話し言葉を書き言葉にするにはどうすればいい?

日本語で書く

整然とした文章が必ずしも伝わりやすい文章ではない

役所などからの通知を受け取ったとき、読んでも文章が頭に入ってこないと思ったことはありませんか? もちろん、市役所や区役所の方も複雑なことをかなり工夫して書いてくださっていてご苦労がしのばれます。伝える側も大変ですよね。

ただ、このことからも、正しい文章や整然とした文章であれば読みやすいわけではないということが理解できると思います。講演などでも、よどみなく正確に話される方より、むしろ、「えー」とか「あのですね」という無駄な部分が多い方のほうが聴きやすいんです。聴き手が話に追いつく余裕があるからでしょうね。

せっかく書いても伝わらなければ意味がありません。ですから、まずは話すように書いてみて、それを書き言葉に直してみるのも一案だと思いますので、作文や小論文が苦手な人も、まずは書き慣れるところから気軽に取り組んでみてくださいね。

話し言葉を書き言葉に直すコツ

ここでは、話し言葉を書き言葉に直すコツをお伝えしたいと思います。私自身の経験から述べていますので、これがすべてということではありませんが、参考になさっていただけたら幸いです。

ラ抜けを補う

「見れる」「食べれる」など、ラ抜き言葉が一般的になっていますが、標準的な表現ではありませんから、書く場合は「ラ」を補って「見られる」「食べられる」などとしてください。

感動的な映画を見れてよかったと思います。
○感動的な映画を見られてよかったと思います。
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小さな子どもさんでも食べれるお菓子です。
○小さなお子さんでも食べられるお菓子です。

イ抜けを補う

話す場合は「イ」がよく抜けてしまいます。「立ってる」「歌ってた」などですね。むしろ「イ」が抜けていたほうがリズムはいいのですが、書く場合は「立っている」「歌っている」などと「イ」を補うようにしてください。

3時間立ってると疲れてしまう。
○3時間立っていると疲れてしまう。
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彼女が歌ってる姿が遠くに見えた。
○彼女が歌っている姿が遠くに見えた。

「テ」抜けを補う」

「やっとく」「任せとく」というように、話す場合は「テオ」が抜けて「と」になってしまいがちです。これについても、「やっておく」「任せておく」というように、「と」を「テオ」に直してくださいね。

やっといて損はない。
○やっておいて損はない。
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任せといたのが失敗だった。
○任せておいたのが失敗だった。

助詞抜けを補う

話し言葉では助詞がよく抜けます。抜けても意味は通じますが、書き言葉の場合には助詞を補いましょう。ただし、表現の工夫としてあえて助詞を抜く場合もありますので、ふさわしい表現を用いてください。

ノート、持ってくるべきだった。
○ノート持ってくるべきだった。
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電車、止まってるようだ。
○電車止まっているようだ。

「すごく」や「超」は使わない

「すごく(すごい)~」や「超~」などは、使い慣れすぎていてついつい違和感なく用いてしまいがちですが、「とても」や「非常に」など別の言葉に置き換えたほうが書き言葉らしくなります。

気温がすごい高かった。
○気温がとても高かった。
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すごくかわいい人形が飾ってあった。
とてもかわいい人形が飾ってあった。
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簡単な方法で解決できました。
非常に簡単な方法で解決できました。

「すごいいい」とか使っちゃうのよね。

「って」「っていう」という表現に気をつける

「って」や「っていう」は話し言葉ではよく用いれますが、これを「と」や「という」に直すだけでぐっと書き言葉らしくなります。

つまらないって思ったら言ってください。
○つまらない思ったら言ってください。
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まさに冬っていう気候になってきました。
○まさに冬という気候になってきました。

「いろんな」は「いろいろな」にする

「いろんな」もよく用いますが、正確には「いろいろな」ですので、ちょっとしたことですが、注意したいところです。

いろんな意見が出された。
いろいろな意見が出された。
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世の中にはいろんな考えの人がいる。
○世の中にはいろいろな考えの人がいる。

「んです」は「のです」に直す

話すときは「の」が「ん」になることが多くありますし、むしろそれが自然です。ただし、書く場合は「んです」は「のです」とします。ただ、文脈からすると不自然になる場合もありますので、適宜、判断してくださいね。

まさに、そこに置いてあったんです
○まさに、そこに置いてあったのです
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慎重にやったはずなんですが、失敗しました。
○慎重にやったはずなのですが、失敗しました。

「けど」は「けれども」にする

「けど」や「けれど」は「けれども」に直すとすっきりして書き言葉らしくなります。

電車が遅れたけど間に合いました。
○電車が遅れたけれども間に合いました。
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負けたけども悔いはない。
○負けたけれども悔いはない。

かぎかっこを上手に用いる

ネット用語や若者言葉はできるだけ言い換えることは言うまでもありません。SNSであれば問題ないでしょうけれども、小論文などでは読み手である審査員がどう思われるかが問題です。

ただ、用いないと表現できない場合もありますよね。その場合はかぎかっこでくくってください。かぎかっこの中に入れてあれば、あえて使っているんだなとわかりますのでね。

・いわゆる「バズる」ことを目的にした過激な行為が繰り返されている。
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・広場には「ガチ勢」と呼ばれる人たちが大勢集まっていた。

 

とにかく書き慣れることが早道だから、まずは日記でも書いてみようかな。