「万歳」とはどういう意味?
万歳=万年(長い期間)
選挙の時期になると、必ずといっていいほど万歳三唱をしているシーンが映し出されますよね。「万歳」というのはおめでたいことですから、万歳三唱は「めでたーい! めでたーい! めでたーい!」と唱和していることになります。
どうして「万歳」がおめでたいことなのかというと、「万歳」は「万年」という意味です。つまり、いつまでも長く栄えることなので「おめでたい」という意味で使われているんですね。ダイレクトにいえば「万年! 万年! 万年!」と唱和していることになります。
もともと中国では、天子や国家が長く続くことを祝して「万歳」と唱える風習があって、それが日本に伝わったものだそうです。
「万歳」と「バンザイ」は違うの?
バンザイ:お手上げだ
「万」も「歳」もどちらも常用漢字ですから「万歳」と書きますが、あえて「バンザイ」とカタカナで書くことがあります。カタカナにするのは、多くはおめでたくない場合です。おめでたくない「バンザイ」というと、「お手上げだ」いうことですね。
事業に失敗してしまったり、破産してしまったり、どうすることもできなくなった場合に「もうバンザイだ」とか「バンザイするしかないよ」などと用います。
また、体のポーズとして、手を上に上げてほしいときに「バンザイしてください」などと用います。子どもの着替えなどでもそんなふうに声をかけるのではないでしょうか。子どももそうやって「バンザイ」という表現に触れていくんですね。
あるいは、ちょっとうれしいことがあったとき、それほど仰々しくせずに、「バンザーイ。ポイントが2倍もらえた!」のように使うこともありますよね。カタカナの「バンザイ」にするとカジュアルに使えてしまうのが不思議です。
これらは、もちろん「万歳」と漢字で書くこともできますが、カタカナの「バンザイ」が好まれます。
「千秋」も「万歳」も「長い期間」のこと
「万歳」とは「万年」のことですが、「千年」は「千秋(せんしゅう)」といいます。「千秋」は「秋を千回も迎えるほど」ですから、やはり「とても長い期間」という意味になります。「一日千秋」という四字熟語がありますが、これは「一日が千日のように長く感じられるほどに恋しいこと」すよね。このように「千秋」も「万歳」も「長い期間」のことだと覚えておくと便利です。
千秋楽とは?
千秋楽:同じ演目を長い期間上演した最終日
「千秋」は「千年」のこと、つまり、長い期間のことだと書きましたが、相撲の最終日を「千秋楽」といいますし、歌舞伎や舞台の最終日も「千秋楽」といいますよね。これは、「長い期間続いたものが終わる最後の日」を表す業界用語で、同じ演目を繰り返し上演してきたような場合に、その最後の日のことをいいます。
千秋万歳(せんしゅうばんぜい)とは?
千秋万歳(せんしゅうばんぜい):永遠
「千秋」は「千年」、「万歳」は「万年」で、どちらも長い期間のことですが、「千年」と「万年」を重ねた「千秋万歳(せんしゅうばんぜい)」というものもあります。こちらは、とてもとてもとてもとても長い期間、つまりは「永遠」の意味になります。
「千秋万歳」という大道芸が「漫才」の起こりだった
千秋万歳(せんずまんざい):新春をことほぐ大道芸
「千秋万歳(せんしゅうばんぜい)」は「永遠」のことでしたが、同じ漢字で違う読みをする「千秋万歳(せんずまんざい)」というものもあって、こちらはかつてあった大道芸のことをいいます。
中世ぐらいでしょうか、新年になると、宮中や寺社などに出向いて祝言を述べ、舞を披露する大道芸があって、それを「千秋万歳」といったそうです。烏帽子をかぶって鼓を打ちながら歌ったり舞を舞ったりして祝儀をもらっていたようです。
これが近代になると、「太夫(たゆう)」と「才蔵(さいぞう)」という2人組が滑稽な踊りや掛け合いを見せる形になりました。「漫才」はそれが発展したものなのだそうです。
「漫才」は日本の芸能で、2人の絶妙な掛け合いでお客さんを笑わせる演芸のことですが、もともとは、雅な人たちを訪ねて新春をことほぐおめでたい芸能のことだったようです。「漫才」には伝統芸能と呼ぶのにふさわしい歴史があったんですね。(ことほぐ:祝福する)


