はじめに
同じ発音でも漢字にするものとひらがなにするものとに分かれることがよくありますよね。その代表例が「関わる」と「かかわらず」、「語る」と「かたる」、「試し」と「ためし」ではないでしょうか。これらは使う場面によって漢字とひらがなを使い分けるんですね。つい知っている漢字を当てはめてしまいがちですので、そこは注意したいところです。
まず、代表的な使い方を挙げてみたいと思います。
[漢字]子どもに関わる仕事をしたいと思います。
[かな]悪天候にもかかわらず出かけていった。
[漢字]自分のことを語ってください。
「かな」警察官をかたる詐欺事件が起こった。
[漢字」試しにやってみましょうよ。
「かな」うまくいったためしがない。
特に「かかわる」は「かかわらず」という形で用いることがとても多く、この場合は必ず「かかわらず」とひらがなにします。
今回は、それがどうしてなのかをまとめていきたいと思います。
どっちが正解なの?「関わる」と「かかわらず」の使い分け
「関わる」は「関係する」や「関与する」という意味で用いられますよね。
(関わる:関与する)
・子どもに関わる仕事がしたい。
・お金に関わる話をしようではないか。
・それは私の名誉に関わることだ。
一方、「かかわらず」は、漢字で書けば「拘らず」になるんですね。これは「関与しない」ではなく「こだわらない」という意味です。ただし、「拘」は常用漢字表にない表外字なのでひらがなにするというわけです。この使い方は、公用文、新聞表記、NHK表記、いずれにも共通したルールです。
(かかわらず:こだわらず)
・悪天候にもかかわらず出かけていった。
・時間帯にかかわらず受け付けます。
・年齢にかかわらず応募可能です。
[参考]また、「かかわる」というときも、「かかずらう」や「とらわれる」という意味の「かかわる」の場合もやはり「拘わる」なのでひらがなになります。ただ、「とらわれる」の意味の使い分けは非常に難しいので、少なくても「かかわらず」の形であればひらがなにすると覚えてみてくださいね。
(かかわる:とらわれる)
・そんなことにかかわっている暇はない。
「息子を語る詐欺」は間違い? 「語る」と「かたる」の使い分け
これはニュースなどでよく目にするのでおなじみかもしれませんね。「話して聞かせる」という場合は「語る」にします。
(語る:話して聞かせる)
・父が被災体験を語ってくれた。
・ご自分のことを語ってください。
・語り手の話に耳を傾けてください。
一方、人を欺いたりだましたりする場合は「かたる」にします。だますほうの「かたる」は「身分を偽る」という意味で多く用いられます。漢字で書けば「騙る」になって、これは常用漢字表にない表外字のため「かたる」とひらがなにします。もともとは「語る」だったものが分かれていったとされています。
(かたる:身分を偽る)
・警察官をかたる詐欺事件が起こった。
・税務署職員をかたった電話があった。
・調査員をかたる人にだまされそうになった。
「うまくいったためしがない」の「ためし」はなぜひらがな?
「試し」というのは、そのまま「ためすこと」や「こころみること」ですので「試し」と書きます。
(試し:試す)
・試しにやってみようよ。
・試しに切ってみたら?
・試し読みができるみたい。
一方で、「先例」や「実例」という意味の場合には「ためし」にします。これは漢字で書けば「例し」になりますが、常用漢字表に示されていない表外読みのため「ためし」とひらがなにするんですね。
(ためし:先例・実例)
・うまくいったためしがない。
・これまで勝ったためしがない。
・ダイエットに成功したためしがない。
また、「例し」には「習わし」という意味もあって、この場合も「ためし」とひらがなにします。あまり使いませんが、お正月のあの歌ならご存じではないでしょうか。「♪年のはじめのためしとて」の「ためし」は「習わし」のことです。
(ためし:習わし)
♪年のはじめの ためしとて
終わりなき世の めでたさを
松竹たてて かどごとに
祝うきょうこそ 楽しけれ
まとめ
・「関わる」は「関与する」という意味ですが、「かかわらず」の場合にはひらがなにします。
・「語る」は「話して聞かせる」ことですが、「身分を偽る」という意味ならひらがなにします。
・「試し」は「試すこと」ですが、「先例」や「実例」、または「習わし」という意味ならひらがなにします。
今回は、「関わる」と「かかわらず」、「語る」と「かたる」、「試し」と「ためし」の使い分けについてまとめてみました。最後まで読んでくださってありがとうございました!


