ひらがなだけで表記する漢字は意外と多い

表記の決まりごと

漢字は使わずにひらがなで表記するもの【訓読み編】

「嬉しい」「概ね」「経つ」「宜しく」「喋る」などはよく見かけますが、本則はひらがな表記で、それぞれ「うれしい」「おおむね」「たつ」「よろしく」「しゃべる」とします。「宜しくお願いします」は「よろしくお願いします」と書いてくださいね。もしもGoogleドキュメントなどで文字起こしをした場合、「嬉しい→うれしい」「経つ→たつ」「喋る→しゃべる」などを一括変換すると、あとの処理がとても楽になりますよ。

常用漢字表にない漢字や、あっても訓の読みの記載がないためひらがなで表記するのは以下のものがあります。代表的なものを掲載します

×  ポイント
あえて 敢えて 「勇敢」とは書いても「敢えて」とは書けません。
あらかじめ 予め 「予行」とは書いても「予め」とは書けません。
あるいは 或いは 「或」は音訓ともに常用漢字表にありません。
いまだ 未だ 「まだ」も「いまだ」もひらがなです。
うたう 謳う 「法律にうたわれている」などと使います。
うれしい  嬉しい 「嬉しい」の表記はよく見ますが「嬉」は表外字です。
おおむね 概ね 「概ね」の表記はよく見ますが、ひらがなにします。
おのずから 自ずから  「自ら(みずから)」と混同されやすいので用いません。
かなう 叶う 「夢が叶う」ではなく「夢がかなう」です。
たたく 叩く 「布団を叩く」ではなく「布団をたたく」です。
とどめる 留める 「ボタンをとめる」なら「ボタンを留める」で大丈夫。
たつ 経つ 「経つ」の表記はよく見ますが、「たつ」にします。
なす 為す 「為す」はひらがな、「成す」は漢字です。
のっとる 則る 「法律にのっとって」などと用います。
はかどる 捗る 「進捗」であれば漢字表記で大丈夫です。
よろしく 宜しく 「よろしくお願いします」はひらがなで書きます。
しゃべる 喋る 「喋る」はたまに見かけますが、「しゃべる」です。
つながる 繋がる  「つなぐ」「つながる」はひらがなです。
にぎやか 賑やか 「賑」は音訓ともに常用漢字表にありません。
など    

「宜しく」は「よろしく」なんだね。「宜しく」のほうがもしかして丁寧なのかと思ってた。

漢字は使わずにひらがなで表記するもの【音読み編】

常用漢字表内にある漢字を含んでいても、全体をひらがなにするものの代表を挙げておきます。

あっせん(×斡旋)  おっくう(×億劫)  けいれん(×痙攣)  ごちそう(×御馳走)  さっそう(×颯爽)  ずさん(×杜撰)  せっけん(×石鹸)  てきめん(×覿面)  とっさ(×咄嗟)  れんが(煉瓦) など

「せっけん」は、「石けん」ではなく「せっけん」とひとまとまりでひらがなにします。これが「急きょ」や「まん延」などの交ぜ書きにするものと異なる点ですね。「てき面」や「さっ爽」とはしないということです。

交ぜ書きにするものとしないものの違いについては言及しにくいところですが、「漢字を用いないで意味の通るもの、通りにくいもの」ということらしいです。もちろん、交ぜ書きも絶対的なルールではなくて、読み手が限定的な場合は漢字で大丈夫ですが、広く発信した場合は少し工夫が必要なんですね。

「石けん」じゃなくて「せっけん」だったんだ。