「まるい」の表記/「丸い」「円い」「まるい」はどう使い分ければいいの?

もう迷わない 漢字のチョイス

「まるい」には「丸い」と「円い」があるんです

「まる」という名詞の漢字は「丸」しかありませんが、「まるい」という形容詞になると「丸い」のほかに「円い」もあるんですね。「円い」は漢字が示すとおり円形のことで、「丸い」は球形のことをいいます。

でも、「性格がまるくなってきた」とか、「まるい人柄だ」というように、「まるい」は性格や性質に対しても用いますので、どのように使い分ければいいか迷いがちです。そこで今回は「丸い」「円い」「まるい」の使い分けについて調べてみることにしました。

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「丸い」とはどんな意味?

「丸い」とは球形のことで、ボールのような形状のものをいいます。また、必ずしも球状ではなくても、角がなくなだらかであることや、穏やかであることにも用います。

・地球は丸い
・丸い顔の少女
・目を丸くする
・背中が丸くなる
・鉛筆の先が丸くなった
・猫がこたつで丸くなる
・丸みを帯びている
・丸く収める

「円い」とはどんな意味?

一方、「円い」は円形のことをいいます。「丸い」が立体であるのに対して「円い」は平面的なもののことですね。例えば、月は天文学的には球状であるものの、三日月も半月もありますので、満月の意味なら「円い月」にします。

・円い窓
・円い鏡
・円いテーブル
・円天井
・円盆
・円い月
・円い輪になって踊る

性格や性質が「まるい」はどう書けばいい?

性格や性質が「まるい」というのは「丸い」も「円い」もどちらもあるんですね。

例えば、「年を取って性格が丸くなってきた」という場合なら、角が取れてきたという意味なので「丸」がよいでしょうし、「彼は円い人柄なので誰からも好かれる」というような場合には、「円満な人柄」という意味なので「円」になります。

ただ、その境界は非常にあいまいです。そのため、性格や性質の場合には「まるい」とひらがな表記も好まれます。公用文や新聞表記ではどちらかの漢字に当てはめるようにしていますが、NHK表記では「かなを用いることもある」としていますので、どちらでもいいんですね。ご自分の語感に合う表記を選んでみてください。

・年を取って性格が丸くなってきた。
・年を取って正確がまるくなってきた。

・彼は円い人柄なので誰からも好かれる。
・彼はまるい人柄なので誰からも好かれる。

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名詞の「丸」の使い方

ついでに名詞形についても触れてみたいと思います。「まる」という名詞に当てはまる漢字は「丸」だけですので、その場合は円形でも球形でも「丸」を用います。つまり、「テストの丸つけ」などというときには、球形ではありませんが「丸」にします。

また、「丸」には「完全」という意味がありますので、「丸投げ」「丸暗記」「丸写し」など、「そっくりそのまま」の意味でも用います。

・丸つけ
・丸暗記
・丸抱え
・丸写し
・丸投げ
・丸洗い

終わりに:「四角い部屋をまるく掃く」とは?

最後に「四角い部屋をまるく掃く」について触れて終わりにしたいと思います。「四角い部屋をまるく掃く」は、「四角い座敷をまるく掃く」ともいいますが、今は座敷があるお宅が少なくなってきましたので「部屋」にすることが多いようです。

これは、部屋は四角なのに、隅っこのほうは気にせず、真ん中の目立つところだけを掃いて終わりにするという様子を言い表したもので、「細部まで気にかけるこなく、手を抜いて大ざっぱな仕事をすること」という意味で用いられます。

この場合、「四角い部屋」の床は平面ですので、同じ平面の「円く」が当てはまりますが、角がないという意味で「丸く」でも間違いではありません。そうすると、「まるく」とひらがなが無難かもしれません。このように何かと使い方が難しいんですね。

年末の大掃除でもなければ四隅まで気にしていられませんが、今はロボット掃除機がありますから、ロボットくんなら四角い部屋を四角く掃いてくれるかもしれません。

今回は「丸い」「円い」「まるい」の使い分けについてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました。