はじめに
「越える」と「超える」は、文字の形だけでなく、意味も似ていて、ちょっと使い分けに迷いますよね。「超越」というぐらいですからどちらでもいいように思うものの、それでもやはり違いが気になります。
感覚的に違いを捉えるなら、「越える」は「またいで先に行くこと」、「超える」は「膨らんで上になる」と捉えると比較的スムーズに使い分けられるのではないかと思います。つまり、「越える」は「横移動」で、「超える」は「上を行く」ということですね。
では、具体的にどのように使い分ければいいのか、少し詳しく「越える」と「超える」の違いについて見ていきたいと思います。
「越える」の意味と使い方
「越える」は、時間や空間の境界をまたいで、その向こう側に行くことです。境界は場所のこともありますし、季節や時間のこともありますが、「移動する」ことに主眼が置かれます。
また、移動することは先んじることであることから、「よりよい」という意味で「それに越したことはない」という言い方もします。
(空間の境界をまたぐ)
・山を越える
・峠を越える
・一線を越える
・ラインを越える
・垣根を越える
・海を越える
・歩いて国境を越える
・県境を越えて合併する
(時間の境界をまたぐ)
・年を越す
・冬を越す
・3年越しの仕事
・60歳の坂を越す
(範囲をはみ出す)
・度を越したいたずら
・権限を越えた行為
(よりよい)
・それに越したことはない
「超える」の意味と使い方
「超える」は、ある基準や範囲を上回ることです。もともとのものよりも増えたり大きくなっていれば「超える」です。
また、概念的な内容について、「上になる」ことや「枠を取り払う」という意味合いの場合も「超える」にします。
(上回る/大きくなる)
・1兆円を超す
・10万人を超える
・予想を超える
・目標を超える
・限度を超える
・気温が40度を超える
・警戒水位を超える
・平均寿命が80歳を超える
(概念:上になる)
・師匠を超える
・素人の域を超える
・人間の知能を超える
(概念:枠を取り払う)
・国境を超えた友情
・世代を超えて愛される
・立場を超えて話し合う
[補足]「超える」とは「超過する」ことですから、その基準値の上限は含まれません。つまり、「100人を超える」という場合には100人は含まれず、101人からを指します。数学の記号なら「≧(以上)」ではなく、「>(より大きい)」のイメージですね。
使い分けのポイント
1.「峠を越える」は、実際の峠を通り過ぎることのほか、比喩的に、困難な事柄を乗り切ることにも使いますが、どちらも[越える」にします。
2.「国境をこえる」というときに、実際の国境をまたぐなら「国境を越える」ですが、国という範囲を取り払うという意味なら「国境を超える」にします。
3.「度を越す」や「権限を越える」は、範囲を逸脱して横にはみ出てしまうことなので「越える」にするんですね。「権限を越える」は「越権行為」との整合性もありますので、決まった言い方として覚えてしまったほうがいいかもしれません。
4.頭では理解していても、実際に使おうとすると迷うことがありますよね。例文で示したようなわかりやすい表現ばかりとは限りません。そんなときは無理にどちらかに当てはめず、「こえる」とひらがなも選択肢に入れてみてくださいね。
まとめ
・「越える」は、時間や空間の境界をまたいで向こう側に行く場合に用います。
・「超える」は基準や範囲を上回ることで、もともとのものよりも大きくなっていることに使います。
・概念的な内容について、「上になる」ことや「枠を取り払う」という意味合いなら「超える」にします。
・「度を越す」や「権限を越える」「それに越したことはない」は、決まった言い方として覚えてしまいましょう。
今回は「越える」と「超える」の使い分けについてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました☆

