はじめに
あなたは、これまでさばを読んだことはありますか? あるいはごまかしたことがありますか? いつも正直でいられたら、それに越したことはありませんが、悪気がなくても、状況によってはつい口がすべってしまうこともあるかもしれません。
では、「さばを読む」と「ごまかす」ではどっちが罪深いのでしょうか。今回は、それぞれの意味と語源から、両者を徹底比較してみたいと思います。
「さばを読む」の意味と語源は?
「さばを読む」とは、自分に都合のいいように多く言ったり少なく言ったりして実際の数を偽ることです。「読む」は「数える」と同義ですね。
語源はいくつかありますが、魚市場説が有力です。魚の鯖(さば)は非常に傷むのが早いため、売り急いで早口で数えながら次々と箱へ投げ込まれます。そのため、実際の数と合うことがほとんどありませんでした。
しかし、なかには、このことを利用して意図的に数を偽ったこともあったようです。それで「さばを読む」が数をごまかすという意味になりました。
「ごまかす」の意味と語源は?
「ごまかす」とは、目先をまぎらわせたりして事実をあざむくことです。「かす」は「まぎらかす」の「かす」だと考えられます。
「ごまかす」の「ごま」は「護摩」と「胡麻」の二説があります。
まず、「護摩かす」ですが、「護摩」とは仏教における祈祷の際に焚く「護摩木」のことです。江戸時代、「これは弘法大師がお使いになった護摩の灰です。霊験あらたかですよ~」といって、ただの灰を売る詐欺が横行していました。それで「ごまかす」が生まれたという説が有力です。
「胡麻かす」のほうはお菓子に由来します。やはり江戸時代に「胡麻胴乱(どうらん)」というお菓子がありました。このお菓子、見かけは大きく膨らんでいても、中は空洞だったことから「ごまかす」になったという説もあります。
罪の深さを検証しよう
それでは、どちらが罪深いのか検証してみましょう。
①「さばを読む」は、例えば10匹の値段で売ったのに、箱の中には8匹しか入れていないという場合ですね。
これは「計量法違反」や「景品表示法違反」、状況によっては「詐欺罪」に問われます。ただし、「忙しくて数え間違えました。わざとじゃないんです」という言い訳が通るかもしれません。その場合は代金を返したり足りない分を渡したりして解決することもあります。
②「ごまかす」は、高級マグロだといって、実際にはサバを売りつけたというような場合ですね。こちらは前者よりも罪が重く、「不正競争防止法違反」や「食品表示法違反」、そして悪質な「詐欺罪」に問われます。
この場合、だまそうという意図が明確ですから、「うっかり」という申し開きはできません。そのため「さばを読む」よりも重い処分が下るものと考えられます。
江戸時代のお裁きはどんなものだった?
もしもこれが江戸時代だったらどんなお裁きが下ったでしょうか。
【ケース1】10匹の値段で売ったのに、箱の中には8匹しか入れていなかった
お奉行さま:ほう、10と8を間違えたと申すか。けしからん。おまえが間違えた2匹分の代金は、この場で相手に返すのだ。さらに、おまえは今日から3日間、魚河岸の入り口で、「私は10までも数えられぬ阿呆(あほう)でございます」と書いた看板を首から下げて立っておれ!
【ケース2】高級マグロだといって、実際にはサバを売りつけた
お奉行さま:マグロを欲する客に安もののサバをつかませるとは、これはもはや商いではなく化け物の仕業よ。おまえの店は本日限りで「取り潰し」とする。さらに、そのサバの頭を数珠つなぎにして首にかけ、江戸中を引き回してくれようぞ。民を欺くごまかしの根性をたたき直してこい!
※上記はあくまで架空のものです。
まとめ
「さばを読む」は、主に年齢について用いられることが多いですね。若いことに価値を置く世の中にあってはどうしてもさばを読みたくなることもあるかもしれません。
ただ、もしも50歳の人が38歳ですといったら「さばを読む」の範ちゅうでありません。さばを読むといったら、せいぜい5歳ぐらいが限度ではないでしょうか。
しかも、仮に何歳であっても、年齢を偽って履歴書に書いてしまうと「ごまかす」ことになり、経歴詐称として解雇されてしまうこともあります。
ですから、さばを読むことはあっても、ごまかすことのないように、十分気をつけてくださいね。最後まで読んでくださってありがとうございました!


