「係る(かかる)」と「関わる(かかわる)」の使い分けを国会議事録の用例で徹底解説

表記の決まりごと

はじめに

「本件に係る」と「本件に関わる」とはどこがどのように違うのか疑問に思ったことはありませんか? 何となく違う感じがするものの、どこが違うのかはっきりしませんよね。

国語辞典で「係る」を引いてみると「関わる」とあります。では、「係る」と「関わる」は同じ意味なのかというと、そうではなく、「関わる」は「関係する/関与する」の意味だと書いてあります。

つまり、「係る」を「関わる」にすることはできますが、「関わる」は必ずしも「係る」に置き換えられるとは限らないため、「係る」は「関わる」の一部であるといえます。

× 係る=関わる
○ 係る⊂関わる

「係る」は議事録や公用文では多用するものの、一般の文章ではあまり使いません。どうしてなのか気になったので、今回は「係る」と「関わる」の使い分けについてまとめてみることにしました。

除外:ひらがなの「かかる」について

まず、ひらがなの「かかる」ですが、「お金がかかる」や「時間がかかる」のように「必要になる」という意味のほか、「仕事にかかる」「疑ってかかる」「声がかかる」など、実にさまざまな意味で用います。これは漢字で書くなら「掛かる」になりますが、ひらがなにします。

この記事では、ひらがなの「かかる」は除外して、「係る」と「関わる」の使い分けに絞って見ていくことにしたいと思います。

スポンサーリンク

「係る」と「関わる」の使い分けのポイント

○「係る」はどのように用いるのかというと、「本件に係る予算」「個人情報に係る問題」「認可に係る基準」のように事務的なつながりを示す場合に用います。「~に係る」は、そのまま「~の」に置き換えられるため、「係る」に特別な意味を持たせてはいないことがわかります。

つまり、「~の」を丁寧に改まった言い方にしたり、語調を整えている役割を担うのが「係る」なんですね。確かに「本件の予算」より「本件に係る予算」のほうがぐっと引き締まった印象になります。

係る=「~の」に置き換え可
・本件に係る予算(=本件の予算)
・個人情報に係る問題(=個人情報の問題)
・認可に係る基準(認可の基準)

○「関わる」は、「命に関わる」「根幹に関わる」「環境保護に関わる」のように、ダイナミックな動きや影響について用いられていて、「関わる」自体が「関与する」や「影響する」というように重要な意味を持っています。「係る」に似た意味もありますが、より積極的に関与するニュアンスです。

関わる=関係する/影響する
・命に関わる問題
・子どもに関わる仕事
・地方創生に関わる取組

つまり、「関連する」や「影響する」という意味をはっきりと示したい場合には「関わる」を用い、「~の」という言い方を丁寧に、改まった表現にしたい場合には「係る」にするということになります。

国会議事録で「係る」と「関わる」の用例を調べてみた

確認の意味で、実際に国会議事録において「係る」と「関わる」がどのような場面で使われているのかを調べてみることにしました。

国会議事録における「係る」の用例

国会議事録における「係る」の用例を見てみると、特定の事案を指し示す際に「~に関する」という公用文特有の表現として用いられていました。それらはすべて「~の」に置き換えても影響がありませんでした。また、「~に係る」の形で用いられ、「~に」以外の助詞は探した限りにおいては見つかりませんでした。

国会議事録における「係る」の用例
・個人情報に係る問題については慎重な議論が必要です。
・本件に係る事務の委託先についてお伺いします。
・改正案の施行に係る準備状況はいかがでしょうか。
・本法律案に係る附帯決議について申し上げます。
・輸出に係る手続の簡素化を推進すべきです。
・特定秘密に係る情報の管理体制を強化いたします。
・認可に係る基準を明確化することが求められています。

国会議事録における「関わる」の用例

「関わる」は、「影響を及ぼす」「携わる」「関係がある」というように、事柄の性質や人の動きに関連する場合に使われていました。「~に関わる」と、「に」が使われていることが多いものの、「が」が用いられることもあります。「関わる」そのものに「~に関連する」「~に影響する」「~に携わる」という重要な意味を持たせているため、省略することはできません。

関わる:関係する/影響する/携わる
・これは国民の命に関わる重大な問題であります。
・政策の決定に関わるプロセスを透明化すべきです。
・教育に関わる予算の拡充が急務となっています。
・多くのステークホルダーが関わる事業でございます。
・地方創生に関わる取組を加速させてまいります。
・プライバシーに関わる内容が含まれております。
・環境保護に関わる国際的な連携を深めてまいります。

スポンサーリンク

「係る」vs「関わる」の使い分けクイズ

実際に使ってみないと感覚がつかめないように思いますので、簡単なクイズに挑戦してみてください。答えは下欄にありますが、まずは答えを見ないで考えてみてくださいね。

【問題】次の(  )に当てはまるものは「係る」か「関わる」のどちらがよいか考えてください。

第1問
・本案の施行に(A)準備予算として1億円を計上する。
第2問
・これは我が国の安全保障の根幹に(B)重大な事態である。
第3問
・福祉の現場に(C)全ての人々の声を反映させるべきだ。
第4問
・本件の不祥事に(D)調査報告書について回答します。
第5問
・個人の名誉に(E)内容が含まれるため、慎重な取り扱いが必要だ。

「ヒント」
・「~に係る」は「~の」と置き換えられますが、「関わる」は「~に影響する」「~に携わる」というように意味を持って使われます。

【解答】
A:係る
B:関わる
C:関わる
D:係る
E:関わる

今回は、「係る」と「関わる」はどう使い分ければいいのかまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました☆

タイトルとURLをコピーしました