記します。

・ごまかしてたの? どうりで計算が合わないはずだ。
・剣道二段の腕前ですか。どうりでお強いはずだ。
・3歳からピアノを習っていたなんて、どうりでお上手なわけです。
・お母さんは元女優さんなんだって? どうりできれいだと思ったよ。

やばっ! 今まで「どおりで」にしてた!