はじめに
「保証/保障/補償」のどれも私たちの暮らしの中に浸透していますし、いずれも大事なものですよね。でも、なんとなくイメージはつくものの、どうもはっきりしないこともあるのではないでしょうか。特に「保障」があやふやです。
・「保証」とは「大丈夫です」と太鼓判を押すことです。電化製品を買うと、必ず「保証書」が付いてきますから、これはわかりやすいですね。
・「保障」とは奪われないように守ることです。「社会保障」はニュースでよく見聞きしますが、認められている権利や自由が奪われないように、防壁をつくって守るのが「保障」です。
・「補償」は「償う(つぐなう)」という字があるので見当がつきますが、損害を与えたことの埋め合わせをすることです。
でも、教科書的な使われ方ばかりではないので、どの「ホショウ」か迷うこともありますよね。特に「安全の“ほしょう”」や「教育の“ほしょう”」などは複数の意味があるので注意が必要です。
そこで今回は、そんなときにどこをポイントにして書き分ければいいのかをまとめてみたいと思います。
「保証」とは太鼓判を押すこと
「保証」とは「間違いなく大丈夫ですと約束すること」です。「証」は「証し」のことですから、つまりは「太鼓判を押すこと」ですね。モノばかりでなく人物に対しても用います。
大丈夫だと約束したのですから、大丈夫ではなかった場合は、無料で修理したり新品と交換してくれますが、これも「保証」の範囲内です。
・保証書
・保証人
・保証付き
・連帯保証人
・身元を保証する
・彼の人柄は保証する
「太鼓判」というのは「太鼓のように大きいはんこ」のことで、「絶対に大丈夫だ」という意味を強調する場合に、その証明の意味で用います。
「保障」とは奪われないよう守ること
「保障」は立場や権利、生命、財産などが侵されないように守ることです。「障」の漢字は「遮る(さえぎる)」という意味がありますので、防壁になって中のものを守るイメージでしょうか。「保障」は概念や理念的な事柄に多く用いられます。
「保障」は奪われないように守ることだと書きましたが、どうやって守るかというと、条約や法律や制度を整えて守るんですね。ただし、持っていないものは守れませんから、「もともと与えられていたものかどうか」がポイントです。健康で文化的な生活を営む権利、差別されない権利、教育を受ける権利など、さまざまな権利が私たちには認められていますが、それらのものが奪われないように守るのが「保障」です。
・社会保障
・人権を保障する
・権利を保障する
・言論の自由を保障する
・最低賃金を保障する
・安全保障条約
「補償」は損害の埋め合わせをすること
「補償」とは与えた損害を、文字どおり「償う(つぐなう)」ことです。いわばマイナスを埋め合わせてゼロのラインまで戻すことですね。損害を与えたり約束が果たせなかった場合に、与えた損失に見合う金額を支払います。
・損失を補償する
・補償金
・刑事補償
・災害補償
・労災補償
・補償を求めて裁判を起こす
「保証」と「保障」の使い分けのポイント
○「安全のホショウ」は「保証」でしょうか、「保障」でしょうか。
例えば、冒険の旅に出るような場合、身の安全は誰にも確約することができませんよね。このように個人の問題の場合には「安全の保証」になります。
一方で、私たちには安全に暮らす権利がありますので、みんなに平等に与えられているものとしての安全という意味なら「安全を保障する」になります。
○「教育のホショウ」はどうでしょうか。これは教育の何を「ほしょう」するのかが明確でないと書き分けることができません。
「教育を受ける権利」や「教育を受ける機会」のことなら、みんなにもともと与えられているものなので「保障」です。
一方、「教育の質」というように、必ずしも与えられたものではなく、具体的な中身のことなら「保証」になります。
(安全のホショウ)
・今度の冒険は身の安全の保証はない。
・市民の安全の保障が先決です。
(教育のホショウ)
・高等教育の質の保証が課題です。
・教育の機会は障されているはずです。
このように、「保証」か「保障」かで迷ったら、「みんなにもともと認められたものかどうか」で判断してみてください。
保険業界における「保障」と「補償」
「ホショウ」を多く目にするのは保険関係ではないでしょうか。保険には「保障」と「補償」があって、一般的な使い方と少し異なりますので、念のため押さえておきたいと思います。
保険には大きく「生命保険」と「損害保険」があります。
生命保険(生保)=「保障」
損害保険(損保)=「補償」
生命保険の目的は、万が一のことがあったときに、残された家族の生活水準や安心が引き続き守られるようにと、あらかじめ保険会社と契約しているものですよね。命の保証は誰にも請け負えませんが、生活が立ち行かなくなる不安から守ることはできます。そのため生命保険では「保障」が使われています。
一方で、車や家などの大切なものが何らかの事情で損害を被れば、生活が一挙に不便になって深刻な影響を及ぼします。そのため、もしも壊れたときのマイナスをお金で埋め合わせることができるように、あらかじめ保険会社と契約しておくのが「損害保険」で、こちらは「補償」を用います。
この使い分けを知っていると、パンフレットを見ただけで、その保険が「生活を守るもの」なのか、「損害を埋めるものなのか」の判断がつきやすくなりますね。
まとめ
「証(あかし)」を立てたいなら → 保証
「障(防壁)」で守りたいなら → 保障
「償(つぐな)い」で埋めるなら → 補償
十分に意味は知っているつもりでも、迷ってしまいがちなのが「ほしょう」です。特に「保障」の扱いは難しいと感じることがありますが、「みんなにあらかじめ与えられているもの」なら「保障」と覚えてみてくださいね。
なお、心理学用語としての「補償」はここでは省かせていただきましたのでご了承ください。最後まで読んでくださってありがとうございました!


