はじめに
「高等専門学校」と「専門学校」はどう違うのか、疑問に思ったことはありませんか? 「高等」が入っているかいないかだけの違いなのでわかりづらいですよね。
お住まいの近くに高等専門学校があったり、進学の際に検討したことがあれば「全然違うよ!」ということになるのかもしれませんが、一般の人には「高専」と「専門学校」の違いはなかなか認識しづらいところがあります。
そこで今回は、両者の違いについて、「入学資格と教育期間」そして「学校教育法上の位置づけ」の視点からまとめてみたいと思います。
「高専」と「専門学校」の入学資格と教育期間の違い
高等専門学校は「高専」とも呼ばれていて、こちらのほうがなじみがあるかもしれませんね。ロボコンなどで有名な、あの「高専」の正式名称が「高等専門学校」です。
| 高等専門学校(高専) | 専門学校 | |
| 入学資格 | 中学校卒業以上 | 高等学校卒業以上 |
| 教育期間 | 5年間(本科) | 任意(1年以上) |
| (備考) | (高校+短大に相当) | (1~4年で多種多様) |
「高専」は、中学卒業後すぐに進学し、5年間かけて一般教養と専門的な技術や知識をバランスよく学びます。高等学校と短期大学を合わせた期間に相当しますので、卒業するのは20歳ぐらいです。卒業後は、即戦力として企業に就職するほかに、大学3年次への編入も可能です。
高専は、公立や私立もありますが、ほとんどが国立です。しかも全国に58校しかありませんから、多くの府県で1校だけです。
「専門学校」は高校卒業後に入学し、目的とする職業に就くために必要な知識やスキルを身につけます。1年制から4年制まで、学科によって修業年限はさまざまで、高校卒業後にすぐ進学する人が多いものの、大学を卒業してから専門的な技術を学ぶために入学したり、社会人を経てから学び直しとして入学する人もいます。
専門学校は9割が私立ですが、公立の専門学校もあります。専門学校は全国に2,700校以上存在していて、これは大学の数をはるかにしのぐものとなっています。ただ、これは規模が小さいためで、学生数の比較としては逆に大学生のほうが圧倒的に多くなります。
学校教育法上の位置づけ
では、「高等専門学校」と「専門学校」は法律上はどのように定められているのか見てみることにしましょう。
| 高等専門学校(高専) | 専門学校 | |
| 区分 | 「学校」 | 「専修学校」 |
| 根拠 | 学校教育法第1条に規定 | 学校教育法第124条に規定 |
「高専」は、小学校や中学校、高校などと同じく、学校教育法第1条で定められた正式な「学校」です。一方、専門学校は、法律上は「専修学校」に含まれます。
何が違うかというと、わかりやすくいえば、高等専門学校は「卒業」しますが、専門学校は「修了」になります。これが学校教育法で定められた学校かそうでないかの違いになりますので、履歴書に書く場合は注意が必要かもしれません。
「専修学校」と「専門学校」の違いは?
さて、専門学校は専修学校に分類されることがわかりましたが、「専修学校」というのは聞き慣れない学校だと思いますので、もう少し詳しく触れてみたいと思います。
専修学校とは、職業生活や実生活に必要な技能の習得のほか、教養の向上を図ることを目的とする学校で、前述した学校教育法における「学校」とは別の位置づけになっています。
「専修学校」は3つの課程に分かれていて、中学校卒業後に進学する「高等課程」と、高校を卒業してから進学する「専門課程」と、特に入学資格を問わない「一般課程」があります。そのうち、「専門課程」に該当するのが「専門学校」です。
(「専修学校」の3課程)
高等課程(高等専修学校):中学卒業者以上が対象
専門課程(専門学校):高校卒業者以上が対象
一般課程:入学資格を問わない。
このように3種類の専修学校がありますが、実際に私たちが多く触れるのは、ほとんどが「専門課程」であり、その多くが「専門学校」を冠しています。どうして専修学校なのに「専門学校」なのというのかというと、法律によって「専門課程」は「専門学校」を名乗っていいとされているためです。
専門学校は、正式な「学校」の枠外に置かれてしまった苦しい立場でありながら、産業界が求める人材を時代の要請に応じて柔軟に輩出してきています。
なぜ専門学校は「学校」ではないの?
では、なぜ専門学校は「学校」ではないのでしょうか。文科省の「学制百年史編集委員会」のホームページを見てみると、昭和の中頃、5年制の「専修学校」を正式な「学校」にしようという動きがあったようです。科学技術が目覚ましく進歩しているのに高校→大学の7年は長いということで、優秀な人材を5年で育成する「専修学校」を創設しようとしたんですね。
しかし、この案はうまくいかずに調整が難航しました。特に短期大学との関係において合意が難しかったようです。そうしている間にも科学技術はどんどん進んでいきます。それで、「とにかく科学技術の進歩に対応した人材育成は急がれる!」ということで「高等専門学校」が誕生しました。これによって「専修学校」は正式な「学校」になるチャンスを逸してしまったようです。
このときに5年制の「専修学校」が成立していれば、現在の大学や専門学校の形も大きく変わっていたのかもしれません。
まとめ
これまで述べてきたように、「高専」と「専門学校」は、どちらも実践的なスキルを身につけられる教育機関ですが、「いつ入学するか」と「法的な位置づけ」が大きく異なります。
・高専:中学卒業後すぐに入学する5年制の教育機関で、学校教育法上の「学校」です。
・専門学校:高校卒業後に入学する教育機関で、「専修学校」の一種です。
それぞれの特徴を理解して、将来の選択肢を広げるための参考にしてくださいね。最後まで読んでくださってありがとうございました。



