すすめる:「進める/勧める/薦める」の使い分け|「奨める」は使わないのはどうして?

もう迷わない 漢字のチョイス

「奨める」の読みは常用漢字表になかった!

「すすめる」には「進める/勧める/薦める」がありますし、ほかにも「奨める」という表記を目にすることがありますよね。「進める」ならすぐにわかりますが、「勧める」と「薦める」はどこがどのように違うのでしょうか。それに、まれに目にする「奨める」とはどんな意味なのでしょうか。

意味を確認する前に、念のため国が漢字表記の基準としている常用漢字表を見てみると下のようになっていました。ご覧のように「奨」は「ショウ」とは読みますが、「すすめる」とは読ませていないんです。

つまり、基本的には「奨める」とは書かないんですね。この基準に従って、公用文も新聞もNHKも、「奨める」の意味なら「勧める」に統一しています。もちろん、必ずそうしなければならないわけではありませんが、できるだけ表記の基準に従いたい場合は、まず、このことを念頭に置いてくださいね。理由については後段で触れたいと思います。

×奨める→○勧める

常用漢字表より
進|シン  |進級,進言,前進
 |すすむ |進む,進み
 |すすめる|進める

勧|カン  |勧誘,勧奨,勧告
 |すすめる|勧める,勧め

薦|セン  |推薦,自薦
 |すすめる|薦める

奨|ショウ |奨励,奨学金,推奨

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「進める/勧める/薦める」の意味を確認しよう

「進める」の意味と使い方 

「進める」は、前に移動させることや物事をはかどらせることのほか、次の段階に移行することにも使います。これは問題なさそうですね。

「進める」の用例
・計画を進める
・工事を進める
・授業を進める
・合理化を進める
・時計を進める

「勧める」の意味と使い方

「勧める」は、相手に働きかけて誘うことです。また、「使ってください」とか「食べてください」というように行動を促すことにも使います。

「勧める」の用例
・入会を勧める
・進学を勧める
・買い換えを勧める
・食事を勧める
・座布団を勧める

「薦める」の意味と使い方

「薦める」は、よい点を説明して、それを採用するように促すことです。つまり推薦することですね。

「薦める」の用例
・先生に薦められた本です。
・この映画がいいと薦められた。
・次期会長には彼を薦めたい。
・教授の薦めで研究職に就けた。
・立候補者として彼女を薦めます。

使い分けのポイント

「勧める」と「薦める」の使い分けのポイントはどこかというと、「行動」を促す場合には「勧める」で、具体的な人や物を推す場合には「薦める」にするんですね。

例えば、読書は「行動」ですので「読書を勧める」ですが、「この本は読んでおいたほうがいいよ」と特定の本を推薦するなら「この本を薦める」になります。

就職か進学か迷っているときに、もし「進学がいい」というなら「進学を勧める」ですが、具体的に「A大学がいいよ」という場合には「A大学を薦める」です。

また、「どうぞ食べてください」と促すなら「食事を勧める」ですが、「この料理を選んで食べてほしい」場合には「こちらをお薦めします」になります。

行動→勧/具体物→薦
読書を勧める/この本を薦める
進学を勧める/この大学を薦める
食事を勧める/この料理を薦める

[補足]ただし、一般に料理などは「おすすめ」とひらがなで表記されていることが多いですよね。「お薦め」だと仰々しくなってしまうからでしょうか。また、同じ文章中に「勧める」と「薦める」が交じってしまう場合には、統一性をもたせるために「すすめる」にしてもよいかもしれません。そこは文脈に応じて判断してみてくださいね。

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「奨める」とはどういう意味? なぜ使わないの?

「奨める」は常用漢字表に示されていない表外読みのため、一般には使用しないものの、「奨」とはもともとどういう意味なのか気になったので漢和辞典を引いてみました。

「奨」の「将」は将軍のことで、いわゆるリーダーのことですね。下の「大」はもともと「犬」だったらしく、従わせる対象のことのようです。つまり「奨」は「リーダーが部下を激励して好ましい行動をさせる」という意味合いの漢字でした。ちょっと上から目線なのが「奨」ですね。

つまり、「勧める」は「こうしたほうがいいと思う」ぐらいですが、「奨める」はもう少し強く「こうすることを強く希望する」というように、若干の強制力があるニュアンスです。でも、その境界は曖昧ですよね。そのため、どちらも区別せずに「勧める」に統一しているんですね。

ただ、何か意図があって「奨める」を用いたい場合もあるかもしれません。その場合は初出にルビや読みがなを添えるのが一応のルールになっています。

まとめ

・「奨める」の読みは常用漢字表にないため「勧める」にします。
・「進める」は前に移動させたり物事をはかどらせることです。
・「勧める」は、相手に働きかけて誘うことや行動を促すことです。
・「薦める」は、よい点を説明して採用するように促すことです。
・「行動」を促す場合は「勧める」、具体的な人や物を推すなら「薦める」にします。
・「奨める」は一般には使わないが、用いる場合は初出にルビやひらがなを添えます。

今回は、「進める/勧める/薦める」の使い分け、そして「奨める」の扱いについてまとめてみました。

ちなみに、私の座右の銘は「勧められて買うな 欲しくて買え」です。買うつもりがなかったものを、断りにくいとかその場の雰囲気で買ってしまわずに、自分で欲しいと思っていたものだけを買うようにしたいなと思っています。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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