「馬鹿」と「阿呆」の語源には同一人物が関係していた?!|「ばか」と「あほ」の由来と表記

なりきり知識人

はじめに

あまり使わないほうがいいとわかっていても、「ばか」とつい口走ってしまうことがありますよね。「ばか」には「馬鹿」の漢字が使われることがありますが、どうして「馬」と「鹿」なのか不思議に思ったことはありませんか?

関西圏では「ばか」よりも「あほ」を使うことが多いですよね。これは「阿呆(あほう)」を短くした言い方ですが、なんと、「馬鹿」にも「阿呆」にも、語源には同一人物が関わっていた疑いがあるんです。いったいどういうことなのでしょうか。

今回は、「馬鹿」や「阿呆」がどうやって生まれたのか、その語源や由来について、また、漢字、ひらがな、カタカナのどれを使えばいいのかなど、「馬鹿」と「阿呆」の謎に迫ってみたいと思います。

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「ばか」も「あほ」も同一人物にちなむって本当?

「ばか」はどうして「馬鹿」と書くのでしょうか。一般に知られているのが、中国の『史記』の故事によるものです。真偽の程は定かではありませんが、印象的なエピソードなので、知っているという方も多いかもしれません。

そこに出てくるのが「趙高(ちょうこう)」という人物なんですが、なんと彼は「馬鹿」だけでなく、「阿呆」の語源にもからんでいるというんですから驚きです。

では、それぞれどんなエピソードなのでしょうか。簡単に見ていきたいと思います。

「ばか」の由来はどんなこと?

まず、「馬鹿」の由来をたどってみましょう。秦の始皇帝(しこうてい)は聞いたことがありますよね。歴史の授業で習ったと思いますが、中国全土を統一した秦王朝の初代皇帝のことです。

始皇帝亡きあと、二代目皇帝(胡亥:こがい)の側近に「趙高」という人物がいたのですが、この趙高はかなり悪名高く、いわゆる超パワハラ上司だったようです。

「馬鹿」の語源とされるのはこんなエピソードです。趙高が「鹿」を連れてきて、「これは馬である」と言いました。そして、家来にどう思うかを尋ねて、「そうです。馬です!」と言った者は重用し、「いいえ。これは鹿です」と言った者は処罰したというのです。こうやって家来の従順さを確かめたんですね。

このエピソードが「馬鹿」の由来だとする説があります。

「あほ」の由来はどんなこと?

では、「阿呆」はどんなことが由来になっているのかというと、やはり秦の時代にちなみます。前述した二代目の皇帝の胡亥は、趙高にそそのかされて宮殿の奥深くにこもり、政治を趙高に任せきりにして、自分は「阿房宮(あぼうきゅう)」という巨大な宮殿で遊びほうけていました。それでついには国が滅んでしまったんですね。

そのために、愚かなことを宮殿の名前にちなんで「阿房(あぼう)なこと」と言うようになり、そこから「あほう(阿呆)」という語が生まれたようです。

皇帝をそのようにしむけたのが「趙高」でした。「阿房宮殿」をつくるために人民に過重な労役を課し、人々を恐怖で支配したために、ひどく恨みを買っていたようです。

これらが本当の語源かどうか、真偽のほどは定かではありませんが、「馬鹿」にも「阿呆」にも関連があるとされる「趙高」という人物は、かなり嫌われていたことだけは確かなようです。

語源の信ぴょう性を確かめるのは難しい

このように、私たちはストーリー性のあるものに心を奪われ、それが語源だと決めつけてしまいがちですが、言葉の由来は特定するのが難しく、確証が得られているもののほうが少ないかもしれません。もちろん「馬鹿」や「阿呆」にも別の語源説が複数あります。

例えば、「馬鹿」の由来は、サンスクリット語(古代インド語)の「baka」または「moha」という語が「無知」や「迷妄(めいもう)」という意味だったことから、それを音写して「莫迦(ばか)」や「慕何(ばか)」になったという説があります。

「阿呆」のほうは、「あわてる」という意味の「あわう」が語源であるというものや、中国の方言の「阿呆(アータイ)」に基づくという説などもあるようです。

語源というのははるか昔にさかのぼりますから、確かめるにも限度があります。ですから、「そんな説もあるみたいだよ」ぐらいにとどめて楽しんでくださいね。

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「馬鹿/ばか/バカ」の表記はどれを選ぶ?

「ばか」には「馬鹿」の漢字が使われることがありますが、新聞やNHKではそれらは当て字と解釈して「ばか」とひらがな表記を採用しています。ただ、ひらがなだと周囲に埋もれて読みにくくなってしまうので、「バカ」というカタカナも好まれますね。

ちなみに、公用文の『用字用語例集』には「ばか」は掲載されてませんでした。確かに公用文では使わなさそうです。

「あほ/あほう」についても同じで、「阿呆」や「阿房」は当て字として扱いますから、基本的にはひらがなで「あほ/あほう」にします。ただし、やはり目立たなくなってしまうため、「アホ」という片仮名表記も好まれます。

「馬鹿」を使ったことわざにはどんなものがある?

「馬鹿」には慣用句やことわざがたくさんあります。それだけ身近な表現だということなのでしょうが、代表的なものをいくつか確認しておきましょう。

なお、通常は「ばか」または「バカ」と書きますが、ことわざの場合はルビを上手に用いながら漢字表記にすることで、ことわざらしくなるのでおすすめです。

馬鹿と煙は高いところへのぼる
(煙が上に上がるように、愚か者はおだてに乗りやすい)

馬鹿とはさみは使いよう
(人を使うときは、その人の能力に応じて使うべきである)

馬鹿につける薬はない
(愚か者はどうやっても救いようがないということ)

馬鹿の一つ覚え
(いつも同じことを言う人のことをあざけって言うことば)

馬鹿のまねする利口者、利口のまねする馬鹿者
(利口ぶらないのが本当の利口者で、利口ぶるのは愚か者である)

おわりに

「ばか」とは、もちろん使わないほうがよいのでしょうが、そうはいっても悪い表現ばかりではありません。「専門バカ」「親バカ」「バカ正直」「バカ受け」などポジティブな表現としても使われます。

「おまえはバカか?」といわれたら深く傷つきますが、「バカだな。そんなこと気にしなくていいのに」といわれたらどうでしょうか。とてもうれしい気持ちになるのではないでしょうか。

このように、「ばか」も「あほ」も、たっぷりの愛情と一緒に使うことで、相手への思いやりを示す表現に変えることもできるのではないかと思います。

今回は「ばか」と「あほ」の語源と使い方についてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました!

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