「事」と漢字で書く場合と「こと」とにする違いは?
「こと」というのは、「事なかれ主義」とか「事あるごとに」などと漢字で用いられるほかに、「生きていくこと」のようにひらなで書く場合もとてもたくさんあります。明確にその違いを探っていくことにしましょう。
形式的な用法の「こと」はひらがなで「こと」と書きます
ひらがなにするのは形式名詞の場合です。形式名詞というのは、前の語を名詞にしたり、あるいは補ったりするために用いられます。この場合はもともとの「事柄」という意味合いが薄れるのでひらがなにするんですね。
○前の語を名詞にする例
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悲しい があった
悲しいことがあった
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本を読む が好きです
本を読むことが好きです
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疲れる はしたくない
疲れることはしたくない
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外国に行った はありません
外国に行ったことはありません
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悲しい があった
悲しいことがあった
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本を読む が好きです
本を読むことが好きです
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疲れる はしたくない
疲れることはしたくない
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外国に行った はありません
外国に行ったことはありません
○前の語の意味を補う例
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恩師 が忘れられない
恩師のことが忘れられない
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地質 をよく知っている
地質のことをよく知っている
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服装 などどうでもいい
服装のことなどどうでもいい
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恩師 が忘れられない
恩師のことが忘れられない
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地質 をよく知っている
地質のことをよく知っている
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服装 などどうでもいい
服装のことなどどうでもいい
![](https://etude.b-kotobaya.com/wp-content/uploads/2024/04/onna2.jpg)
「こと」って、ほとんどひらがなでいいんじゃない?
「事」と漢字にする場合
「事」を「ジ」ではなく「こと」と読むケースは比較的限られますので、こっちを覚えたほうが早いかもしれません。
事の重大さ / 事に当たる / 事のついでに / 事もなげに / 事なかれ主義 / 事欠く / 事細かに / 悩み事 / 習い事 / 争い事 / 見事 / 物事 など
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「事」が一語で主語になっていたり、決まった言い回しになっている場合がほとんどだね。
例外的に「事」を「こと」にするケース
本来であれば「事」の用例に当てはまるものの、あえてひらがなにするものがあります。ついでに覚えてしまいましょう。
大ごと_:(大事だと「だいじ」と読めてしまうため)
人ごと_:(人事だと「じんじ」と読めてしまうため)
もめごと:(前の語がひらがななので続けてひらがなにする)
まねごと:(前の語がひらがななので続けてひらがなにする)
人ごと_:(人事だと「じんじ」と読めてしまうため)
もめごと:(前の語がひらがななので続けてひらがなにする)
まねごと:(前の語がひらがななので続けてひらがなにする)
※「人ごと」は「ひとごと」とも書くことも多いです。この場合の「ひと」は「他人」という意味になるので、「人間」の意味と区別して「ひと」とする考え方ですね。書き手の判断でどちらを用いても大丈夫です。
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なるほどね。「事」と「こと」の使い分けはこれで完璧だよ。