はじめに
「ご無沙汰しております」とか「ご無沙汰で~す」などとあいさつしているものの、「無沙汰」とはどういう意味なのか疑問に思ったりしませんか?
「ぶ・さ・た」と口に出してみると、濁音から始まって少し重たい響きですよね。漢字で書くと「無沙汰」ですから、文字どおり「沙汰」が「無い」状態を表しています。
でも、そもそも「沙汰」って何なんでしょうか? 今回は「ご無沙汰」の意味に迫ってみたいと思います。
「沙汰」は「砂を水ですすぐこと」の意味だった
漢和辞典を引いてみると、「沙」は「砂などのざらざらしたもの」、「汰」は「水ですすぐ」という意味でした。ですから、「沙汰」は「砂などを水ですすいで余分なものを捨てる」という意味になります。
もともとは、砂と砂金をより分けたり、お米を洗って砂を取り除いたりすることを「沙汰」と言っていたそうですが、やがて「善悪をより分けること」という意味になったようです。
そして、この「沙汰」は、日本に入ってから、次の3つの意味に発展していきました。
「沙汰」の3つの発展形
(「沙汰」の3つの意味)
①沙汰の前段階(事柄・事態)
②沙汰そのもの(処置・処分)
③沙汰の後段階(連絡・話題)
発展形としては、善悪をより分ける前の段階、つまり、物事そのものという意味での「①事件/事態」の意味があります。次に、善悪を判断した結果の「②処置/処分」です。これが本来の意味に最も近いかもしれません。そして、沙汰の結果を知らせるという「③連絡/話題」という3種類の意味があります。
「①事件/事態」の「沙汰」とは?
まず、「①事柄/事態」という意味の「沙汰」ですが、「正気の沙汰ではない」なら「正気と思える事態ではない」という意味ですし、「裁判沙汰」なら「裁判になるような事態」、「警察沙汰」なら「警察にお世話になる事態」という意味で用います。
(①事柄/事態)
・正気の沙汰ではない。
・裁判沙汰になる。
・警察沙汰になってしまった。
「②処置/処分」の「沙汰」とは
次に、「②処置/処分」の「沙汰」ですが、これは、まさに善悪をより分けた段階の「沙汰」です。ちょっと古風な言い方になりますが、「追って沙汰をする」なら「追って処分を言い渡す」という意味ですし、「ご沙汰が下される」なら「処分が下される」という意味です。
「地獄の沙汰も金次第」というのは、「地獄の裁判もお金を出せば有利になる。(ならば、この世ではお金さえあればどうにでもなるだろう)」ということですね。
(②処置/処分)
・追って沙汰をする。
・ご沙汰が下される。
・地獄の沙汰も金次第。
「③連絡/話題」の「沙汰」とは?
最後が「③連絡/話題」という意味の「沙汰」です。「何の沙汰もない」なら「何の連絡もない」という意味ですし、「沙汰が届く」なら「連絡が届く」です。
「取り沙汰」というのは「うわさをする」という意味で、多くは「取り沙汰される」の形で用います。
(③連絡/話題)
・何の沙汰もない
・無事だとの沙汰が届いた
・町じゅうで取り沙汰されている
「ご無沙汰」とはどんな意味?
「ご無沙汰」とは「長い間、訪問や連絡をしないこと」ですね。この「沙汰」は「連絡」のことで、「無沙汰」で「連絡がない」になります。
ほかに「無沙汰」といえば「手持ち無沙汰」があります。これは「することがなくて困ること」をいいます。手元に仕事(沙汰)がなくて、かえって困るというわけです。
まとめ
こうして見てみると、「沙汰」という言葉の根っこには、「大切なものを残し、不要なものをより分ける」という作業の過程がすべて含まれていました。
誰かに「ご無沙汰しております」と伝えるとき、それは単に「連絡しなくてごめんなさい」という謝罪だけではなく、「本来なら、あなたに知らせるべきなのに、それができていませんでした」というように、自分を省みる気持ちが含まれているんですね。
忙しい毎日ですが、ご無沙汰しているあの人に、思い切って連絡してみるのもいいですね。最後まで読んでくださってありがとうございました!

