「絆」と「きずな」どっちを使う? 「絆」は常用漢字ではないの?

表記の決まりごと

「絆」は常用漢字表にありませんが、漢字で表記できます

「絆」という漢字は常用漢字表にはない、いわゆる表外字です。しかし、新聞表記、議事録表記、放送表記のいずれにおいても、「きずな」は「絆」と漢字で書くものに指定しています。

新聞表記などで、表外字であっても漢字を用いるのは以下の5語です。

絆(きずな) 証し(あかし) 鶏(とり) 炒める(いためる) 栗(くり)

ただ、公用文においては「絆」は表外字であることから、「きずな」とひらがなにするのが本来の用い方になっていて、漢字を用いる場合は「絆(きずな)」とルビやふりがなを用います。

原則はそうなりますが、国や県の事業名に「絆」を用いたものも多いですので、実質的には「絆」の漢字表記が認められている形になっているようです。常用漢字表の最新の改訂は2010年ですが、もしも2011年の東日本大震災のあとに改訂されていたら、「絆」は常用漢字になっていたかもしれません。

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「絆」はいいことだけではない?

「絆」は、主に「人の結びつきを離れがたくつなぎとめているもの」の意味で用いられています。特に大きな災害が起こった直後などは、地域コミュニティーが崩壊してしまうことがあるので、「絆づくり」「絆の再生」「地域の絆」など、非常に多く用いられます。とても温かみのあることばだと思います。

ただ、「絆」は、もともとは馬などの動物をつなぎとめておく綱のことですから、よい意味ばかりでなく、煩わしいものとしての意味もあります。絆を大切にするのも、絆を断ち切るのも、人それぞれの事情によるということでしょうか。

絆は英語では「ボンド(bond)」で、接着剤のボンドと同じですね。このボンドもまた「契約」や「束縛」という意味があります。人と人との結びつきはもちろん大切ですが、同時に束縛も伴うのは、どこの国でも共通なのかもしれません。

ただ、今ではのようなわずらわしさが強調されることはなく、「絆」は人とのつながりのよい面のことについて用いられていますので、マイナス面の意味はほとんど消失しているものと考えられます。

「絆」の読みは「きずな」? 「きづな」?

「絆」をひらがなで書くなら「きずな」でしょうか、「きづな」でしょうか。これは「きずな」とするのが本則ですが、「きづな」でも間違いではありません。

仮名遣いには歴史的仮名遣いと現代仮名遣いがありますが、私たちが現在使用している仮名遣いにおいては、「じ/ず」を本則としながら「ぢ/づ」でもよいとしているものがいくつかあります。

いなずま(稲妻) さかずき(杯) せかいじゅう(世界中) うなずく(頷く) など

「稲妻」は「稲」と「妻」なので、「いなづま」としたくなりますが、本則としては「いなずま」なんですね。「絆」も、仮名遣いの本則では「きずな」ですが、本来の意味からすれば「きづな」ですので、どちらも認められているというわけです。

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「絆し(ほだし)」と「かすがい」について

「絆」には「絆し」と書いて「ほだし」という読み方がありますが、常用漢字表の中で認められていない読み方ですので、「ほだし」とひらがなにします。

「ほだし」とは、人の心や行動の自由を奪うもののことで、「ほだされる」というと、人情にかられて自分の行動が制限されてしまう意味になります。ほだされてお金を貸してしまったり、高価なものを買ってあげたりして、痛い目に遭うなんていうことも実際にあるかもしれませんね。

ほだされる:人情にかられて自分の行動が制限されてしまうこと

似たような意味を持つものに「かすがい」があります。「子はかすがい」などといいますよね。これは、「子どもがいることで夫婦関係がなごやかになり、仲が悪くなっても夫婦のつながりが保たれる」という意味です。「鎹(かすがい)」とは、木材をつなぐために打つ曲がった「コ」の字型の釘(くぎ)ぎのことですから、かすがいにされる子どもさんのほうもちょっと大変かもしれません。

かすがい:木材をつなぐために打つ曲がった「コ」の字型の釘(くぎ)

最近では家族の形も多様化してきましたから、「子はかすがい」だけでなく、「旅はかすがい」だったり「スポーツはかすがい」だったり、あるいは「推し活はかすがい」だったり、それぞれのご家庭によってかすがいも違ってくるのかもしれませんね。

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