はじめに:「こわい」を漢字で書くなら「怖い」です
生きていると「こわい」ことってたくさんありますよね。でも、その気持ちの中身は少し違うので、漢字でどう書けばいいか迷ったりしませんか?
「恐怖」というくらいですから「怖い」とも「恐い」とも書けそうに思いますが、常用漢字表を見てみると、残念なことに「恐」に「こわい」という読みが示されていないんですね。
(常用漢字表より)
怖 |フ |恐怖
|こわい |怖い,怖がる
恐 |キョウ |恐怖,恐縮,恐慌
|おそれる |恐れる,恐れ,恐らく
|おそろしい|恐ろしい
ですから、ホラー映画も、バンジージャンプも、テストの結果が返ってくるのも、みんな「怖い」にします。これは自分の気持ちとして「怖い」場合ですね。
(「怖い」の用例)
・誰もいない教室は怖いな。
・怖いくらいうまく進みました。
・合否を確かめるのが怖い。

「恐怖」のうち、「恐」は「おそろしい」、「怖」は「こわい」の担当なのね。
「こわい顔」の「こわい」はひらがなです
でも、そうではない「こわい」もありますよね。心情を表す「こわい」ではなく、頑強であることや荒々しいという意味の「こわい」です。「こわい顔のお面だね」などと使います。ニュアンスとしては「恐ろしい」という意味の「こわい」も含まれますが、これはどう書けばいいでしょうか。
この場合の漢字は「強(こわ)い」が当てはまりますが、常用漢字表では「強」を「こわい」と読ませていませんので、「こわい」とひらがなにするんですね。
恐ろしい顔つきのことを「こわもて」といいますが、漢字で書けば「強面」です。でも、これも常用漢字表にない熟字訓になりますので「こわもて」とひらがなで書きます。同じように、「てごわい」も「手強い」ではなく「手ごわい」にします。
・こわい鬼の面を見て息子が泣きだした。
・彼はこわもてだけど、とっても優しいの。
・手ごわい相手だったけど、どうにか勝てたよ。
「強い(こわい)」は、もともとは「硬い」とか「ごわごわしている」という意味でした。冷めて硬くなったご飯を「強飯(こわめし)」といいますし、緊張して体が不自然に硬くなることを「強(こわ)ばる」といいますが、それも同じですね。
そこから派生して、顔つきや態度が「硬くて厳格なこと、荒々しい」ことを「こわい」と言うようになったんですね。

「コワモテ」とカタカナで書いてあるのをよく見るよね。
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「おじけづく」の表記について
怖すぎて、やっぱりやめようかなという場合に「おじけづく」といいますよね。恐怖心が増して腰が引けてしまうこと、尻込みしてしまうことです。
漢字で書くとすれば「怖じ気づく」ですが、常用漢字表では「怖」には「フ」と「こわい」の読みしか示していません。そのため、「おじけづく」とひらがなで表記するのが基本になります。「ず」ではなく「づ」ですので、そこだけ注意してくださいね。
・敵はおじけづいて引き返したようだ。
・この期に及んでおじけづくなんてどうしたの?
・おじけづいたと思われたくないんだよ。
まとめ:常用漢字表にない漢字の使い方
常用漢字表の読みにないものは、公用文や新聞では採用していませんので、使わないほうが無難ではあるものの、使ってはいけないわけではありませんし、実際、国語辞典で「こわい」を引くと「怖い/恐い」と「強い」が載っています。
ただし、表外読みである「恐い(こわい)」や「強面(こわもて)」などを用いる場合には、初出にルビや読みがなを添えるのが一応のルールになっているので、そこだけ気に留めてみてくださいね。
今回は「怖い」と「こわい」の使い分けについてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました!


