「サムネイル」は「親指の爪」のことだった!|指の呼び名に秘められた由来と歴史を解説

漢字かな以外の表記

「サム」は親指、「ネイル」は「爪」

「サムネイル」とは元データの縮小画面のことですよね。サムネイルの良し悪しが動画の再生回数やWebサイトのクリック率に直結するとさえいわれてるほどに、「サムネイル」はとても大事です。

では、「サムネイル」とはどういう意味なのかというと、「サム」は親指で「ネイル」は「爪」のことなので、「親指の爪」という意味なんですね。あの小さなプレビュー画像が親指の爪くらいのサイズなのでそう呼ばれています。

実は、サムネイルはITがなかった頃から存在していたようです。19世紀の画家たちは、大きな絵を描く前に構想を練るための小さなスケッチを描いていて、それを「サムネイルスケッチ」と呼んでいたんですね。

デジタル時代になってもこれを引き継いで、画像を一覧表示するための小さな縮小版を指す言葉として定着したわけです。

ちなみに、日本語では「爪」と「ネイル」を区別して用いていて、「ネイル」は「ネイルアート」を指すことが多いですよね。

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大きかった「サム」の存在感

英語で親指は「サム」だと書きましたが、では、ほかの指はどう呼ぶのかここで確認しておくことにしたいと思います。

英語での指の呼称
第1指 Thumb(サム):膨らんだ指
第2指 Index finger(インデックスフィンガー):指し示す指
第3指 Middle finger(ミドルフィンガー):真ん中の指
第4指 Ring finger(リングフィンガー):指輪をはめる指
第5指 Little finger(リトルフィンガー):小さな指

お気づきのように、「サム」だけ「フィンガー」がありません。「サム」そのものが親指なんですね。つまり、「1本のサムと4本の指がある」というような感覚に近いでしょうか。

「サム」の語源をたどれば「太い」とか「膨らんだ」という意味に行き着きますが、親指だけ関節が一つ少なくて、解剖学的にみても「サム」の機能は特別です。そのため、親指に込められた思いも特別のようです。

特に、古代ローマの剣闘士(グラディエーター)の試合で、負けた剣闘士を生かすか殺すかを、観客や皇帝が親指の向きで決めていたというエピソードがあるほどです。真偽のほどは定かではないのですが、親指一本で生死が分かれてしまうようなこともあったのかもしれません。

現代においても「グッド/ノーグッド」のハンドサインはよく用いられますよね。ただし、ハンドサインには、このように地理的・歴史的な背景を含むことがありますので、文化が異なるハンドサインを用いる際には慎重になったほうがいいかもしれませんね。

どうして第4指に指輪をはめるの?

特徴的なのは、第4指を「リングフィンガー」と呼んで指輪をはめるための指に指定していることです。

なぜ薬指に指輪をはめるのかというと、古代エジプト人やローマ人は、左手の薬指には心臓に直結する太い血管があると信じていたのだそうです。もちろんこれは思い違いですが、大真面目にそう考えられていて、心臓と左手の薬指を結ぶルートを、ラテン語で「Vena Amoris(ベナ・アモリス=愛の静脈)」と名付けたほどです。

第4指は愛の宿る心臓に直接つながっていますから、そこにエンドレス(永遠)の象徴である輪をはめることで、相手の心をつなぎ留め、永遠の愛を誓うという意味が込められたんですね。

また、実用的な意味もあります。指はとてもよく使いますから、どうしても指輪が傷ついてしまいます。そのため、あまり使わない薬指、それも利き手ではないほうの薬指に指輪をするようになったという側面もあるようです。

日本では「薬指」は「名無し指」だった

一方、日本には指輪を贈る習慣はありませんでした。現在のように結婚したら指輪をするのが当たり前という国民的な習慣になったのは戦後(1950年代以降)のことです。

第4指は薬指と呼ばれますが、実は、江戸時代以前は「薬指」は「名無し指」と呼ばれていました。なぜなら、名前をつけることすらはばかられるほど、神聖で特別な力が宿ると考えられいたからです。なんだか西洋の「愛の静脈」に似ていますね。

薬を塗るときにどうして第4指を使うのかというと、ほかの指に比べて出番が少ないため、汚れに触れる機会も少なくなります。そうした衛生上の理由から、薬を塗るときには指の中で最も清潔な第4指が選ばれたというわけです。

また、薬師如来像を参拝されたことはあるでしょうか。薬師如来は人々を病気や苦しみから救ってくださいますが、わずかに薬指を曲げていらっしゃいますよね。薬師如来への信仰から「薬指」と呼ぶようになったのか、薬師如来だから薬指を曲げていらっしゃるのか、どちらが先なのかは調べきれませんでしたが、仏様の慈悲の形が、そのまま私たちの指の名前に宿ったと考えるのもいいかもしれませんね。

まとめ

今回の内容を3つのポイントで振り返りたいと思います。

・「サムネイル」の語源は、親指の爪(Thumbnail)ほどの小さなサイズのことです。19世紀の画家の小さな下書きが、現代のIT用語へと受け継がれました。

・英語では、親指(Thumb)だけが特別な存在です。「1本のサムと4本のフィンガー」と数えるほど、親指は別格として扱われてきました。

・第4指(薬指)には洋の東西それぞれに物語がありました。西洋では心臓とつながる「愛の静脈」があるとされ、日本では神聖な力を宿す「名無し指(薬指)」だったんですね。呼び名は違えど、どちらも特別な思いを託す指でした。

私たちが毎日何気なく使っている指の呼び名には、数千年にわたる人類の愛や祈りの記憶が刻まれています。次にスマホの「サムネイル」をタップするとき、少しだけ指先の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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