ティッシュは「配布」、資料は「配付」?

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「ハイフ」には「配布」と「配付」の2種類があります

「ハイフ」とは配って渡すことですよね。広く用いられているのは「配布」ですが、実は2種類の表記があって、それが「配布」と「配付」です。

配布」とは、多くの人に行き渡らせるように配ることです。街頭でポケットティッシュを配ったり、チラシを配ったり、試食品を配ったり、いろいろなものを配りますが、この場合の対象は不特定多数となります。「布」には広く行き渡らせるという意味があるんですね。

配付」とは、一人一人に配ることで、「これはあなたの分、これはあなたの分」というように、あらかじめ配る相手が決まっている場合に用います。会議の資料を出席者に配ったり、始業式で教科書を配ったり、選手にユニフォームを配ったりする場合です。「付」にはぴったりとくっつけるという意味があります。

配布:広く行き渡らせるように渡す
配付:決まった相手に確実に渡す

ただし、新聞表記では、それを区別せずに「配布」に統一していますし、一般市民向けの広報などの公用文もしかりです。一方、議事録表記の『標準用字用例辞典』とNHKの『漢字表記辞典』では「配布」と「配付」を使い分けていますし、公用文においても、引用する法律に「配付」の文字がある場合などは区別して用います。

したがって、一般的には「配布」で大丈夫ですが、作成する文書によっては「配布」と「配付」を使い分けるようにしてくださいね。

「配布」を使っておけば、とりあえず大丈夫そうね。

頒布会ってどういう会?

「配布」に似た意味に「頒布(はんぷ)」があります。こちらも「布」ですから広く行き渡らせるほうですね。「頒」は「分ける」ことですから、「頒布」で「広く分かち配って行き渡らせること」の意味になります。

ただ、「頒布会」となると少し違っていて、こちらは有料で会員になって、特定のカテゴリー内で異なった種類の商品を定期的に送ってもらうサービスとして用いられています。「広く分かち配る」よりも「いろんな商品を送る」というようなニュアンスですね。お酒とかフルーツなど高級なものが多いイメージです。私はちょっと手が出ませんが、利用されている方もいらっしゃるのでははないでしょうか。

「定期購入」というものもあって、こちらは同じ商品が届きますが、頒布会では、1月はメロン、2月はイチゴなどと違った商品が届く点が異なります。ちなみに、「サブスクリプション(サブスク)」は、商品ではなくてサービスを利用するためのもので、モノは届きません。

サブスク貧乏になりつつある僕なのでした。

「配布」や「配付」に似た言葉を確認しておきましょう

私たちが便利に利用しているネットショッピングをはじめ、小包や手紙などは、対面では受け取れないので「送付」してもらいます。これは「付」ですから特定の人に送る意味になりますね。不特定多数の場合はポスティングです。漢字にすると「軒並(のきなみ)配布」でしょうか。

・配達:品物や郵便物を指定された家などに届けること
・配送:品物などを発送して配達すること
・配給:限られたものを割り当てて配ること
・配電:変電所から必要な場所に電気を配給すること
・配水:上水道などの水を必要な場所に配給すること
・配本:発行された本を書店や購入者に配ること
・配食:調理した食事を届けること

「添付」と「貼付」について

「配付/配布」するだけではなくて、「添付(てんぷ)」もよく用いられます。身近なところではメール添付でファイルを送ることでしょうか。「添付」は「添えるてくっつける」と書きますから、補足となるものを付け加えることです。

一方で、「貼付」もあります。これは「ちょうふ」と読みます。履歴書に写真をのりで貼るときなどに「貼付する」といいますよね。ただ、これは慣用読みとして「てんぷ」の読みが許容されている不思議な熟語です。「貼」には「チョウ」と「はる」という読みしかないのに、常用漢字表では欄外にわざわざ「テンプとも」と示しています。ですので、「貼付」は「ちょうふ」と読んだほうがいいですが、「てんぷ」でも大丈夫です。

僕は履歴書に写真を「てんぷ」してくださいといわれて、クリップで留めて提出したことがあるんだ。今思えば恥ずかしい。