はじめに
「おさめる」には「収める/納める/治める/修める」がありますが、この使い分けがややこしいですよね。「収める」と「納める」がどちらも似た意味ですし、「収める」と「治める」も共通する部分があります。
特に「収める」と「納める」は、どちらも「入れる」という意味があって、「収納」というくらいですから「どっちなんじゃーい!」ってなりますよね。
実際にゆらぎもありますので、迷ったら「おさめる」とひらがなにするのも一案ですが、まずは具体的な用例で確かめてみてくださいね。
今回は、「収める/納める/治める/修める」の使い分けについてまとめていきたいと思います。
使い分けのポイント
はじめに、使い分けのポイントを「元サヤ」を例に押さえておきましょう。
「元サヤ」ってよく見聞きしますよね。「元の鞘(さや)におさまる」の省略形で、一度はけんかして別れたけれど、また以前のように良好な関係に戻ることです。「刀を鞘から抜いて、それをまた鞘に戻す」というのが直接的な意味になります。
では、「元の鞘におさまる」の「おさまる」は「収まる」だと思いますか?「納まる」だと思いますか?
「収める」は、散らばったものを集めたり、はみ出さないように入れる場合に用います。一方、「納める」は、決まった中身を決まったものに入れる場合に使います。
つまり、多くの場合は「収める」ですが、賞状を額縁に入れるとか、遺体を棺桶に入れるとか、中身と入れ物が対になっているような場合には「納める」にするんですね。
(収:はみ出さないように入れる)
・規定の文字数に収めたい。
・この箱の中に収まるだろうか。
(納:しかるべき入れ物に入れる)
・賞状を額縁に納めましょう。
・ご遺体を棺桶に納めます。
そうすると、「元の鞘におさまる」は、「刀」が「鞘」という「相応の入れ物に入れる」ということですから、「納まる」のほうがふさわしいことになります。
・元のさやに納まる
それでは、次からはそれぞれの漢字の意味と使い方についてまとめていきたいと思います。もう少しおつきあいくださいね。
「収まる/収める」の意味と使い方
「収まる/収める」は、主に、はみ出ないように中に入れたり(規定の文字数に収める)、いつもと異なった状態が落ち着く(風雨が収まる)という意味で用います。また、自分のものとして手にする(勝利を収める)という意味もあります。
(はみ出ないように中に入れる)
・規定の文字数に収めたい
・この箱の中に収まるだろうか
・棚に収まらない本は処分しよう。
・予算内に収まるようにしてください。
(いつもと異なった状態が落ち着く)
・風雨が収まってきた。
・インフレが収まらない。
・収まりがつかなくなってきた。
・混乱が収まるのを待とう。
・丸く収めようと腐心した。
(自分のものとして手にする)
・利益を手中に収めよう。
・勝利を収めることができた。
・成果を収められるまでやりなさい。
「納まる/納める」の意味と使い方
「納まる/納める」は、しかるべき受け手のところに渡ること(注文の品を納める)というほかに、しかるべき入れ物などに入ることや(社長の椅子に納まる)、終わりにする(見納め)ことの意味で用いるます。
(しかるべき受け手に渡る)
・税金を納めてください。
・注文の品を納めます。
・月謝を納めなければならない
・そろそろ年貢の納め時だね
・粗品ですが、お納めください。
(しかるべき入れ物などに入る)
・彼は社長の椅子に納まった
・もとのさやに納まることになった。
・ご遺体を棺おけに納めます。
・胸の中に納めてください。
(終わりにする)
・今年で花火も見納めだね。
・仕事納めは12月28日です。
「治まる/治める」の意味と使い方
「治まる/治める」とは、乱れのない状態に統治する(国を治める)というほかに、苦痛が去る(痛みが治まる)という場合に用います。
(乱れのない状態にする/統治する)
・国を治める王になる。
・内乱が治まったようだ。
・水を治めるのが先決だ。
(痛みなどがなくなる)
・痛みが治まりまった。
・苦痛が治まりません。
・腹痛が治まるまで待ちましょう。
「修まる/修める」の意味と使い方
「修まる/修める」は、主に学んだり習ったりすることのほか、正しくととのえるという意味で用います。
(学ぶ 習う)
・3年間の学業を修めました。
・基礎課程を修めたところです。
(正しくととのえる)
・身を修めて精進します。
・息子の素行が修まらない。
補足①「写真に納まる」と「写真に収める」の違いは?
「写真」の場合は「収める」と「納める」があります。「写真に収める」は、写真を撮って記録として残すことですが、「写真に納まる」というのは、「写真を撮ってもらう」ことや「写真に写っている」という意味で用います。
(写真に収める:写真を撮って保存する)
・旅行の思い出を写真に収めよう。
(写真に納まる:写真を撮ってもらう)
・亡き母が笑顔で写真に納まっていた。
補足②「内乱が収まる」と「内乱を治める」の違いは?
「内乱が収まる」も「内乱を治める」も両方あります。内乱が自然に解消されたり、一時的にやんだのであれば「収まる」ですが、力ずくで制圧した場合には「治める」になります。
(内乱が収まる:自然に)
・どうやら内乱も収まってきたようだ。
(内乱を治める:力ずくで)
・内乱を治めるために援軍が派遣された。
このようなことをポイントとして書き分けてみてくださいね。
まとめ
・「収まる/収める」は、主に、はみ出ないように中に入れたり、いつもと異なった状態が落ち着くという意味で用います。また、自分のものとして手にするという意味もあります。
・「納まる/納める」は、しかるべき受け手のところに渡ることのほかに、しかるべき入れ物などに入ること、終わりにすることの意味で用いるます。
・「治まる/治める」は、乱れのない状態に統治するというほかに、苦痛が去るという場合に用います。
・「修まる/修める」は、主に学んだり習ったりすることのほか、正しくととのえるという意味で用います。
今回は「収める/納める/治める/修める」の使い分けについてまとめてみました。「迷ったらひらがな」でいいので、あまり悩まずに表記してくださいね。最後まで読んでくださってありがとうございました!


