はじめに
毎日、メールチェックをするたびに紛れ込んでしまう迷惑メールのことを「スパム」といいますよね。これは缶詰の「SPAM」そのものが由来なんです。
商品名が迷惑メールと同じだなんてとっても不思議に思いますが、どのような経緯でスパムメールと呼ばれるようになったのでしょうか。今回はそのいきさつについてまとめてみたいと思います。
コメディのネタにされた缶詰のSPAM
イギリスを代表するコメディグループ「モンティ・パイソン」の名前は聞いたことがあるかもしれません。主に1970年代に活動した6人グループで、イギリスが誇る伝説のコメディグループです。シュールで知的な笑いが持ち味で、世界中で大人気でした。
「SPAM」とどういう関係があるのかというと、彼らがネタとしてSPAMを使ったことが始まりです。レストランのメニューすべてにスパムが入っていて、「スパム、スパム、スパム」と連呼するシーンが話題になったんですね。
その後、1980年代の初期のネット掲示板で、同じ言葉を大量に投稿する行為を、このコントになぞらえて「スパム」と呼ぶようになりました。
これによって「スパム」は「迷惑なもの」という意味が定着し、広く大衆が電子メールを使うようになると、「スパムメール」という言い方になったというわけです。
どんなコントだったの?
いったいどんなコントだったのか、簡単にまとめてみたいと思います。ただし、著作権の関係で、概要となりますのでのでご了承ください。
バイキングがたむろするレストランにある夫婦がやってきます。メニューを尋ねると、店員はメニューを片っ端から読み上げます。
「メニューは……卵とベーコンとソーセージとスパム。スパムとベーコンとソーセージとスパム。スパムと卵とスパムとスパムとベーコンとスパム。スパムとスパムとスパムと……」
「スパムがないのはないの?」と問う妻に、店員は「スパムと卵とソーセージとスパムなら、そんなにスパムは入ってないわよ」。
夫婦の注文のやり取りが続く中、背後のバイキングたちが「スパム! スパム! すてきなスパム!」と大合唱を始めます。
その歌声はどんどん大きくなり、ついにはお客さんと店員の会話が完全にかき消されてしまう……という、めちゃくちゃカオスなコントです。
SPAMをめぐる歴史的な背景
缶詰のSPAMを製造しているのはアメリカのミネソタ州にあるホーメル・フーズという会社です。SPAMは、安くて保存が効く「魔法の肉」として、アメリカ軍の糧食としても採用されていたのだそうです。
どうしてイギリスでSPAMが一般的だったのかというと、第二次世界大戦中、アメリカからイギリスへ大量の食料援助が行われていたんですね。その代表格がSPAMだったというわけです。
戦中から戦後にかけて、なかなか肉は手に入りませんでしたので、家庭の食卓には朝から晩までSPAMが並ぶことになりました。もちろん、それはとてもありがたいものであったはずです。でも、毎日となるとさすがに飽きてしまいますよね。
きっとモンティ・パイソンのメンバーたちも、幼い頃、SPAMを食べて育ってきたのだろうと思います。そして、どこの家庭でもそうだったため、あのコントがみんなの心に刺さったのではないかと考えられます。
SPAMの製造元の粋な歩み寄りとは
でも、「迷惑なもの」の代名詞にされてしまったSPAMの製造元のホーメル社の反応はどのようなものだったのでしょうか。
さすがに最初は不快感を示していたようですが、表現の自由という意識が強い欧米では、コメディや風刺を商標権で差し止めるのは困難です。それに、世界的に人気の高いコメディグループを敵に回すのは得策ではありません。
また、ネタにされるのは悪いことばかりではありませんでした。何かと連呼されることで商品の知名度が上がったという側面もあったんですね。
そのため、最終的にホーメル社は、非常にユニークな声明を出してこの問題を解決しました。それは大文字と小文字の使い分けです。「缶詰の肉を指すときは、すべて大文字の「SPAM」にして、迷惑メールを指すときは、すべて小文字の「spam」と書いて区別してほしい」という公式見解を出したんです。
さらに、2005年にモンティ・パイソンがこのコントをもとにしたミュージカル『スパマロット(Spamalot)』を上演した際には、なんとホーメル社は公式スポンサーになり、会場で特別デザインの缶詰を販売したそうですよ。
まとめ
迷惑メールの代名詞になってしまった「スパム」ですが、製造元のホーメル社が「大文字(SPAM)は肉、小文字(spam)はメール」という妥協点を見つけたエピソードには、どこかホッとするような「粋な計らい」を感じます。
コメディの爆笑から生まれ、IT用語として定着し、最後には公式スポンサーにまでなってしまう、そんな寛大なホーメル社に敬意を表して、私たちも、スパムメールの場合は「カタカナ表記」または「小文字表記」を意識したいですね☆
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




