はじめに:マスコミ表記では「機運」に統一している
「きうん」には「機運」と「気運」があって、どっちを使えばいいか迷うことってありませんか? でも、心配はご無用です。新聞表記やNHK表記においては、意味によらず「きうん」は「機運」に統一して用いることにしているんですね。ですから、みんな「機運」と書いて大丈夫です。
きうん=「機運」に統一してOK
なぜ統一しているのかというと、「機運」も「気運」もほぼ同じ文脈で用いられるため、あえて使い分けない立場をとっているためです。使い分けることでかえって誤用を招いてしまうということもあるかもしれません。
ただ、これはあくまで、便宜上そのようにしているだけですし、正確に伝えるために使い分けたほうがいい場合もあります。ちなみに、公用文においては「機運に統一する」というような定めはありません。
そこで今回は「機運」と「気運」の意味の違いについて調べてみたいと思います。違いを知ってから、「機運」に統一するか、「機運」と「気運」を使い分けるかを考えてみてくださいね。
「機運」とはどういう意味?
まず、「機運」はどういう意味なのか、漢字を分解して考えてみましょう。
機運=物事をなすのによい時機
「機」というのは、「時機」や「好機」などと用いられるように、「ものごとをするのに適したタイミング」のことです。
「運」とは「めぐること」や「めぐらすこと」で、「運動」や「運搬」のようにぐるぐると休みなく動いている様子を表します。
そのため、「機運」は「物事をなすのによい時機がめぐってきている」という意味になります。それまではできなかったけれども、ちょうど適したタイミングになってきている場合に用います。
「気運」とはどういう意味?
次に「気運」ですが、こちらもどういう意味なのか漢字を分解して考えてみましょう。
気運=物事の情勢がある方向に動こうとしていること
「気」というのは、「気体」や「空気」のように目には見えないものがたちこめている様子を表します。目には見えないものの中には人間の「気持ち」も含まれますので、気持ちがたちこめていることにも使います。
「運」は、前述したように「めぐること」や「めぐらすこと」で、「運動」や「運搬」のようにぐるぐると休みなく動いている様子を表します。
そのため、「気運」は「物事の情勢がある方向に動こうとしていること」という意味になります。みんなの気持ちが一定方向に向かっていて、うねりとして社会の雰囲気を形成するようなことですね。
「機運」と「気運」を使い分けるポイント
まとめると、「機運」はタイミングとして、ちょうどその時機だという意味で、乗るのに適した波がちょうどやってきているのが「機運」です。
「気運」というのは心の動きとして、多くの人がそう考えるようになってきているという意味になります。こちらは、一定の雰囲気や熱がたちこめているようなイメージです。
このように、「機運」は「時」に、「気運」は「人々の気持ち」に対して用いられますので、どちらの「きうん」なのかをはっきりさせたい場合にはそれぞれ使い分けてみてください。
ただ、この使い分けがとても難しいんですね。下の用例からもおわかりいただけるように、同じ対象であっても「機運」も「気運」もありうるところがやっかいです。マスコミ表記では意味によらず「機運」で統一する立場をとっている理由がおわかりいただけるのではないかと思います。
(「機運」の用例)
・政治改革の機運が到来している。
・組織改編の機運が熟してきた。
(「気運」の用例)
・政治改革の気運が高まっている。
・組織改編の気運が促された。
ですから、「機運」と「気運」の使い分けにおいては、何の「きうん」なのかではなく、どのような状態の「きうん」なのかに注目してみてください。迷うようでしたら「気運」ではなく「機運」のほうを用いてみてくださいね。
(「機運」の用法)
・機運が熟する
・機運に恵まれる
・機運が到来する
(「気運」の用法)
・気運が高まる
・気運がみなぎる
・気運が醸成される
まとめ
・マスコミ表記では「きうん」は「機運」に統一する。
・「機運」とは物事をなすのによい機会のことである。
・「気運」とは物事の情勢がある方向に動こうとしていることである。
・「機運」と「気運」を書き分ける場合は「状態」に注目する。
今回は「機運」と「気運」の違いについてまとめてみました。特にこだわりがなければ「機運」に統一すればいいので、そこは安心ですね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。


