IT用語の「クッキー(Cookie)」をたどると日本の「お煎餅」に行き着いた話

漢字かな以外の表記

はじめに:ITのクッキーはフォーチュンクッキーが由来

クッキー(Cookie)とは、Webサイトの閲覧情報を保存する仕組みのことですよね。このクッキー、実は食べるクッキー、それも「フォーチュンクッキー」をイメージして名付けられたのだそうです。

フォーチュンクッキーの中にはメッセージが書いてある紙が入っていますよね。このように、「中に大切な情報が入っている」という構造がプログラムの仕組みとそっくりだったため、そう名づけられたんですね。

「フォーチュンクッキー」というと、日本ではあまりなじみがなくて、アメリカの文化のような気がしてしまいますが、実は日本人が考えたもので、しかも、もともとはお煎餅だったようなんです。

今回は、IT用語としての「クッキー」と「フォーチュンクッキー」との関係に迫ってみたいと思います。

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IT用語のクッキーとはどんな機能?

IT用語としての「クッキー(Cookie)」とは、簡単に言うと、「ウェブサイトが、訪問者のブラウザに一時的に保存させる小さなメモ帳」のようなものです。

一度ログインすれば、ページを移動してもログイン中であることを覚えていてくれますから、ページをめくるたびにIDとパスワードを入れ直す必要はありませんし、商品をカートに入れたまま別のページを見ても、中身が消えないのはクッキーのおかげです。

ただ、どのサイトを見たのかという行動履歴が記録されるため、追跡(トラッキング)に使われてしまったり、クッキーの中身が盗まれると本人になりすまされてしまう危険性もあるのでちょっと注意が必要なんですね。

最近、「クッキーの使用に同意しますか?」と聞かれることが多いのは、このプライバシー保護のルールが世界的に厳しくなったためです。

フォーチュンクッキーとはどんなもの?

日本ではあまりなじみがない「フォーチュンクッキー」ですが、アメリカやカナダの中華料理店では、食後におまけとして提供されるのが定番になっているようです。

パリッとしたバニラ味のクッキーで、中には「運勢」や「格言」が書かれた小さな紙の短冊が入っているのが最大の特徴です。これが「外からは見えないけれども、内側に情報を持っている」というプログラムの構造によく似ているというわけです。

そもそも英語で「フォーチュン(fortune)」は「運勢」とか「幸運」という意味ですので、まさに「おみくじクッキー」という表現がぴったりですね。

実は、このフォーチュンクッキーは、日本の「辻占煎餅(つじうらせんべい)」というお煎餅の発展形だったんです。

海外に渡った日本の「辻占煎餅」

かつて日本では、京都の伏見稲荷大社周辺などで、おみくじが入った「辻占煎餅」が売られていました。現在のフォーチュンクッキーより少し大きく、色は黒っぽくて、みそ味やごま味の甘辛いものでした。

ちなみに「辻占(つじうら)」とは、道の行き交う場所(辻)で行われる「占い」のことです。

この煎餅を海外に持ち込んだのは、20世紀の初頭にアメリカに移住した日本人たちです。中におみくじを入れた煎餅を、アメリカ人向けにバニラ味などの「クッキー」にアレンジして、サンフランシスコの日本茶園(ジャパニーズ・ティー・ガーデン)で提供したところ、大人気だったようです。

ちなみに、サンフランシスコの日本茶園で最初に提供したとされる萩原眞(はぎわら まこと)氏は、当時、これを「Fortune Tea Cake(フォーチュン・ティー・ケーキ)」という名前で出していたと記録されています。

なぜ中華料理店で提供されたの?

ところが、ここで第二次世界大戦が起こってしまいます。そして、その間、日本人たちは強制収容所に入れられることになり、彼らが営んでいたベーカリーや茶園が閉鎖されてしまいました。

そのすき間を埋めるようにして、当時人気だったフォーチュンクッキーを製造して提供したのは中国系のレストラン経営者たちでした。アメリカ人たちの間では「アジア系」のデザートとして定着していましたので、彼らが引き継ぐ形で中華料理店の定番メニューになっていったんですね。

さらに戦後になって、軍人たちがサンフランシスコから故郷に帰る際、「中華料理店で出るあの不思議なクッキーが食べたい!」と広めたことで、全米、そして世界中の中華料理店に広がったというわけです。

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まとめ:文化をつなぐ「運命のクッキー」

このような数奇な運命をたどったフォーチュンクッキーですが、「辻占煎餅」は今もちゃんと買うことができますし、フォーチュンクッキーも逆輸入されて、日本でもだんだん浸透してきていますよね。

歴史を振り返れば、「フォーチュンクッキー」は、「中にデータを隠し持っている」という機能だけでなく、「日本・中国・アメリカ」という異なる文化の情報を包み込んで変化してきた、いわば「運命のクッキー」だったのかもしれません。

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