はじめに
「目」は生き物の目のことですが、単語の最後にくっついている場合、「目」と「め」の両方を見かけますよね。「1番目」や「2人目」などは「目」を使いますし、「結び目」とか「折り目」なども漢字です。一方で、「少なめ」とか「大きめ」とか「短め」などは「め」とひらがなになっています。
その区別はどのあたりなのか気になったので、ここでまとめてみたいと思います。最後まで読んでいただけたら幸いです。
序数詞の「目」は漢字にします
まず、「1番目」や「2人目」などは「目」を用います。これは「序数詞」といって順序を示す数詞です。英語であれば「ワン・ツー・スリー」ではなく「ファースト・セカンド・サード」にしますが、それを日本語では「目」で表すんですね。
もちろん、「1番め」にしても大丈夫ですが、特にこだわりがないようでしたら「目」を使ってみてください。
(序数詞の「目」の用例)
・1番目
・2人目
・3組目
・4個目
・5本目
・6代目
・7枚目
・8両目
・9号目
ちなみに、数を数える種類を表す接続語を「助数詞」といいます。例を挙げた中でいうと「番/人/組/本」などの単位が助数詞です。同じ「じょすうし」に「序数詞」と「助数詞」があるので、ちょっと混乱してしまいますよね。
形容詞にくっつける「め」はひらがなにします
一方で、形容詞にくっついて、その程度や性質、傾向を示す場合には「め」とひらがなにします。イ形容詞に続くことがほとんどなので、「大きい→大きめ」「細い→細め」「長い→長め」のように用います。
(「め」を用いる用例)
・大きめ
・小さめ
・太め
・細め
・長め
・短め
・多め
・少なめ
・高め
・低め
ただ、最近は「きれいめ」のように形容動詞などに「め」を付けて用いられていることもあるようです。これはインパクトを持たせるためにわざとイレギュラーな使い方をしたものですが、だんだん和感がなくなってきています。これも「め」とひらがなにしてください。
境目や区別、状況などの「目」は漢字にします
序数詞以外で漢字にする場合ですが、形容詞以外のものにくっついて、境目や区別、状況などを示す場合には「目」と漢字にします。
(「目」を用いる用例)
・季節の変わり目
・折り目をつける
・長い目で見る
・日の目を見る
・結び目をほどく
・天下分け目の戦い
・抜け目のない人だ
・とんだ目に遭った
・親の死に目に会えない
・弱り目にたたり目
ただ、これは表記にゆらぎもあるんですね。例えば、新聞表記では「控え目」ですが、NHK表記では「控えめ」、また、新聞表記では「金目」ですが、NHK表記では「金め」というように若干異なります。
つまり、新聞表記では形容詞以外はみんな「目」を用るのに対し、NHK表記では「程度や性質、傾向」のことなら「め」にしているんですね。
序数詞と形容詞の変化形の「目」と「め」は使い分けやすいですが、そのほかについては統一するのは難しいですし、そもそも統一されていませんので、ご自身の語感に合うほうを用いてみてください。
「親の死に目に会えない」とはどんな意味?
「親の死に目に会えない」というのは、そのままの意味であれば「親が死ぬ瞬間に立ち会えない」ということですね。あまりに急で駆けつけられなかったり、遠距離なので間に合わなかったりしますので、親をみとることができない場合に用います。
ただ、そもそも自分が親より先に死んでしまっては、当然、親をみとることができません。「親より先に死ぬのは最大の親不孝」ともいいますが、子に先立たれた親はどれほど深い悲しみに暮れることでしょう。ですから、もともとの意味は「親より先に死んでしまう=早死にしてしまう」ということなのだそうです。どちらの意味で用いられているかは文脈で判断してみてくださいね。
「弱り目にたたり目」とはどんな意味?
「弱り目にたたり目」というのは「不運に不運が重なること」です。弱っているときに、さらに神仏にたたられたなら、これはかなりのダメージですよね。
失恋した日にお財布を落としたり、上司に叱られて帰ったら妻が家出していたり、えてして悪いことは続くものです。弱っているときは、飲もうとしていた牛乳がこぼれてしまっただけで涙がこぼれてしまいますね。
まとめ
・序数詞の「目」は漢字にします。
・形容詞に用いる「め」はひらがなにします。
・境目や区別、状況などを示す場合には「目」と漢字にします。
今回は「目」と「め」の使い分けについてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました。


